VZシャーシは2020年に登場したミニ四駆の最新シャーシで、軽量性と拡張性の高さから多くのレーサーに注目されています。しかし「どう改造すれば速くなるのか」「何から手をつければいいのか」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、インターネット上に散らばるVZシャーシの改造情報を収集・分析し、初心者から上級者まで実践できる改造テクニックを体系的にまとめました。駆動系の調整からブレーキセッティング、さらには軽量化のコツまで、VZシャーシのポテンシャルを最大限引き出す方法をご紹介します。
| この記事のポイント |
|---|
| ✅ VZシャーシの基本性能と改造の必要性が理解できる |
| ✅ 駆動系・足回り・電池など部位別の改造方法がわかる |
| ✅ 初心者向けの簡単改造から上級者向けの細かな調整まで網羅 |
| ✅ 実際の改造事例と必要パーツリストを参照できる |
VZシャーシ改造の基本と速さの秘密
- VZシャーシが速い理由は軽量性とホイールベースの短さ
- 改造の基本は「まっすぐ、きれいに、丁寧に」を徹底すること
- 制振性の確保が速さを維持する鍵になる
VZシャーシが速い理由は軽量性とホイールベースの短さ
VZシャーシの最大の特徴は、他のシャーシと比較して圧倒的に軽いことです。シャーシ単体の重量を比較すると、その優位性が明確になります。
📊 主要シャーシの重量比較
| シャーシ名 | 重量（g） | ホイールベース（mm） |
|---|---|---|
| VZ | 108.3 | 80 |
| FM-A | 117.0 | 83 |
| MA | 125.9 | 80 |
| AR | 123.5 | 82 |
| MS | 124.7 | 80 |
この軽量性により、加速性能が高く、コーナーでのスピードも維持しやすいという特性を持っています。さらにホイールベースも80mmと短く設計されているため、コーナリング性能にも優れています。
ただし、軽量であるがゆえに制振性の確保が課題になる点には注意が必要です。マスダンパーなどで制振性を高めると、せっかくの軽量性が損なわれてしまうというジレンマがあります。
VZシャーシは「速度」という面では、すごくポテンシャルを感じるシャーシです
改造の基本は「まっすぐ、きれいに、丁寧に」を徹底すること
VZシャーシに限らず、ミニ四駆改造の基本原則として**「まっすぐ、きれいに、丁寧に」**という考え方が重要です。
✨ 改造時の基本姿勢
- ✔️ なぜそうするのかを常に考える
- ✔️ どうしてそうなるのかを理解する
- ✔️ 具体的な数値や使用パーツは自身で検証する
- ✔️ 情報は「こういう考え方なんだな」という参考程度に捉える
(出典：VZシャーシをいじってみた｜P lab co.ltd.,ウチダケイ/ポラ)
この基本姿勢を持つことで、単に手順をなぞるだけでなく、自分のマシンに最適な改造を見つけ出すことができます。他人の改造例をそのまま真似するのではなく、その背景にある考え方や理論を理解することが、真の意味での改造スキル向上につながります。
また、VZシャーシの改造では電池を入れた状態での調整が推奨される場面も多くあります。実際の走行状態に近い条件で調整することで、より精度の高いセッティングが可能になります。
制振性の確保が速さを維持する鍵になる
VZシャーシの改造において、多くのレーサーが直面する課題が制振性の確保です。特にB-MAXなどのリジッドマシンで使用する場合、この問題が顕著になります。
⚠️ 制振性に関する課題
| 課題 | 詳細 |
|---|---|
| マスダンパーの積載 | 制振性を取るためにマスダンパーを積むと重量増加 |
| 軽量性とのトレードオフ | せっかくの軽さというアドバンテージが失われる |
| サイドステーの強度 | B-MAXではサイドステーが弱く、コースアウト一発で破損することも |
この問題に対する一つのアプローチとして、提灯の活用があります。オープンマシンで提灯を載せることで、マスダンパーに頼らない制振性を確保できる可能性があります。
また、一般的には片軸構造を活かした改造が推奨されます。片軸マシンは加速力に優れており、フラットコースでは両軸マシンに対してアドバンテージを持つケースが多いとされています。制振性とのバランスを取りながら、VZシャーシの軽量性を最大限活かす工夫が求められます。
ポチップ
VZシャーシ改造の実践テクニック
- 駆動系の調整は軸受とカウンター軸から始める
- モーター周りの位置出しで駆動効率を最適化する
- ブレーキセッティングは斜めブレーキが効果的
- まとめ：VZシャーシ改造で押さえるべきポイント
駆動系の調整は軸受とカウンター軸から始める
VZシャーシの駆動系改造において、最初に手をつけるべきは軸受とカウンター軸の調整です。これらは駆動効率に直結する重要な部分です。
🔧 軸受（ベアリング）の調整ポイント
620ボールベアリングを使用する際、VZシャーシでは個体によってかなりきつく感じられることがあります。この場合、以下のような弊害が考えられます：
| 弊害 | 影響 |
|---|---|
| 外圧による回転の渋さ | ベアリングが本来の性能を発揮できない |
| 左右の同軸ずれ | 無理にはめると精度が落ちる |
| 破損リスク | 負荷がかかった際に壊れやすくなる |
対策として、**治具や工具を使って軸受穴をザグる（広げる）**必要があります。おおよその目安としては、S1シャーシと同等くらいの緩さに調整すると良いとされています。
(出典：VZシャーシをいじってみた｜P lab co.ltd.,ウチダケイ/ポラ)
📌 カウンター軸の調整手順
デフォルト状態ではカウンター軸の穴が緩い傾向にあります。以下の手順で調整します：
- フッ素コートシャフトを軸穴に刺す
- 穴の周りに薄く瞬着を塗る（隙間を埋める）
- 固まったらシャフトを引き抜く
- ノーマル位置にシャフトを当て、外側に蓋をする
- マルチテープを穴が塞がる形にカットして瞬着で貼り付ける
この調整により、カウンターギヤが回転した際の供回りや暴れを防ぐことができます。また、穴が広がった際の応急処置としても機能します。
モーター周りの位置出しで駆動効率を最適化する
モーター周りの調整は、VZシャーシの駆動効率を大きく左右します。ただし、この部分の調整は繊細で面倒と感じる方も多いようです。
🎯 モーター位置出しの主要ポイント
①シャーシ側モーターの位置出し
ピニオンとカウンターのかみ合わせを調整するため、シャーシの特定部分を削り込んでモーター位置をずらします。これは上級者向けのテクニックですが、効果は大きいとされています。
②モーターカバーの調整
VZシャーシの重要パーツの一つとされるモーターカバーも、隙間調整が必要です：
- ✔️ モーターの背中を押してしっかり固定
- ✔️ シャーシに対してモーターベースが平行・垂直になるよう調整
- ✔️ 隙間を埋める処理を施す
③ギヤカバーの隙間処理
シャーシ外側に当たる箇所や、モーターの首を押さえる部分の隙間を埋める処置が推奨されます。
(出典：VZシャーシをいじってみた｜P lab co.ltd.,ウチダケイ/ポラ)
⚙️ 駆動系の必須パーツリスト
| パーツ名 | 用途 |
|---|---|
| ARシャーシ セッティングギヤセット | 各種ギヤ比対応、中空プロペラシャフト等を含む |
| 強化ギヤ&ワンロックギヤカバー | メンテナンス効率向上、ギヤカバー脱落防止 |
| ミニ四駆Fグリス | フッ素樹脂配合で摩擦低減 |
| HG丸穴ボールベアリング | 高精度な軸受（4個入り） |
(出典：VZシャーシの改造に最低限必要なパーツまとめ｜ミニ四駆改造アカデミー)
ただし、駆動出しの調整はAパーツの押さえなど補強も含めて繊細な作業になります。FM-Aシャーシのように「基本的に駆動を出さなくてもそこそこ速い」というわけにはいかない点は、VZシャーシの特性として理解しておく必要があります。
ブレーキセッティングは斜めブレーキが効果的
VZシャーシの大きな特徴として、バンパーカットなしで分割可能な構造があります。これを活かしたブレーキセッティングが重要になります。
🛑 斜めブレーキの実現方法
VZシャーシでは、FRPパーツとワイドブレーキを組み合わせることで斜めブレーキが実現できます。
具体的な組み付け手順（初心者向け簡易版）：
- フロントをバンパーレス状態にする
- 直プレートを裏から取り付ける（座ぐって皿ビスを使用）
- ワイドブレーキの下から3つ目の穴に皿ビスを通す
- 1.5mmほどに切ったゴム管と3mmスペーサーを挿入
- シャーシ裏から取り付け、VZ用FRPと共締め
この方法により、引っ掛かり防止プレートとしても機能する斜めブレーキが完成します。
(出典：ミニ四駆作ってみた〜その401「ポン付け簡単VZの組み方：シャーシ編」)
ワイドブレーキと直プレートを組み合わせることで、ビスを斜めに止める必要がある斜めブレーキが簡略化して実現できる
⚠️ 注意点
- ぶつかった時の衝撃でネジが曲がりやすい可能性がある
- 上のバンパー部分でぶつかってくれれば問題ないが、運次第の面もある
- 小径タイヤ（26mm中径）でバンクスルー可能だが、スロープでリアが当たり後輪が浮く場合がある
まとめ：VZシャーシ改造で押さえるべきポイント
最後に記事のポイントをまとめます。
- VZシャーシは108.3gと軽量で、ホイールベース80mmの短さから加速性能とコーナリング性能に優れる
- 改造の基本姿勢は「まっすぐ、きれいに、丁寧に」を徹底し、なぜそうするのかを考えること
- 制振性の確保が課題となり、マスダンパー積載と軽量性はトレードオフの関係にある
- 軸受は620ボールベアリング使用時にきつい場合が多く、治具でザグる必要がある
- カウンター軸は瞬着とマルチテープで隙間調整し、供回りや暴れを防ぐ
- モーター周りの位置出しは繊細な作業だが、駆動効率向上に不可欠である
- 斜めブレーキはワイドブレーキとFRPの組み合わせで簡単に実現可能
- 最低限必要なパーツはARシャーシセッティングギヤセット、ワンロックギヤカバー、Fグリス、ボールベアリングなど
- 拡張性が高く、バンパーカットなしで3mmブレーキ貼付けやポリカボディー加工が容易
- ピンククラウンギヤが欠けやすいという弱点があり、大会中の速度低下リスクに注意が必要
ポチップ
記事作成にあたり参考にさせて頂いたサイト
- VZシャーシをいじってみた｜P lab co.ltd.,ウチダケイ/ポラ
- 【ミニ四駆】低く！軽く！VZシャーシアップデート！➀ : サブカル”ダディ”ガッテム日記
- ミニ四駆作ってみた〜その401「ポン付け簡単VZの組み方：シャーシ編」
- 【考察】VZシャーシは速いのか？使ってみて思ったことを色々書いてみる！
- VZシャーシの改造に最低限必要なパーツまとめ｜ミニ四駆改造アカデミー
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