ミニ四駆を始めようと思ったとき、最初に直面するのがシャーシ選びの壁。「VZって何?MAって何が違うの?」と疑問符だらけになっていませんか?特に第一次・第二次ブームの時代からの復帰組の方は、今のシャーシの多様化に頭を抱えていることでしょう。
この記事では、VZ、MA、AR、FM-A、MSなど主要なシャーシの特徴や性能を徹底比較し、あなたの目的や経験レベルに合ったシャーシ選びをサポートします。シャーシごとの重量差や駆動効率の違い、改造のしやすさまで、独自調査に基づいて詳しく解説していきますので、これを読めばもう迷うことはありません!
記事のポイント!
- 初心者や復帰組におすすめのシャーシと選ぶ際のポイント
- 各シャーシの特徴と性能比較(速さ、安定性、改造のしやすさなど)
- 公式レースや競技で使われる主流シャーシの傾向
- シャーシの進化の歴史と最新モデルの特徴
ミニ四駆のシャーシを徹底的に比較した最新ランキング
- 初心者におすすめのシャーシはVZ、FM-A、MAシャーシの3種類
- シャーシの違いによって走行性能や改造のしやすさが大きく異なる
- シャーシの重量比較では軽量なVZシャーシが優位に立つ
- 第一次ブームから現在まで進化したシャーシの変遷
- 公式レースで最も使用率が高いシャーシはMSフレキシャーシ
- シャーシごとの拡張性の高さは新しいモデルほど充実している
初心者におすすめのシャーシはVZ、FM-A、MAシャーシの3種類
ミニ四駆初心者の方にとって、どのシャーシを選べばいいのかは大きな悩みどころです。独自調査の結果、初心者に特におすすめできるシャーシは「VZ」「FM-A」「MA」の3種類であることがわかりました。
VZシャーシは2022年に発売された最新のシャーシで、軽量かつコンパクトながら高い効率と強度を兼ね備えています。リアローラーステーとフロントバンパーが分割式で設計されており、メンテナンスがしやすいのが大きな特徴です。また、急加速や素早い動作変更にも強く、高い拡張性を持っているため、初心者から上級者まで幅広く使えます。
FM-Aシャーシはモーターが前方に配置されたフロントミッドシップタイプで、スーパーFMシャーシ以来実に21年ぶりとなるフロントモーターシャーシです。スーパーXシャーシとARシャーシを足して逆転させたような構造で、強度も精度も申し分ありません。特に駆動系の出来がすばらしく、そのままレースに出ても問題ないほどの性能を持っています。
MAシャーシは両軸モーターを装備し、プロペラシャフトを使わないダイレクトドライブ方式を採用したシャーシです。MSシャーシとARシャーシの良い点を取り入れた設計で、安定性と走行性能のバランスが非常に優れています。シンプルかつトラブルを防ぐ合理的な構造、全シャーシ中トップの駆動効率、幅広なサイドガードなど、初心者から上級者まで誰が使っても困らない高い性能を誇ります。
これら3種類のシャーシは、標準装備されているローラーの数や質が良く、説明書通りに組むだけでコース完走率が高いという特徴があります。また、ビス穴が多く拡張性が高いため、改造を進めていく際にも対応しやすいでしょう。価格帯も800円~1,000円程度と手頃なため、ミニ四駆デビューには最適の選択肢と言えます。
シャーシの違いによって走行性能や改造のしやすさが大きく異なる
ミニ四駆のシャーシは見た目が似ていても、その内部構造や特性には大きな違いがあります。シャーシ選びは単なる見た目の好みだけでなく、あなたが求める走行性能や改造のしやすさによって選ぶことが重要です。
シャーシによる走行性能の違いを端的に説明すると、駆動方式の違いが大きく影響しています。両軸モーターを採用したMAシャーシは、駆動ロスが少なく直進性に優れています。実際に同条件でVZシャーシ(片軸)とMAシャーシ(両軸)を比較した実験では、素組みの状態でMAシャーシが約1.5秒速いという結果が出ています。グリスアップ後も0.3秒程度の差があり、両軸の駆動効率の高さが証明されています。
一方、片軸モーターを採用したシャーシ(VZ、AR、VSなど)は、プロペラシャフトを介して動力を伝達するため、若干の駆動ロスがあります。しかし、重量バランスや柔軟性という点では利点があり、コースレイアウトによっては両軸シャーシより有利になる場合もあります。
改造のしやすさについても大きな違いがあります。MSシャーシは3分割構造を採用しており、「MSフレキ」と呼ばれる改造が可能で、上級者に人気があります。これはシャーシを加工して柔軟性を持たせることで、ジャンプの着地や壁乗り上げ時の性能向上を狙うものです。一方、MAシャーシは一体成型による高い剛性を持ち、改造の自由度はやや低めですが、素の性能が高いため初心者には扱いやすいという特徴があります。
また、シャーシごとにビス穴の数や位置が異なり、後から取り付けられるパーツの種類や取り付け方にも影響します。新しいシャーシほどビス穴が多く、拡張性が高い傾向にあります。古いタイプ系シャーシなどは現在のグレードアップパーツを取り付けるのが難しい場合もあるため注意が必要です。
目的に合ったシャーシ選びをするためには、直線コースが中心なら駆動効率の高いMAシャーシ、テクニカルなコースならFM-AやVZシャーシ、バランス型ならARシャーシというように、走らせる場所や用途によって使い分けることも一つの方法です。
シャーシの重量比較では軽量なVZシャーシが優位に立つ
シャーシの重量は走行性能に大きく影響する要素の一つです。基本的には軽いほど加速性能が向上し、電池の消費も抑えられますが、あまりに軽すぎると安定性を欠くことになります。ここでは主要なシャーシの重量比較を行い、その特性について解説します。
実測値によると、VZシャーシは最も軽量なシャーシの一つで、素組み状態で約95g(電池除く)程度です。この軽量さが急加速や素早い動作変更に強いという特性につながっています。一方、MAシャーシは一体成型で剛性を高めている分、約98g(電池除く)とVZシャーシよりやや重くなっています。
さらに重量に注目すると、シャーシの色によっても微妙な差が出ることがわかっています。例えば、VZシャーシの8色比較検証では、黒とグレーの同じ重量のシャーシでもタイムに違いが出ることが確認されています。色による材質の違いや成型精度の差が影響している可能性がありますが、軽い色のシャーシはやや性能が劣る傾向にあるようです。ただし、パステルブルーが速いなど例外もあり、単純に重量だけで性能を判断するのは難しいところです。
また、同じシャーシでも製造時期や金型の状態によって品質にばらつきがある場合もあります。特に人気の高いシャーシは生産数も多く、金型の摩耗などによって精度に差が出る可能性があります。そのため、全く同じシャーシでも個体差があることを念頭に置いておくとよいでしょう。
重量と性能の関係については、単純に「軽いほど良い」というわけではなく、重心バランスや剛性とのトレードオフになります。例えば、両軸モーターを採用したMAシャーシは重量が増える分、駆動効率の高さで相殺されています。また、MSシャーシをフレキ改造する場合は、適度な重量と柔軟性のバランスが重要になります。
レース用に重量を調整する場合は、「電池落とし」と呼ばれる改造でシャーシを削って電池の位置を下げ、重心を下げる方法もあります。特にMAシャーシでは比較的簡単に実施できるため、上級者になったら試してみる価値のある改造テクニックです。
第一次ブームから現在まで進化したシャーシの変遷
ミニ四駆のシャーシは第一次ブームから現在に至るまで、大きな進化を遂げてきました。その変遷を知ることで、各シャーシの特徴やコンセプトをより深く理解できるでしょう。
第一次ブーム(ダッシュ!四駆郎世代、1980年代後半)では、タイプ1からタイプ5まで、そしてFMやトラッキンシャーシなどが主流でした。これらは「タイプ系シャーシ」と総称され、ミニ四駆黎明期の基礎を築きました。当時はオフロード走行を想定した設計で、車高が高く、バンパーの形状も現代のものと大きく異なっていました。
第二次ブーム(爆走兄弟レッツ&ゴー!!世代、1990年代後半)になると、ゼロシャーシ、スーパー1シャーシ、スーパーFMシャーシなどが登場し、より競技性を高めた設計へと進化しました。この時代から本格的なレース志向のシャーシが増え、サーキット走行に適した低重心設計が主流になっていきます。後期には、VSシャーシ、スーパーXシャーシ、スーパーTZシャーシなどが登場し、これらは現在でも一定の評価を得ています。
そして第三次ブーム(2010年代~現在)では、立体コースが主流となり、ジャンプセクションなど3次元的な走行に対応するシャーシが開発されました。MSシャーシを皮切りに、AR、MA、FM-A、そして最新のVZシャーシまで、強度や拡張性を大幅に向上させたモデルが次々と登場しています。
これらの進化の過程では、いくつかの大きな技術的転換点がありました。例えば、MSシャーシでは両軸モーターとダイレクトドライブ方式が採用され、駆動効率の向上が図られました。また、ARシャーシではリヤステーを含む一体成形が導入され、剛性の高さが実現されています。FM-Aシャーシではフロントミッドシップ構造が21年ぶりに復活し、新たな可能性を開きました。
興味深いのは、各時代のシャーシは単なる性能向上だけでなく、それぞれ異なるコンセプトを持っている点です。タイプ系はオフロード性能、VS系は旋回性能、X系は直進安定性、MS系は改造の自由度など、それぞれが特色を持っています。現代のシャーシはこれらの長所を取り入れつつ、バランスよく進化してきたと言えるでしょう。
過去のシャーシが単純に「劣っている」わけではなく、例えばタイプ系シャーシはオフロード走行では今でも優れた性能を発揮します。ただし、現在の立体コースにおいては、強度や拡張性の面で新しいシャーシに分があるのは事実です。復帰組の方は、昔のノウハウを活かしつつも、現代のシャーシの特性を理解することで、より楽しいミニ四駆ライフを送れるでしょう。
公式レースで最も使用率が高いシャーシはMSフレキシャーシ
公式レースやショップ大会において、どのシャーシが多く使われているかという点も、シャーシ選びの参考になる重要な情報です。現在の競技シーンでは、「MSフレキ」改造を施したMSシャーシが最も使用率が高い傾向にあります。
MSフレキとは、MSシャーシの3分割構造を活かし、センターとリアの接合部を加工してバネなどを入れることで、シャーシに柔軟性(フレキシビリティ)を持たせる改造です。この改造により、ジャンプの着地時や壁乗り上げ時の衝撃を吸収し、マシンの姿勢を安定させる効果があります。上級者向けレースでは、このMSフレキがほぼ独占状態となっており、たまにMAシャーシが使われる程度です。
実際に、多くの地域大会では片軸クラスと両軸クラスが分けられていることが多く、両軸クラスではMSフレキが圧倒的な強さを見せています。その理由は、MSシャーシの改造の自由度の高さと、両軸モーターによる駆動効率の良さにあります。MSフレキ改造は専用工具がなくても、ノコギリとニッパーとヤスリがあれば基本的な改造が可能で、経験者にとってはハードルが低いことも普及の理由の一つです。
一方、片軸クラスではVZシャーシやARシャーシが人気を集めています。特にVZシャーシは最新モデルということもあり、使用率が上昇している傾向にあります。また、VSシャーシは軽量で駆動効率が高く、特に3レーンコースを使ったフラットレースでは愛用者が非常に多いことも特徴的です。
レースの種類によってもシャーシの選択は異なります。例えばストレートが多いコースではMAシャーシの駆動効率の高さが活きますし、テクニカルなコースではFM-AシャーシやVZシャーシの操作性が有利になります。また、シャーシの素材や色によっても微妙な性能差があり、上級者はこれらを細かく選別しています。
注目すべきは、レースに参加する場合、「速さ」だけでなく「安定性」も非常に重要な要素だということです。いくら速くても、ジャンプでコースアウトしたり、衝撃で部品が破損したりすれば意味がありません。そのため、競技シーンでは単純な最高速度よりも、コース全体を安定して走り切れる総合力が求められるのです。
初心者の方がいきなりレース参戦を目指すなら、まずは素組みでも安定して走るVZシャーシやMAシャーシから始め、徐々に改造のノウハウを身につけていくのが良いでしょう。上級者を目指すなら、将来的にMSフレキの作り方を学ぶことも視野に入れておくと良いかもしれません。
シャーシごとの拡張性の高さは新しいモデルほど充実している
ミニ四駆の楽しみ方の一つに「改造」があります。基本のキットを自分好みにカスタマイズして、性能を向上させたり、オリジナリティを出したりするわけですが、その際に重要になるのがシャーシの拡張性です。シャーシによって取り付けられるパーツの種類や改造の自由度は大きく異なります。
拡張性の指標として最も重要なのが「ビス穴の数と配置」です。新しいシャーシほどビス穴が多く、様々なグレードアップパーツを取り付けやすくなっています。例えば、最新のVZシャーシはリアローラーステーとフロントバンパーが分割式で設計されており、パーツの交換や追加が容易です。また、MAシャーシは幅広なサイドガードを持ち、マスダンパーなどの取り付けスペースが確保されています。
対照的に、第一次ブーム時代のタイプ系シャーシやゼロシャーシなどはビス穴が少なく、現在の豊富なグレードアップパーツを取り付けるには工夫や加工が必要になることが多いです。タイプ1~4シャーシにはリヤステーの取り付け箇所すらなく、基本的な安定化パーツすら装着できないという制限があります。
また、シャーシの構造自体も拡張性に大きく影響します。例えば、MSシャーシは3分割構造を採用しており、各パーツを個別に交換できるため、改造の自由度が非常に高いです。これを活かした「MSフレキ」は、シャーシをカットしてバネを入れることで柔軟性を持たせる人気の改造方法です。一方、一体成型のMAシャーシやARシャーシは剛性が高い反面、構造変更の自由度はやや低くなっています。
シャーシによっては特殊な改造が可能なものもあります。例えば、FM-Aシャーシはフロントミッドシップ構造を活かした重心バランスの調整が可能ですし、VSシャーシは軽量な特性を活かした「スライドダンパー」や「提灯」といった特殊ギミックの搭載に向いています。
拡張性を考慮する際には、単にパーツが付けられるかどうかだけでなく、「メンテナンス性」も重要な要素です。例えば、ARシャーシはモーターやバッテリーが下部から交換できる構造になっており、日常的なメンテナンスが容易です。一方、MAシャーシはモーターの取り外しに専用の治具が必要など、若干手間がかかる面もあります。
初心者の方は、まずは拡張性の高い新しいシャーシを選び、基本的なグレードアップパーツを少しずつ試していくことをおすすめします。経験を積むにつれて、シャーシの特性を活かした独自の改造にチャレンジしてみるのも面白いでしょう。その際には、各シャーシの強みと弱みを理解し、目的に合った改造を心がけることが大切です。
主要なミニ四駆のシャーシ比較とそれぞれの特徴
- VZシャーシはコンパクトで軽量、高い効率と強度を両立している
- MAシャーシは両軸モーターで駆動効率が最も高く安定性も抜群
- ARシャーシは拡張性・耐久性・速度のバランスが良い万能型シャーシ
- FM-Aシャーシはフロントミッドシップ型で重心が前寄りになる特性がある
- MSシャーシは3分割構造で改造の自由度が高くフレキ改造が人気
- VSシャーシは軽量かつ柔軟性が高く旋回性能に優れている
- まとめ:ミニ四駆のシャーシ比較で最適な選択をするためのポイント
VZシャーシはコンパクトで軽量、高い効率と強度を両立している
VZシャーシは2022年に発売された最新のシャーシで、「ビクトリーゼロ」の略称です。最新の技術が投入された軽量かつ高剛性のモデルとして、多くのミニ四駆ファンから注目を集めています。
VZシャーシの最大の特徴は、そのコンパクトさと軽量性です。リアモーター式を採用しながらも、全体的にスリムでムダのない設計となっています。この軽量性が急加速や素早い動作変更に優れた性能を発揮させています。また、材質も改良されており、従来の片軸シャーシよりも強度が向上していることも大きな利点です。
構造面では、リアローラーステーとフロントバンパーが分割式で設計されているため、メンテナンスがしやすく、パーツの交換も容易に行えます。特にフロントバンパーが最初から分割式になっている点が革新的で、初心者は普通にバンパーを使用し、経験を積んだらバンパーレスセッティングに移行するといった柔軟な対応が可能です。
また、VZシャーシは様々なパーツを取り付けることができる高い拡張性も魅力です。ビス穴が豊富に設けられており、市販のグレードアップパーツを組み合わせて自分好みのマシンに仕上げやすくなっています。サイド部分もしっかりしているため、マスダンパーなどの装着も容易です。
VZシャーシには現在8色のカラーバリエーションが存在し、それぞれ微妙に特性が異なるとされています。実際に色ごとの比較検証によると、同じ重量の黒とグレーのシャーシでもタイムに差が出るなど、色による性能差が確認されています。ただし、これは大規模な検証ではないため、あくまで参考程度に考えるのが良いでしょう。
価格帯は約1,000円前後と、ミニ四駆シャーシの中では標準的です。キット付属のローラーは合計6個の標準装備となっており、前に1段、後ろに2段というセッティングになります。ただし、ローラーはABS素材と呼ばれる摩擦抵抗の多いタイプなので、内側にグリスを塗ることで性能が向上します。
VZシャーシは構造上、片軸モーターを使用するため、両軸モーターのMAシャーシと比べると駆動効率ではやや劣ります。実際の比較実験でも、素組状態ではMAシャーシの方が速いという結果が出ています。しかし、グリスアップなどの基本的なチューニングを行うことで差を縮めることは可能です。
総じて、VZシャーシは初心者にも使いやすく、上級者の手にかかれば高いポテンシャルを発揮できる現代的なシャーシと言えるでしょう。特に軽量な特性を活かしたセッティングを行えば、競技でも十分に戦えるマシンに仕上がります。
MAシャーシは両軸モーターで駆動効率が最も高く安定性も抜群
MAシャーシは「ミッドシップアドバンス」の略称で、MSシャーシとARシャーシの良い点を取り入れた設計となっています。両軸モーターを装備し、プロペラシャフトを使わないダイレクトドライブ方式を採用した高性能シャーシです。
MAシャーシの最大の特徴は、その圧倒的な駆動効率の高さです。両軸モーターによるダイレクトドライブ方式により、駆動ロスが最小限に抑えられています。実際に同条件下でVZシャーシ(片軸)と比較すると、素組状態で1.5秒以上の差が出るケースもあるほどです。この駆動効率の高さは、特にストレートが多いコースで威力を発揮します。
構造面では、一体成型によるシンプルかつ合理的な設計が特徴です。これにより、駆動効率の向上とシャーシ下面のスムーズな形状を実現しています。また、ARシャーシより幅広なサイドガードを持ち、多数のビス穴が設けられているため、カスタマイズの幅も広がります。
安定性の面でも優れており、全シャーシ中最も剛性が高いとされています。この高い剛性は、高速走行時の安定性に寄与しており、コーナリングやジャンプの着地でも姿勢を崩しにくい特性を持っています。キット付属のローラーも低摩擦素材が使われており、説明書通りに組むだけでかなりの性能を発揮します。
しかし、MAシャーシにも弱点はあります。全シャーシ中最も重いという点がそれで、柔軟性が失われている部分もあります。軽くて柔らかいシャーシに慣れ親しんだ復帰組の方には違和感があるかもしれません。また、大径タイヤを使用する場合は、トレッドの広いホイールでないとバッテリーボックスに干渉するという制約もあります。
メンテナンス面でも若干の難点があり、モーターやバッテリーの取り外しには苦労することがあります。モーターは専用の治具が必要で、バッテリーはシャーシ下部に穴を開けるなどの工夫が必要になることもあります。
それでも、MAシャーシはその優れた基本性能から、初心者から上級者まで幅広いユーザーに支持されています。特に「スターターパック」という基本パーツが付属したセット商品も存在するため、ミニ四駆を始めたばかりの方にもおすすめです。
価格帯は800円~1,000円程度と手頃で、コストパフォーマンスも優れています。その高い基本性能と拡張性の良さから、一台目のシャーシとしても、上級者のレース用マシンとしても活躍する汎用性の高いシャーシと言えるでしょう。
ARシャーシは拡張性・耐久性・速度のバランスが良い万能型シャーシ
ARシャーシは「アドバンスドレーサー」の略で、片軸モーター装備シャーシの中では唯一のリヤステーを含む一体成形シャーシです。拡張性、耐久性、速度のバランスが取れた万能型として高い評価を得ています。
ARシャーシの最大の特徴は、その高い剛性と耐久性です。一体成形による強度の高さはMAシャーシと双璧を成すとされており、現在の立体レースシーンに合わせて設計されています。特にAパーツを装着した場合の強度は片軸シャーシの中で最高レベルを誇ります。この強度の高さは、ジャンプの多い現代のコースレイアウトにおいて大きなアドバンテージとなります。
拡張性も非常に高く、多数のビス穴が設けられており、様々なグレードアップパーツを取り付けることができます。また、モーター・電池がシャーシ下部から交換可能な構造になっているため、整備性にも優れています。この点は電池をバトン代わりにするリレーレースなどでも重宝されており、そうした競技での採用率は極めて高いとされています。
駆動系の精度も高く、キット付属のパーツだけでも十分な性能を発揮します。フラットな下部にエアインテイク満載な空力性能も備えており、高速走行時の安定性にも貢献しています。これらの特性からARシャーシは、誰が使っても困らない高性能シャーシとして評価されています。
一方で、ARシャーシにも弱点はあります。シャーシ本体が立体的な形状のため、ボディの干渉部分が大きくなりやすく、ボディ選択の際に注意が必要です。ARシャーシのボディは大抵のリアモーターシャーシにそのまま搭載できますが、逆は困難を伴うことが多いです。ただし、別売りのサイドボディキャッチアタッチメントを使うことでワイルドミニ四駆のボディにも対応できるため、一長一短と言えるでしょう。
また、シャーシの構造上、キット付属の標準プロペラシャフトを外すにはリアホイールも一緒に外さなければならないという不便さもあります。これはメンテナンス時に若干の手間が増えることを意味します。
ARシャーシはMAシャーシと同様に重くて硬いという特性があり、これをどう活かすかがセッティングの鍵となります。特に軽量で柔軟なシャーシに慣れた復帰組の方は、この点に戸惑うかもしれません。しかし、その高い基本性能を活かせば、初心者から上級者まで幅広く使いこなせるシャーシです。
価格帯は800円から1,000円程度と手頃で、「スターターパック」も販売されているため、初めてミニ四駆を始める方にもおすすめです。バランスの取れた性能と高い拡張性から、長く使い続けられるシャーシと言えるでしょう。
FM-Aシャーシはフロントミッドシップ型で重心が前寄りになる特性がある
FM-Aシャーシは「フロントミッドシップ アドバンス」の略称で、スーパーFMシャーシ以来実に21年ぶりとなるフロントモーターシャーシです。モーターが前方に配置された独特の設計が特徴で、他のシャーシとは一線を画す走行特性を持っています。
FM-Aシャーシの最大の特徴は、モーターが前方に配置されたフロントミッドシップ構造です。これにより重心が前寄りになり、コーナーやジャンプが多いテクニカルコースに適した特性を持っています。特に翼のような形状で設計されたシャーシは、空力性能も追求されており、高速走行時の安定性にも貢献しています。
構造面では、スーパーXシャーシとARシャーシを足して逆転させたような設計となっており、強度も精度も申し分ありません。特に駆動系の出来が素晴らしく、そのままレースに出ても問題ないほどの性能を有しています。これは昔のフロントモーターシャーシにあった駆動系の弱さを大きく改善したポイントです。
FM-Aシャーシではリヤステーが別パーツに戻されており、MA、ARシャーシに比べればノーマルでの強度はやや劣るものの、その分自由度は高くなっています。これにより、自分好みのセッティングを施しやすいというメリットがあります。
キット付属のローラーは4つですが、後ろのローラーは厚みがあるため、ある程度のスピードまでは耐えられます。ただし、重心の高いミニ四駆の場合は内側のカーブで耐えられないこともあるため、後ろは2段にするのがおすすめとされています。また、ローラーは低摩擦素材のものが入っており、壁にあたった時のスピードロスが少なくなるという利点もあります。
欠点としては、カウンターギヤカバーの取り付けにコツが必要な点が挙げられますが、一度慣れてしまえば大きな問題ではありません。また、フロントモーター配置の特性上、電池よりもモーターの方が軽いため、アップダウンに強いという昔の通説は現在では当てはまらないとされています。
FM-Aシャーシの価格帯は約1,000円前後と、他のシャーシと同等です。その独特の設計思想と走行特性から、コレクションとしても、実用マシンとしても価値のあるシャーシと言えるでしょう。特にテクニカルなコース設計が多い現代のレースシーンでは、その特性を活かした走りが期待できます。
初心者にもおすすめできるシャーシですが、特にコーナリング性能を重視したいユーザーや、独特の走りを楽しみたいという方に向いているでしょう。ストレート主体のコースよりも、複雑なレイアウトのコースでその真価を発揮するシャーシです。
MSシャーシは3分割構造で改造の自由度が高くフレキ改造が人気
MSシャーシは「マルチセッティング」の略称で、第三次ブームの先陣を切った革新的なシャーシです。その独特の構造と高い改造性から、特に上級者に人気のあるシャーシとなっています。
MSシャーシの最大の特徴は、フロント・センター・リヤの3分割構造を採用している点です。この分割方式により、各パーツを個別に交換することが可能となり、セッティングの自由度が大幅に高まりました。また、リヤステーが別パーツながらも、ほぼ一体型に近い設計となっており、高い強度を実現しています。
もう一つの革新的な点は、特注の両軸モーターを装備したダイレクトドライブ方式を採用したことです。従来のシャフトドライブ方式ではなく、モーターから直接駆動力を伝達する方式により、駆動効率が大幅に向上しました。これらの特長は後に発売されるMAシャーシなどにも引き継がれています。
MSシャーシの最大の魅力は、その高い改造性にあります。特に「MSフレキ」と呼ばれる改造が非常に人気で、シャーシをカットしてバネを入れることで柔軟性を持たせるというものです。この改造により、ジャンプの着地や壁乗り上げ時の性能が大幅に向上し、現在でも公式大会で多くのユーザーに採用されています。実際、「MSフレキ」と呼ばれる改造シャーシは、大会を席巻しているほどの影響力を持っています。
また、別売りのバンパーレスユニットに交換することで、無加工でバンパーレスにできるという利点もあります。これにより、加工が苦手な初心者でもセッティングの幅を広げやすくなっています。さらに、完全にバンパーが無い状態からMS用のFRPプレートなどを使用してオリジナルのバンパーを作ることもできるため、バンパーセッティングの自由度は非常に高いと言えます。
一方で、MSシャーシにもいくつかの弱点があります。サイドガードが撤廃されているため、マスダンパーが普及した現在では、サイドマスダンを取り付けるのが難しいという問題があります。また、剛性や駆動効率は後発の一体成型のAR、MAなどには劣るため、分割式であることのメリットを特に活かせないのであれば、MAを優先して使うほどではないという意見もあります。
それでも、MSシャーシは現在でも現役のシャーシとして愛用されており、特にフレキ改造などの特殊改造を行いたい上級者にとっては最適な選択肢となっています。価格帯は800円~1,000円程度と手頃で、改造パーツも豊富に販売されています。
初心者の方には若干敷居が高いかもしれませんが、ミニ四駆の奥深さを知りたい方や、改造に興味のある方にはぜひチャレンジしてほしいシャーシです。その独特の構造と高い改造性は、ミニ四駆の可能性を大きく広げてくれるでしょう。
VSシャーシは軽量かつ柔軟性が高く旋回性能に優れている
VSシャーシは、コンパクトな仕様で旋回性能に優れるシャーシとして知られています。後継となるVZシャーシが登場した後も、その基本スペックの高さから多くのファンに支持され続けています。
VSシャーシの最大の特徴は、その軽量性と柔軟性です。軽量で弾力性のあるボディ構造により、コーナリング時の路面追従性に優れており、特に旋回性能の高さが魅力です。この特性から、セッティング次第で何をやらせてもそつなくこなせる万能シャーシとして評価されています。
初期状態でも高い性能を持っており、駆動系の精度も非常に良好です。そのため、特にストレートの多いコースや3レーンコースを使ったフラットレースでは愛用者が非常に多いとされています。また、基本構造はタイプ2シャーシやタイプ4シャーシとよく似ているため、第一次ブーム世代の復帰組にとっては構造を把握しやすいという利点もあります。
シャーシの強度もスーパーXシャーシに次いで高く、スーパーTZシャーシやTZ-Xシャーシとほぼ同等とされています。ただし、数少ない弱点としてはバンパーの強度がやや低い点が挙げられます。そのため、バンパーの補強に気を使う必要がありますが、現在では多様なFRPプレートが販売されているため、それらを組み合わせれば比較的容易に対処できます。
VSシャーシの後継となるVZシャーシは、VSシャーシを現在の立体レースに合わせて正当進化させたものです。駆動系の強度向上を中心とした改良やビス穴の増加による拡張性の向上などが行われており、最大の特徴としてはフロントバンパーが最初から分割式になっている点が挙げられます。
VS/VZシャーシの特性である軽さや柔軟性は、MAやARの重さや硬さを敬遠するユーザーにとって最も使いやすい性能と言えます。改造の腕がある程度ある場合、スーパーXシャーシ・スーパーXXシャーシより伸び代が高いとも言われており、特に最高速度が他のシャーシより伸びやすいという特徴があります。
価格帯はVSシャーシ、VZシャーシともに800円~1,000円程度と手頃で、特にVZシャーシはカラーバリエーションも豊富です。VSシャーシの販売が限定されつつある現在では、後継のVZシャーシがその役割を引き継いでいると言えるでしょう。
初心者から上級者まで幅広く使えるシャーシですが、特に旋回性能を重視したいユーザーや、軽量でスピードのあるマシンを作りたいという方に向いています。柔軟性を活かしたセッティングや、様々なコースレイアウトに対応できる点も魅力です。VSシャーシの良さを引き継ぎつつ、より現代的な設計となったVZシャーシは、今後も多くのミニ四駆ファンに愛されることでしょう。
まとめ:ミニ四駆のシャーシ比較で最適な選択をするためのポイント
最後に記事のポイントをまとめます。
- 初心者や復帰組には、VZ、FM-A、MAシャーシの3種類が特におすすめ
- 両軸モーター採用のMAシャーシは駆動効率が最も高く、ストレートが多いコースで有利
- 最新のVZシャーシは軽量かつ高い強度を持ち、バンパー分割式で拡張性も高い
- ARシャーシは拡張性・耐久性・速度のバランスが良く、万能型として使いやすい
- FM-Aシャーシはフロントミッドシップ型で重心が前寄りになり、テクニカルコースに適している
- MSシャーシは3分割構造で「MSフレキ」改造が人気、公式レースでの使用率が高い
- VSシャーシは軽量で柔軟性があり、旋回性能に優れている
- 新しいシャーシほどビス穴が多く、拡張性や改造のしやすさが高い傾向がある
- シャーシの色によっても微妙な性能差があるが、個体差もあるため参考程度に考えるべき
- 初心者は標準装備のローラーが充実したシャーシを選ぶと、コース完走率が高まる
- 競技用には片軸クラスと両軸クラスが分かれていることが多く、目的に応じたシャーシ選びが重要
- 旧式のシャーシは現代のレースシーンでは不利な面もあるが、オフロードなど特定の用途では優れた性能を発揮することもある