ミニ四駆を改造する際、プレート選びと穴の位置は見逃せないポイントです。市販のFRPやカーボンプレートには様々な穴が開いていますが、これらは単なる穴ではなく「穴規格」として体系化されています。穴の位置によってローラーのセッティングや走行安定性が大きく変わるため、正しい知識を持つことが重要です。
独自調査の結果、多くのミニ四駆ユーザーがプレートの穴位置について悩んでいることがわかりました。特に19mmや17mmローラーを最大幅いっぱいに取り付けたい場合や、自分でプレートに穴を開ける際の位置決めに苦労している方が多いようです。この記事では、プレートの穴規格の基本から自作穴あけのコツまで、詳しく解説していきます。
記事のポイント!
- ミニ四駆のプレートにおける「穴規格」の体系と種類について
- 各ローラーサイズ(19mm/17mm/13mm/9mm)に対応する最適な穴位置
- プレート穴位置と車幅の関係性、レギュレーション(最大幅105mm)への対応方法
- 自分でプレートに穴を開ける際の位置出し方法と専用治具の活用法
ミニ四駆のプレートにおける穴位置の基本と選び方
- プレートの穴位置には「穴規格」が存在する
- 接続部系穴位置は主に3穴、5穴、リヤ穴などに分類される
- ローラー系穴位置は19mm、17mm、13mm、9mmなどのサイズに対応している
- プレートの穴位置はローラー幅と走行安定性に直結する
- FRPプレートとカーボンプレートの穴位置は基本的に同じ規格である
- ミニ四駆のレギュレーション「最大幅105mm」を考慮した穴位置選びが重要
プレートの穴位置には「穴規格」が存在する
ミニ四駆のプレートに開いている穴は、実は「穴規格」として体系化されています。これらの穴は一つ一つ決まった位置に、左右対称かつ中心から様々な距離感覚で開けられています。
この穴規格を理解することで、バンパーレス化やギミックバンパーの製作など、様々な改造が可能になります。特に中級者以上のユーザーは、プレートの裏面に記載されている対応シャーシ情報よりも、この穴規格で判断することが多いです。
穴規格は大きく「接続部系」と「ローラー系」の2種類に分けられます。接続部系はシャーシやパーツを接続するための穴で、ローラー系は各サイズのローラーを取り付けるための穴です。
プレートによって開いている穴の種類や位置は異なります。例えば、マルチ補強プレートとフロントワイドステーでは、使用目的や取り付け位置が異なるため、穴の配置も異なります。
初心者の方がプレートを選ぶ際は、自分の改造目的に合った穴配置のプレートを選ぶことが重要です。穴規格を理解していれば、どのプレートが自分の目的に合っているのか判断しやすくなります。
接続部系穴位置は主に3穴、5穴、リヤ穴などに分類される
接続部系の穴位置は、中心からの距離によって分類されています。主な分類として、「3穴」「5穴(X穴)」「リヤ穴」「マルチ穴」「AR穴」「サイド穴」などがあります。
「3穴」は多くのプレートに存在し、中心の穴があるのが特徴です。プレートの中心に穴を開ける補助としても活用されます。ただし、直プレートなど中央が空いていない例外もあります。
「5穴(X穴)」はXシャーシと共に登場した穴規格で、3穴に追加されたように規格されています。内側寄りの穴規格の中では干渉しにくい場所でもあり、ギミックバンパーの軸や提灯連結に活用されることが多いです。
「リヤ穴」はリヤステー系に多く見られ、バンパーレス化したマシンのバンパーとシャーシの接続部に活用されることが多いです。
「マルチ穴」は多種類のプレートに開いていることが多く、提灯連結やギミックの作用点など活用範囲が広いです。また、スライドダンパーの止め軸もこの規格のため、改造マシンでは頻繁に使用されます。
「AR穴」はARシャーシ等のフロントバンパーに多く確認されますが、プレートには少ない穴規格です。マルチワイドステーの横に長い穴は、これに対応するために設計されています。
「サイド穴」は主にシャーシのサイドに付いている穴規格で、プレートではリヤブレーキステーにのみ開いています。
ローラー系穴位置は19mm、17mm、13mm、9mmなどのサイズに対応している
ローラー系の穴位置は、取り付けるローラーのサイズによって分類されています。主な分類として、「ショート穴」「19mm穴」「17mm穴」「13mm穴」「11mm穴」「9mm穴」などがあります。
「ショート穴」はフルカウルシリーズなどの旧系シャーシのフロントバンパーのローラー幅の規格です。プレート取り付けがメインの規格で、プレートに多く見られます。ローラーを取り付けるには少し幅が狭く、現在ではピボットの可動軸としての活用が多く見られます。
「19mm穴」は19mmローラー取り付け用の穴規格で、MAシャーシやスーパー2以後の近年出たシャーシのローラー幅規格となっています。この穴規格の両端に19mmローラーを搭載した場合、幅は約103.2mm程度で、車検幅の105mm以下から見ると少し余裕があります。ローラー用穴規格としては最も汎用性が高いです。
「17mm穴」は17mmローラー搭載用の穴で、17mmアルミローラーが少ないことと、17mmローラー自体の使用方法が19mm穴に搭載することが多いため、あまり活用されていません。
「13mm穴」は13mmローラー搭載用の穴で、搭載時幅約103.9mmとなります。3レーンコースにおいて食いつきと汎用性から13mmローラーの使用率が多く、その際にローラー用穴として使われます。
「11mm穴」は11mmローラー用の穴規格で、17mm穴同様、11mmローラーの種類自体が少ないため採用率が低いです。
「9mm穴」は9mmローラー搭載用の穴規格で、最も広い穴規格です。9mmローラー搭載時幅約104mm強と車検規定の105mmに対してギリギリまで幅が広いのが特徴です。8-9mm二段ローラーや850、830といった搭載も視野に入るため、よく使用されます。
プレートの穴位置はローラー幅と走行安定性に直結する
プレートの穴位置は、ローラー幅と密接に関連しており、走行安定性に大きな影響を与えます。ローラーを取り付ける位置によって、マシンの挙動が大きく変わるのです。
ローラー幅を広げると、コース上での安定性が増します。ローラーがコースの壁に当たる際の角度が小さくなるため、急激な進路変更が減り、安定して走行できるようになります。ただし、幅を広げすぎると、レギュレーションの最大幅105mmを超えてしまう恐れがあります。
プレートの穴位置は、各ローラーサイズごとに最適な位置が設定されています。例えば、19mmローラーの標準穴位置では幅が約103.2mm程度になり、規定の105mmよりも少し余裕があります。一方、9mmローラーの穴位置では幅が約104mm強となり、規定ギリギリまで広げることができます。
また、ローラーベース(前後のローラー間の距離)も穴位置によって変わります。ローラーベースが長いと直進安定性が増し、短いと旋回性能が向上します。プレートの形状や穴位置の選択によって、このローラーベースも調整できます。
例えば、FRPマルチワイドリヤステーなどの前進翼型のプレートを使用すると、ローラーベースが縮まる形になり、旋回性能が向上します。逆にスーパーXシャーシ・FRPリヤーローラーステーのような後進翼型のプレートでは、ローラーベースが広がり、直進安定性が増します。
プレート選びの際は、目指すマシン特性に合わせて穴位置を考慮することが重要です。コースの特性や自分の走らせ方に合ったローラー幅とローラーベースを実現できるプレートを選びましょう。
FRPプレートとカーボンプレートの穴位置は基本的に同じ規格である
FRP素材とカーボン素材のプレートは、見た目や強度、重量、価格に違いがありますが、穴位置については基本的に同じ規格が採用されています。同じ形状のプレートであれば、FRPとカーボンで穴の位置や配置は同一です。
FRP素材の製品は基本的にロゴ・文字などが無く黒一色のシンプルな柄になっています。一方、カーボン素材の製品はカーボンの繊維の束を平織りした(交互に編み込んだ)模様で、チェッカーフラッグのような柄となります。また、カーボン素材の製品にはタミヤロゴ・文字などが印字されているのも特徴の一つです。
同一形状のFRPとカーボンのプレートとしては、「マルチ補強プレート」「13・19mmローラー用マルチ補強プレート」「スーパーXシャーシマルチプレート」「フロントステー」「スクエアプレート」「リヤブレーキステー」などがあります。
強度的にはカーボンプレートの方が優れていますが、価格も高くなります。また、カーボンプレートは限定品が多く、入手しづらいという欠点もあります。予算に合わせて選ぶとよいでしょう。
なお、FRPプレートをカーボンプレートに交換する際は、穴位置が同じなので、セッティングをそのまま引き継ぐことができます。強度が必要な部分や、軽量化したい部分から優先的にカーボンプレートに交換していくとよいでしょう。
最近では「カーボンリヤワイドステー」など、全ローラー幅(9・11・13・17・19mm)の数値が記載されたプレートも登場しており、適切なローラーの取付位置を即座に確認できるようになっています。
ミニ四駆のレギュレーション「最大幅105mm」を考慮した穴位置選びが重要
ミニ四駆のレースでは、マシンの最大幅が105mmというレギュレーションが設けられています。このレギュレーションを守りつつ、できるだけ幅を広げて安定性を高めることが重要です。
プレートの穴位置を選ぶ際は、取り付けるローラーのサイズとの組み合わせで、最終的な車幅がどうなるかを考慮する必要があります。各ローラーサイズごとの車幅の目安は以下の通りです:
- 19mmローラー:標準穴位置で約103.2mm
- 17mmローラー:プレートによって異なるが、一般的には約102mm程度
- 13mmローラー:約103.9mm
- 9mmローラー:約104mm強
特に9mmローラーは規定ギリギリまで幅を出すことができますが、セッティングによっては規定を超えてしまう可能性もあるので注意が必要です。
FRPプレートを使用する際に注意すべき点は、ローラーを取り付ける際の穴の位置です。FRPプレートのビス穴には適応したローラーサイズの記載がないため、ローラーの取り付け位置を間違えやすく、最悪レギュレーション違反(最大幅の超過)となってしまう可能性があります。
ローラーの取り付け位置を間違えないようにするおすすめの方法は、全ローラー幅の数値が記載された「カーボンリヤワイドステー」などを所持しておくことです。これをFRPプレートに重ねることで、適切なローラーの取付位置を即座に確認できます。
また、プレートによっては17mmローラー用の穴がないものもあります。その場合は、プレートを加工して穴を開けるか、別のプレートを使用する必要があります。
レギュレーションを守りつつ最大限のパフォーマンスを引き出すためには、自分のマシンに合ったプレートと穴位置の選択が重要です。コースの特性や自分の走らせ方に合わせて、最適な組み合わせを見つけましょう。
ミニ四駆のプレート穴位置を活用したローラーセッティング
- 19mmローラーの標準穴位置では幅が103mm程度になる
- 17mmローラー用の穴位置はプレートによって異なる特徴がある
- 13mmローラーと9mmローラーは規定幅ギリギリまで広げられる穴位置がある
- プレートを加工して穴位置を調整する方法がある
- 穴位置出しのための専用治具を使うとより正確な加工ができる
- 既存の穴を埋めてからの穴あけで精度の高い位置出しが可能
- まとめ:ミニ四駆のプレート穴位置を理解してマシン性能を最大化しよう
19mmローラーの標準穴位置では幅が103mm程度になる
19mmローラーは直径が大きいため、コースのつなぎ目のコンディションが多少悪くても、コースアウト(CO)しにくいという利点があります。ただし、標準の穴位置では車幅が約103.2mm程度と、8-9mmや12-13mmローラーを使用した場合と比べて幅が狭くなってしまいます。
幅が狭いということは、それだけコースの壁面と離れていることになり、安定性が低下します。ミニ四駆ではこの差がタイムに現れてくるため、COしにくくなる19mmローラーを使っても好タイムを出したい場合は、穴位置の調整(位置だし)が必要になることがあります。
標準的なプレートでは、19mmローラーの穴位置は中心から51.6mm程度の位置にあります。この位置に19mmローラーを取り付けると、全幅は約103.2mmとなります。規定の105mmに対して1.8mm程度の余裕があることになります。
19mmローラーをより外側に取り付けるには、以下のようなプレートが有効です:
- HGカーボンリヤワイドステー:19mmローラー用の穴が規定幅いっぱいに設定されている
- FRPマルチワイドステー:19mmローラー用の穴が複数あり、幅を調整できる
- VZシャーシFRPフロントワイドステー:19mmローラー用の穴が外側に設定されている
また、自分でプレートに新たな穴を開けることで、19mmローラーを規定ギリギリまで広げることも可能です。例えば、既存の19mm穴のすぐ外側に新たな穴を開ければ、車幅を105mm近くまで広げることができます。
19mmローラーは径が大きいため、コースのつなぎ目での安定性に優れていますが、幅を広げることでさらに安定性を高めることができます。実際に走らせた感じでは、位置だしした19mmローラーはコースのキレが増したという印象があります。
17mmローラー用の穴位置はプレートによって異なる特徴がある
17mmローラーは、19mmと13mmの中間サイズとして存在していますが、専用の穴位置が設けられているプレートは意外と少ないのが現状です。この理由としては、17mmアルミローラー自体が少ないことや、17mmローラーの使用頻度が相対的に低いことが考えられます。
プレートによって17mmローラー用の穴位置は異なります。例えば、「HGカーボンリヤワイドステー」や「VZシャーシFRPフロントワイドステー」には17mmローラー用の穴が設けられていますが、多くの汎用プレートには17mm専用の穴がありません。
17mmローラーを規定幅いっぱいに取り付けるには、以下のような方法があります:
- 17mm専用穴が開いているプレートを使用する
- 19mm用の穴を外側に広げる(加工が必要)
- 13mm用の穴を内側に移動する(加工が必要)
17mmローラーの需要が少ないためか、専用穴がないプレートが多いのですが、近年では17mmローラーの再評価も高まってきています。「P46 ローラーポジショニングガイド」のような専用治具を使えば、17mmローラー用の穴を正確に追加することができます。
実際の加工例として、19mm穴に対して外側へ1mmほど穴を広げることで、17mmローラーを適切な位置に取り付けられるようになります。ただし、この加工方法だと、金のハトメなどで穴を補強する必要があります。
17mmローラーは、19mmよりも軽量で、13mmよりも大径という中間的な特性を持っています。コースによっては最適なローラーとなる可能性があるため、色々なセッティングを試してみる価値があるでしょう。
13mmローラーと9mmローラーは規定幅ギリギリまで広げられる穴位置がある
13mmローラーと9mmローラーは、小径ローラーとして人気があり、多くのプレートに専用の穴位置が設けられています。特に「FRPマルチワイドステー」や「FRPワイドプレートセット」などは、これらのローラーを規定幅いっぱいに広げられるよう設計されています。
13mmローラーを使用した場合、標準的な穴位置では車幅は約103.9mmになります。9mmローラーの場合は約104mm強となり、いずれも規定の105mmにかなり近い値となっています。特に9mmローラーは、規定ギリギリまで幅を出すことができるため、安定性を重視するセッティングに適しています。
これらの小径ローラーを使用する際の代表的なプレートと穴位置は以下の通りです:
- FRPワイドプレートセット:9mmと13mmのローラーを規定ギリギリ(最大で104mmくらい)に設定可能
- FRPマルチワイドステー:9mmと13mmのローラー用の穴が規定ギリギリに設定されている
- HGカーボンリヤワイドステー:全ローラーサイズ(9・11・13・17・19mm)の位置が明記されている
特に3レーンコースでは、食いつきと汎用性から13mmローラーの使用率が高く、9mmローラーは規定いっぱいまで幅を出せることから、安定性を求めるセッティングで重宝されています。
また、9mmローラーは「8-9mm二段ローラー」や「850」「830」といった特殊なローラーの搭載も視野に入るため、多様なセッティングが可能です。
プレートを選ぶ際は、自分が主に使用するローラーサイズに対応した穴位置があるかを確認することが重要です。特に小径ローラーを使用する場合は、規定幅いっぱいに広げられるプレートを選ぶと、安定性の高いセッティングが実現できます。
プレートを加工して穴位置を調整する方法がある
既存のプレートでは希望の穴位置がない場合や、よりマシンの性能を引き出したい場合は、プレートを自分で加工して穴位置を調整することができます。特に19mmや17mmローラーを規定幅いっぱいに取り付けたい場合は、自作の穴位置が有効です。
プレートに新たな穴を開ける際に必要な道具は以下の通りです:
- リューター/ドリル
- フルカウルFRP(カーボン)2枚
- ルーラー
- 赤サインペン
- 紙ヤスリ
まず、既存の穴を基準にして新たな穴位置をマーキングします。例えば、19mmローラー用の穴を外側に移動させる場合、既存の19mm穴と13mm穴を線対象にして、その間に新たな穴位置を決めます。
しかし、いきなり穴を開けようとすると高確率で失敗するため、下準備が必要です。まず、元々の19mm穴を黒い瞬間接着剤などで塞いで、プレートの強度を確保します。瞬間接着剤は乾くのに数時間必要なので注意が必要です。
次に、細いドリルから始めて、徐々に穴を広げていきます。19mmローラー位置だしの肝は、最初の1つ目の穴をきれいに開けることです。この精度が全体の精度に大きく影響します。
穴を開けた後は、2枚のFRPプレートを重ねて瞬間接着剤で貼り合わせます。合わせ目にも瞬間接着剤を塗り、しっかりと乾かします。最後に神ヤスリでプレートを削り、油性マジックで合わせ目を黒く塗って完成です。
このような加工を施すことで、例えば19mmローラーを使用した場合、105mmほぼピッタリの車幅にすることができます。リアも同様に位置だしすることも可能で、17mmローラー用に19mm穴を位置だしすることもできます。
プレートの加工は少し手間がかかりますが、市販品では実現できない最適な穴位置を作り出すことができるため、マシンの性能を極限まで引き出したい方にはおすすめの方法です。
穴位置出しのための専用治具を使うとより正確な加工ができる
プレートに新たな穴を開ける際、位置決めが難しいという問題があります。そこで役立つのが穴位置出しのための専用治具です。市販の治具を使用すれば、より正確な穴位置の加工が可能になります。
例えば、「ミニ四駆マルチ補強位置出しドリリングプレート」は、マルチ補強プレートのお好みの位置に追加穴を加工するための治具です。3段仕様で多用途に利用でき、以下のような特徴があります:
- 中央の固定穴から基本3mmピッチでの穴開けが可能
- 両端のローラー取り付け穴は9mm、17mmローラーで規定値一杯の幅になる位置に設定
- 既存の穴を埋めてから加工することで、105mmジャスト幅のローラー位置を出すことが可能
- マルチ補強プレートに空いている穴を残しつつ基本3mmピッチの穴を追加
- リヤマルチステーの取付穴ピッチ32mmと46mm幅を追加
また、「P46 ローラーポジショニングガイド」のような専用ガイドプレートもあります。これは、各種プレートのローラー位置を前後に任意でずらすためのガイドプレートで、対象プレートによって異なるタイプがあります:
- P46-1:HG カーボンフロントステーや、フルカウルミニ四駆タイプ各種に対応
- P46-2:HG カーボンフロントワイドステーに対応
これらの治具は2mmアクリルプレート(透明)で作られており、各種19mm、17mm、13mm、9mmを前後にずらせるように配置されています。ただし、位置や箇所によってはプレート既存穴の穴埋めが必須となる場合もあります。
このような専用治具を使うことで、フルカウル用カーボンも再販され、スライドダンパーの需要や17mmローラーの再評価が高まっている現在のトレンドに合わせた改造が可能になります。
治具を使用する際は、FRPやカーボンプレートにはネジ径2mmよりも大きめの穴が開いているため、プレート同士を重ねた位置出しでは穴位置が微妙にズレることがあります。しかし、治具は正確に2mm径の穴が開いており、FRPプレート側から皿ビスで固定して加工を行えば、正確な位置に穴を開けることができます。
専用治具はやや高価ですが、正確な穴位置出しが可能になるため、複数のプレートを加工する予定がある方には投資する価値があるでしょう。
既存の穴を埋めてからの穴あけで精度の高い位置出しが可能
プレートに新たな穴を開ける際、既存の穴を埋めてから作業を行うことで、より精度の高い位置出しが可能になります。特にローラーをより外側に取り付けたい場合などに有効な方法です。
既存の穴を埋める方法としては、黒い瞬間接着剤を使うのが一般的です。黒い瞬間接着剤はプレートの色に馴染みやすく、強度も確保できます。ただし、乾くのに数時間必要なので、時間に余裕を持って作業することが重要です。
穴埋めの手順は以下の通りです:
- まず、既存の穴(例えば19mmローラー用の穴)を黒い瞬間接着剤で埋める
- 十分に乾燥させる(数時間程度)
- 新しい穴位置をマーキングする
- 非常に細いドリルから始めて、徐々に穴のサイズを広げていく
穴埋めをしてから新たな穴を開けることで、プレートの強度を維持しつつ、希望の位置に正確に穴を開けることができます。特に19mmや17mmローラーを使用して規定幅いっぱいにセッティングしたい場合に有効です。
なお、穴位置の精度を高めるためには、2枚のFRPプレートを使って正確な位置に穴を開ける方法もあります:
- 1枚目のプレートに最初の穴を開ける
- 2枚のFRPを重ねて、1つ目と同じ位置に2枚目の穴を開ける
- 1枚目のプレートを裏返しに重ね、3つ目の穴を開ける
- 同様に4つ目の穴も開ける
- 2枚のFRPプレートを重ねて瞬間接着剤で貼り合わせる
この方法では、最初の1つ目の穴がきれいな位置で開けられれば、残りの穴も同じ位置に正確に複製できるため、精度の高い位置出しが可能になります。
穴埋めと新規穴あけを組み合わせることで、例えば19mmローラーの位置を調整し、車幅を105mmほぼピッタリにすることができます。これにより、走行時の安定性が向上し、タイムの短縮にもつながります。
既存の穴を埋めてからの穴あけは少し手間がかかりますが、市販品では得られない最適な穴位置を実現できるため、マシンの性能を極限まで引き出したい方にはおすすめの方法です。
まとめ:ミニ四駆のプレート穴位置を理解してマシン性能を最大化しよう
最後に記事のポイントをまとめます。
- ミニ四駆のプレートには「穴規格」が存在し、接続部系とローラー系に大別される
- 接続部系穴位置には3穴、5穴、リヤ穴、マルチ穴、AR穴、サイド穴などがある
- ローラー系穴位置にはショート穴、19mm穴、17mm穴、13mm穴、11mm穴、9mm穴などがある
- 19mmローラーの標準穴位置では幅が約103.2mm程度と、やや狭めになる
- 17mmローラー用の専用穴が設けられているプレートは比較的少ない
- 13mmローラーと9mmローラーは規定幅ギリギリまで広げられる穴位置が多くのプレートにある
- 自分でプレートに穴を開けることで、希望の位置にローラーを取り付けることが可能
- 位置出し用の専用治具を使うと、より正確な穴あけができる
- 既存の穴を埋めてから新たな穴を開けることで、精度の高い位置出しが可能
- FRPプレートとカーボンプレートでは見た目や強度が異なるが、穴位置の規格は基本的に同じ
- レギュレーションの最大幅105mmを守りつつ、できるだけ幅を広げることが走行安定性につながる
- プレートの選択と穴位置の調整は、コースの特性や自分の走らせ方に合わせて行うことが重要