ミニ四駆をノーマルモーターのまま最速にしたい!そんな悩みを持つミニ四駆ファンは多いのではないでしょうか。実は、特殊なモーターに変えなくても、正しいセッティングと基本に忠実な作りこみで驚くほど速いマシンを作ることができるんです。
本記事では、メディア対抗レースで優勝したノーマルモーター仕様のマシン製作法や、素組みで速くするための具体的テクニック、おすすめのシャーシ選びまで徹底解説します。モーター慣らしの裏技やタイヤ選びのコツなど、あなたのミニ四駆ライフを変える情報が満載です!
記事のポイント!
- ノーマルモーターで最速を目指すなら「軽く」「バランス良く」「基本に忠実に」の3原則が重要
- VSシャーシとMAシャーシがノーマルモーターとの相性が抜群に良い
- ギアのクリアランス調整やホイールの取り付け精度が速さを大きく左右する
- ローラーの幅と角度調整、前輪タイヤの選択がコーナリング性能を決定づける
ミニ四駆でノーマル最速を目指すための基本セッティング
- ノーマルモーターを使った最速ミニ四駆は「軽く」「バランス良く」「基本に忠実に」が鉄則
- ミニ四駆のノーマルモーターで最速を目指すならVSシャーシが最適
- ノーマルモーターで速いミニ四駆を作るコツはシャーシの軽量化から始める
- ギアのクリアランス調整がノーマルモーターの最速化に直結する理由
- ホイールの取り付け精度がミニ四駆ノーマル最速の鍵となる理由
- ノーマルモーターの慣らし方でミニ四駆の最高速度は大きく変わる
ノーマルモーターを使った最速ミニ四駆は「軽く」「バランス良く」「基本に忠実に」が鉄則
ミニ四駆でノーマルモーターを使いながら最速を目指すなら、3つの基本原則を押さえることが重要です。独自調査の結果、「軽く」「バランス良く」「基本に忠実に」という3つのコンセプトが成功の鍵であることがわかりました。
「軽く」というのは、ノーマルモーターはパワーが限られているため、マシン全体の重量を極力軽くすることで加速力を高める必要があるからです。例えば、シャーシの不要部分をカットしたり、軽量パーツを選ぶことで、総重量を90g前後に抑えることが理想的です。
「バランス良く」は、マシンの前後左右の重量バランスを整えることで安定した走りを実現するという意味です。特にコーナリング時に車体が傾きすぎると内側のタイヤが浮いてしまい、駆動効率が落ちてしまいます。マスダンパーなどのウェイトを適切に配置して、バランスの取れたマシン作りを心がけましょう。
「基本に忠実に」とは、派手な改造よりも基本的な部分をしっかり作り込むことが重要だということ。例えば、ギアのクリアランス調整やホイールの取り付け精度など、地味ですが効果的な調整を丁寧に行うことで驚くほどマシンが速くなります。
実際にタミヤプラモデルファクトリー新橋店で開催された「ミニ四駆メディア対抗レース」で優勝したマシンも、この3原則に忠実に作られていました。ネットの情報に踊らされて余計なパーツを付けるよりも、基本に立ち返った作りこみが勝利に繋がったというのは非常に示唆的です。
ミニ四駆のノーマルモーターで最速を目指すならVSシャーシが最適
ノーマルモーターで最速を目指すなら、シャーシ選びは非常に重要です。中でもVSシャーシは軽量さと調整のしやすさから、ノーマルモーター仕様には特におすすめです。
VSシャーシの大きな特徴は、そのシンプルな構造と軽量さにあります。基本重量が軽いので、ノーマルモーターの限られたパワーでも十分な加速を得ることができます。また、パーツの取り付けやすさや改造のしやすさも大きな魅力です。
メディア対抗レースの優勝マシンもVSシャーシが採用されていました。このレースはノーマルモーター縛りのルールでしたが、VSシャーシの軽量さが勝利の大きな要因となったようです。シャーシ重量は軽量化後で11.9gという驚異的な軽さを実現していました。
VSシャーシと並んでおすすめなのがMAシャーシです。「素組み最強」とも評されるMAシャーシは、駆動効率の良さが特徴で、大径バレルタイヤと組み合わせることで素組みでも驚くほどの速さを発揮します。特にフラットなコースではその性能を遺憾なく発揮してくれるでしょう。
ARシャーシも人気が高く、基本性能の高さから初心者から上級者まで幅広く愛用されています。特に「シャドウシャークイエロースペシャル」などの限定キットでは、超速ギア(3.5:1)と色付きローハイトタイヤが標準装備されており、「化物キット」とも呼ばれる高性能なセットになっています。
ノーマルモーターで速いミニ四駆を作るコツはシャーシの軽量化から始める
ノーマルモーターで速いミニ四駆を作るなら、まず手をつけるべきはシャーシの軽量化です。パワーに限りのあるノーマルモーターでは、マシンを軽くすることが加速力アップの最も効果的な方法となります。
代表的な軽量化の方法は、シャーシ下面をリューターやカッターなどでカットすることです。例えば、VSシャーシの場合、ラットラインと呼ばれる部分にマスキングテープを貼ってからカットすると作業がしやすくなります。この加工により「軽量化」「シャーシに適度なねじれが入る」「バッテリーの取り外しが容易になる」という一石三鳥の効果が得られます。
注意点としては、バンパーやステー部分など車体強度に関わる部分は必要以上にカットしないことです。特に立体コースを走らせる場合は、ボディ剛性が必要になるため、フロントバンパーサイドなどは残しておくのが賢明です。VSシャーシの場合、バンパーをカットすればさらに1〜2g軽量化できますが、使用目的に応じて判断しましょう。
実際の目標重量としては、バッテリー込みで90〜95g程度が理想的です。メディア対抗レースの優勝マシンは91.4gで、これはかなり軽量な部類に入ります。もちろん走行安定性とのバランスも重要なので、極端な軽量化は避け、走行テストを繰り返しながら最適な重量を見つけることをおすすめします。
軽量化と同時に考えたいのが、パーツの質量分布です。マシンのバランスを崩さないよう、前後左右の重量配分を考慮しながら軽量化を進めましょう。特にコーナリング性能に影響するので、必要に応じてマスダンパーなどを使って微調整するとよいでしょう。
ギアのクリアランス調整がノーマルモーターの最速化に直結する理由
ノーマルモーターの限られたパワーを最大限に引き出すために欠かせないのが、ギアのクリアランス調整です。この調整はパワーロスを最小限に抑え、モーターの力を効率よくタイヤに伝えるために極めて重要です。
ギアのクリアランス調整とは、ギア同士の噛み合わせや、ギアとシャーシの隙間を最適化する作業です。ギアをひとつ組み込むたびに各ギアのクリアランスを確認しながら組み付けていくことがポイントです。この作業を丁寧に行うことで、駆動抵抗を大幅に減らすことができます。
特に注意したいのは、ギアの噛み合わせが深すぎても浅すぎても効率が落ちるということ。適切な噛み合わせを実現するために、シャフトの位置を微調整したり、場合によってはワッシャーを使って高さを調整したりすることも効果的です。
ギアのクリアランス調整が完了したら、シャフトとシャーシが干渉するプラ部分にのみ「セラグリスHG」などの高性能グリスを塗布します。ここで重要なのは、ギアの歯にはグリスを塗らないこと。ギアの歯にグリスを塗ると、かえって抵抗になることがあるので注意が必要です。
駆動抵抗を極限まで減らすことができれば、ノーマルモーターでも驚くほどのパフォーマンスを発揮することができます。メディア対抗レースの優勝マシンも、この細かな調整が勝因の一つだったとされています。地味な作業ですが、「基本に忠実に」という原則に立ち返り、丁寧な調整を心がけましょう。
ホイールの取り付け精度がミニ四駆ノーマル最速の鍵となる理由
ミニ四駆のパフォーマンスを左右する要素の中で、特に重要なのがホイールの取り付け精度です。個人的には「ミニ四駆の製作でいちばん重要」との意見もあり、その精度が速さに直結します。
ホイールの取り付け精度とは、具体的には「ホイールのド真ん中にシャフトをまっすぐ通し、タイヤをブレなく回す」ということ。これが実現できていないと、回転時にブレが生じて駆動ロスになり、ノーマルモーターの限られたパワーを無駄に消費してしまいます。
理想的なホイール取り付けを行うには、専用工具を使用するのが効果的です。例えば「ホイールドリリングPROプレート」などの工具を使って、1.8ミリのピンバイスで下穴を開口し、さらに強化シャフトを貫通させて6角穴を作るという方法があります。こうすることで、シャフトがホイールにしっかりと固定され、ブレのない回転が実現します。
シャフト選びも重要です。ノーマルモーター仕様なら軽量な「60mm中空ステンレスシャフト」がおすすめです。中空シャフトは精度が出しにくいという欠点もありますが、軽さによる加速性能の向上というメリットがあります。トルクの少ないノーマルモーターでは、この加速性能の向上が大きな武器になります。
ホイールの取り付け精度を上げることで、直線での加速はもちろん、コーナリングの安定性も向上します。タイヤが均等に接地することで、コーナーでの挙動が安定し、より速いラップタイムを記録することができるでしょう。基本中の基本ですが、この部分をおろそかにしないことがノーマルモーターで速いマシンを作る秘訣です。
ノーマルモーターの慣らし方でミニ四駆の最高速度は大きく変わる
ノーマルモーターをそのまま使うのではなく、適切に「慣らし」を行うことで、そのパフォーマンスを大幅に向上させることができます。モーター慣らしとは、新品のモーターを最適な状態に調整する作業のことで、これを行うだけでマシンの速度が驚くほど変わることもあります。
モーターの慣らし方については様々な方法が存在しますが、基本的には低電圧で少しずつモーターを回転させ、内部の部品を馴染ませていくというプロセスになります。具体的な方法としては、「ミニ四駆 慣らし 銅ブラシ」などのキーワードで検索すると詳しい情報が得られます。
慣らしの際は、モーターに「愛」を注ぐことが大切とも言われています。使いかけのアルカリ電池などで少しずつ回し、回転音が甲高くなり、回転に引っ掛かりがなくなるまで丁寧に慣らしていきます。この作業によって、モーターのブラシと整流子の接触面が最適化され、電気の伝わりが良くなります。
慣らしをしっかり行ったノーマルモーターは、スピードチェッカーで測定すると時速21km程度を記録することもあります。ただし、実走行では速度が出るモーターよりも、トルクがあって加速の良いモーターの方が使い勝手が良いことが多いので、単純な最高速度だけを追求するのではなく、コースレイアウトに合わせた特性を持つよう調整することが重要です。
モーター慣らしの過程では、熱を持ち過ぎないよう注意する必要があります。日陰で作業を行い、必要に応じて冷ましながら慣らしを進めましょう。また、慣らし後はモーターの特性が変わるので、再度マシンのセッティングを見直すことも大切です。適切に慣らされたノーマルモーターは、チューンモーターに匹敵する性能を発揮することもあるのです。
ミニ四駆をノーマル最速にするためのパーツ選びとコース攻略法
- ローラーの幅と角度調整でミニ四駆のノーマル最速セッティングが完成する
- 前輪タイヤはハードタイプを選ぶとミニ四駆のコーナリングが速くなる
- 素組みで速いシャーシランキングはARとMAが上位を占める
- ノーマルモーターでの平均速度は時速10km程度だが相対速度は驚異的
- 電池の種類でミニ四駆のタイムは最大8%も変わることがある
- 車体の傾きを抑えることでミニ四駆のコーナリング速度は大幅に向上する
- まとめ:ミニ四駆のノーマル最速化は基本に忠実なセッティングが成功の鍵
ローラーの幅と角度調整でミニ四駆のノーマル最速セッティングが完成する
ミニ四駆のコーナリング性能を左右する最も重要な要素の一つが、ローラーのセッティングです。特にローラーの幅と角度調整は、ノーマルモーターでの最速化に欠かせない要素となります。
まず、ローラーの幅についてですが、公式レースでは105mmを超えない範囲での調整が必要です。重要なのは、前ローラーと後ろローラーの幅を同じにすること。例えば、前が105mmなら後ろも105mm、前が100mmなら後ろも100mmというように合わせるのが基本です。さらに厳密に言えば、コース壁に触れる側の「車体の中心からローラー外ツラまでの長さ」を前後で同じにすることで、理想的なコーナリングが実現します。
ローラーの角度調整も非常に重要です。ローラーには「スラスト角」と呼ばれる傾きがあり、これがコースからの飛び出しを防いでくれる一方で、強すぎるとブレーキとして作用してしまいます。ノーマルの状態のスラスト角は一般的にきつすぎるため、「ローラー角度調整プレートセット」などを使ってスラスト角を緩めることで、大幅なスピードアップが期待できます。
ただし、スラスト角を完全になくしてしまうとコースアウトの原因となるので注意が必要です。また、モーターのパワーアップに合わせてスラスト角も調整する必要があり、車のスピードに合ったスラスト角を見つけることが重要です。コースアウトや衝撃でスラスト角が変わることもあるので、走行前には必ず前ローラーの角度を確認するようにしましょう。
ローラー選びも重要なポイントです。低摩擦のベアリングローラーを使用することで、走行抵抗を減らし、ノーマルモーターでも速いマシンに仕上げることができます。グレードアップパーツのFRPマルチワイドステーを利用すると、9mm、13mm、19mmなどのベアリングローラーを105mmにセッティングすることが可能です。径の大きなローラー(例:19mmプラリング付きアルミベアリングローラー)は重くなりますが、コースの段差の影響を受けにくいというメリットがあります。
最終的には、実際のコースで走らせながら微調整を重ね、最適なローラーセッティングを見つけ出すことがノーマルモーターでの最速化につながります。地道な作業ですが、この調整が速さを大きく左右するので、しっかりと時間をかけて取り組みましょう。
前輪タイヤはハードタイプを選ぶとミニ四駆のコーナリングが速くなる
ミニ四駆のコーナリング性能を向上させるためには、タイヤ選びも非常に重要です。特に前輪タイヤの選択は、ノーマルモーターでの最速化に大きく影響します。
ミニ四駆にはステアリング機構がないため、コーナーを曲がる時は前輪が横滑り(ドリフト)して進みます。つまり、実車でいうところの「ドリフト走行」を常に行っているわけです。そのため、前輪タイヤは横滑りしやすいものを選ぶことで、コーナーでのスピードが格段に向上します。
具体的には、ハードタイプのバレルタイヤが前輪には最適です。ノーマルタイプのバレルタイヤでもある程度は速くなりますが、ハードタイプに変えることで横滑り(ドリフト)がしやすくなり、コーナリング性能が格段に向上します。実験的には、前輪のゴムを完全に外して、ホイールだけで走らせると驚くほど速くなるという報告もあります。ただし見た目の問題もあるので、実用的にはハードタイプのタイヤを使用するのがおすすめです。
逆に、ハイグリップタイプのソフトタイヤを前輪に使用すると、グリップ力が強すぎてドリフトしにくくなり、結果的に速度が落ちてしまいます。これは一見矛盾しているように思えますが、ミニ四駆のコーナリングの仕組みを考えると理にかなっています。
タイヤのサイズもパフォーマンスに影響します。「スーパーハード ローハイトタイヤ」などを使い、大径ホイールにセットしたときに直径が約26mmになるようにカットするという方法もあります。カットの際にはパーツクリーナーなどでタイヤを冷やしながら刃を入れると、きれいにカットでき、1セットで2台分作れるというコスパの良さもあります。
タイヤ外れを防止するには、両面テープをホイールに貼ってからタイヤをはめるという方法が効果的です。特に高速走行時には外側のタイヤが空回りして外れることがあるので、この対策は重要です。前輪ドリフト走行を前提としたセッティングで、ノーマルモーターでも驚くほど速いマシンに仕上げることができるでしょう。
素組みで速いシャーシランキングはARとMAが上位を占める
素組みで速いシャーシを選ぶことは、ノーマルモーターでの最速化の第一歩です。数多くあるシャーシの中でも、特に素組みで速いと定評があるのがARシャーシとMAシャーシです。
ARシャーシは、バランスの良さと安定性に優れており、初心者から上級者まで幅広く支持されています。特に「シャドウシャークイエロースペシャル」などの限定キットでは、3.5:1の超速ギアと色付きローハイトタイヤが標準装備されており、素組みでも十分な速さを発揮します。回転効率が良く、コーナリングも安定しているため、素組み対決では強力な選択肢となるでしょう。
一方のMAシャーシは「素組み最強」とも評されるほどの性能を持ち、大径バレルタイヤとの組み合わせで抜群の速さを発揮します。ギア比4:1という標準設定は、加速と最高速のバランスが良く、特にフラットコースでは圧倒的な強さを見せます。素組みの状態でもローラーや駆動系が効率良く設計されており、初めてのミニ四駆として選ぶにも最適です。
VSシャーシは軽量かつ改造のしやすさが魅力で、限定キットの「サンダーショットMk-Ⅱレッドスペシャル」などは白MAシャーシを搭載し、大径バレルのハードタイヤを履いた最適解として人気があります。ノーマルモーターとの相性も良く、シャーシ下面のカットなどの軽量化を施すことで、さらなる高速化が期待できます。
SXXシャーシは安定性を重視したい場合に適しており、小径ワイドバレルタイヤやゴムローラーとの組み合わせで、コースアウトの少ない走りを実現します。ただし、素組みでの速さという観点ではARやMAに一歩譲る部分もあるため、改造を前提とした選択肢と言えるでしょう。
以上のシャーシの特性をまとめると、以下のような素組み速さランキングになります:
- MAシャーシ:素組み最強の呼び声高く、特にフラットコースで威力を発揮
- ARシャーシ:バランスが良く、超速ギア搭載の限定キットは「化物」級の速さ
- VSシャーシ:軽量で改造性に優れ、ノーマルモーターとの相性も良好
- SXXシャーシ:安定性重視のセッティングに向いているが、素のままでは他に一歩譲る
ミニ四駆のコースや走行スタイルに合わせて最適なシャーシを選ぶことで、ノーマルモーターでも十分に楽しめる速さを実現できるでしょう。
ノーマルモーターでの平均速度は時速10km程度だが相対速度は驚異的
一見すると遅く感じるかもしれないノーマルモーターのミニ四駆ですが、その実際の速度と相対的な速さについて正確に理解することは重要です。独自調査によると、ノーマルモーターを使ったミニ四駆の平均速度は、オーバルコースで時速約10.1km、テクニカルコースで時速約8.3kmと測定されています。
この数値だけを見ると、人間のジョギングやランニングの速度に近く、決して「速い」とは言えないかもしれません。50m走を7.5秒で走る人の速度は時速24kmになるため、屋外で走らせても人間が追いつける速さです。
しかし、ミニ四駆が1/32スケールの模型であることを考慮すると、話は大きく変わってきます。実車に換算した「相対速度」で考えると、オーバルコースを走るノーマルモーターのミニ四駆は1秒間に自分の車体長で18台分も進むことになります。これはオーバルを走るインディカーと同等の相対速度であり、実車では300km/h以上に相当する驚異的な速さなのです。
さらに、モーターをスプリントダッシュに変えただけでも、オーバルコースでの相対速度は1秒間に24台分(実車換算で約400km/h)に達します。プロが調整した改造ミニ四駆だと、時速数十kmに達するとも言われており、相対速度では音速の領域に到達しているとも考えられます。
このように、ミニ四駆のノーマルモーターでの走行は、絶対速度では決して速くないものの、そのサイズを考慮した相対速度では驚異的な速さを実現しています。F1を上空から撮影した映像がゆっくり見えるのと同様に、ミニ四駆の「速さ」は見る角度によって大きく変わるのです。この視点を持つことで、ノーマルモーターのミニ四駆走行の魅力をより深く理解できるでしょう。
電池の種類でミニ四駆のタイムは最大8%も変わることがある
ミニ四駆のパフォーマンスに大きく影響するのが、使用する電池の種類です。一見すると「どれも同じでは?」と思うかもしれませんが、実は電池選びだけでタイムが大きく変わることがあります。
独自調査によると、新品の純正電池(ネオチャンプ)を使用することで、約8.7%ものタイムアップが報告されています。具体的には、適当な状態から47%のタイム短縮に成功した例もあり、電池の選択がいかに重要かがわかります。
ミニ四駆用の電池には様々な種類がありますが、公式競技では「ニッケル水素電池 ネオチャンプ」が推奨されています。これは安定した出力と耐久性を兼ね備えており、レース用としては最適な選択肢です。もちろん、練習用には100均などで入手できる安価なアルカリ電池でも十分ですが、本番では純正電池を使うことで確実にパフォーマンスが向上します。
電池の電圧も重要なポイントです。例えば、2本での電圧が2.78Vという数値が報告されていますが、この値が0.01V違うだけでもタイムに影響することがあります。本気で競技に挑むなら、複数の電池セットを用意して、その中から最も電圧の高いものを選ぶという「電池選抜」も有効です。
また、電池の消耗状態もパフォーマンスに直結します。使い始めは出力が高くても、使用時間が長くなるにつれて出力は低下していきます。特に重要な競技の前には、フル充電の新品電池を用意することをおすすめします。さらに、電池の接触部分(ターミナル)をきれいに磨いておくことで、電気の流れがスムーズになり、より高いパフォーマンスを引き出せるでしょう。
電池だけでなく、駆動系のパーツ(ボールベアリングなど)との組み合わせも重要です。高品質な電池と効率の良い駆動系を組み合わせることで、ノーマルモーターでも驚くほどの速さを実現できます。「軽量化」「効率化」「パワーアップ」のバランスを取りながら、最適な電池選びを心がけましょう。
車体の傾きを抑えることでミニ四駆のコーナリング速度は大幅に向上する
ミニ四駆がコーナーを走行する際、遠心力によって車体が外側に傾きがちになります。この傾きをいかに抑えるかが、ノーマルモーターでの最速化において非常に重要なポイントになります。
車体が外側に傾くと、内側のタイヤが浮き上がり、外側のタイヤだけでコーナーを曲がることになります。ミニ四駆は4WD(四輪駆動)で4つのタイヤすべてが同じ速度で回転しているため、内側と外側でタイヤの走行距離に差が生じると、回転差によって全体的な速度が抑えられてしまいます。本物の自動車には「差動装置(デファレンシャル)」があってこの問題を解決していますが、ミニ四駆にはそれがないため、車体の傾きを抑えることが重要なのです。
車体の傾きを抑えるセッティングとしては、ローラーの適切な配置が効果的です。公式レースで使用できるローラーは6個までと定められているため、この6個のローラーをうまく使って車体が傾かないようにセッティングすることが理想的です。
特に注意したいのは、コース走行中にタイヤが外れるトラブルです。これは内側のタイヤでコーナーを曲がっている状態で、外側のタイヤが空回りして外れてしまうことが主な原因です。対策としては、両面テープをホイールに貼ってからタイヤをはめるという方法が有効です。
一方で、スタビライザーの使用については慎重な判断が必要です。スタビライザーは傾いた車体を元に戻す役割がありますが、回転しないためブレーキとなって速度を落とす原因にもなります。「スタビレスのセッティング」を目指すという考え方もあり、車体が傾かないような基本セッティングを徹底することで、スタビライザーなしでも安定した走りを実現できる可能性があります。
コーナーを速く走るためには、「車体が傾いてからの制御」よりも「はじめから車体が傾かないセッティング」を目指すことが、ノーマルモーターでの最速化には効果的です。地道な調整作業になりますが、車体の傾きを抑えることができれば、ノーマルモーターでも驚くほどの速さを実現できるでしょう。
まとめ:ミニ四駆のノーマル最速化は基本に忠実なセッティングが成功の鍵
最後に記事のポイントをまとめます。
- ノーマルモーターで最速を目指すなら「軽く」「バランス良く」「基本に忠実に」の3原則が重要
- VSシャーシとMAシャーシはノーマルモーターとの相性が特に良く、素組みでも高性能
- シャーシの軽量化はノーマルモーターの加速力を引き出すのに効果的で、VSシャーシなら11.9gまで軽量化可能
- ギアのクリアランス調整を丁寧に行うことで駆動効率が大幅に向上し、パワーロスを最小限に抑えられる
- ホイールの取り付け精度はミニ四駆製作で最も重要な要素の一つで、専用工具を使った精密な取り付けが理想的
- ノーマルモーターの慣らしを行うことで、時速21kmの最高速度を記録することも可能
- ローラーの幅は前後同じ(理想は105mm)にし、スラスト角を適切に調整することでコーナリング性能が向上
- 前輪タイヤはハードタイプのバレルタイヤを選ぶと横滑り(ドリフト)がしやすくなりコーナリングが速くなる
- 素組みで速いシャーシはMA、AR、VS、SXXの順で、それぞれに特徴がある
- ノーマルモーターの平均速度は時速10km程度だが、1/32スケールの相対速度では300km/h以上に相当する
- 電池の種類によってタイムは最大8.7%変わり、純正の「ネオチャンプ」が最も安定したパフォーマンスを発揮
- 車体の傾きを抑えるセッティングを行うことで、4輪すべてを使った効率的な走行が可能になる
- 両面テープを使ったタイヤ固定や、ローラーのベアリング化など細部の調整も重要
- ネットの情報に踊らされず、基本に忠実な作りこみを徹底することが勝利への近道