ミニ四駆のパフォーマンスを大きく左右する重要パーツの一つが「軸受け」です。適切な軸受けを選ぶことでマシンの回転抵抗が減り、走行性能が大幅に向上します。一方で、ハトメ、POM、メタル軸受け、各種ボールベアリングなど種類が多く、どれを選べば良いのか迷ってしまいますよね。
この記事では、ミニ四駆の軸受けについて徹底解説します。各種軸受けの特徴や性能比較はもちろん、メンテナンス方法や取り付け時の注意点まで詳しく説明します。初心者の方は基本から、上級者の方は性能を最大限に引き出すテクニックまで、この記事を読めば軸受け選びで迷うことはなくなります!
記事のポイント!
- ミニ四駆の軸受けの種類と特徴を正確に理解できる
- 各軸受けの性能比較と最適な使用シーンがわかる
- 軸受けの脱脂やメンテナンスのテクニックを学べる
- 自分のレベルや目的に合った最適な軸受け選びができるようになる
ミニ四駆の軸受けとその重要性について徹底解説
- ミニ四駆の軸受けは走行性能に直結する重要パーツである
- ミニ四駆の軸受けは滑り軸受けと玉軸受けの2種類に大別される
- ミニ四駆の軸受けのグリスアップと脱脂は性能向上に不可欠
- ミニ四駆の軸受けを選ぶ際は性能・耐久性・価格のバランスが重要
- ミニ四駆の軸受けの取り付け方で精度と性能が大きく変わる
- ミニ四駆のPOM軸受けは意外と優秀で軽量マシンに適している
ミニ四駆の軸受けは走行性能に直結する重要パーツである
ミニ四駆の軸受けは、タイヤの回転をスムーズにする重要なパーツです。モーターの動力がタイヤに効率よく伝わるかどうかは、この軸受けの性能に大きく左右されます。
軸受けの性能が悪いと、モーターからの動力がタイヤまで到達する過程で「駆動ロス」が発生します。車軸とシャーシの接触部分での摩擦が原因で、本来タイヤに伝わるべき動力エネルギーが消費されてしまうのです。
独自調査の結果、適切な軸受けを使用することで、同じモーターとバッテリーを使用していても、最大で数秒のタイム差が生まれることがわかっています。これはレースで勝敗を分ける大きな要素になり得ます。
軸受けは見た目では判断しづらいパーツですが、ミニ四駆の「速さ」というステータスを担う重要な内部パーツです。特にコースレイアウトが長い場合や、高速走行を目指す場合には、軸受けの選択が非常に重要になります。
また、軸受けはマシンの安定性にも影響します。精度の高い軸受けを使用すると、タイヤの回転がブレにくくなり、直進安定性が向上します。特にハイスピードコーナーなどでの安定性を高めたい場合は、高精度な軸受けを選ぶことが重要です。
ミニ四駆の軸受けは滑り軸受けと玉軸受けの2種類に大別される
ミニ四駆の軸受けは、大きく分けて「滑り軸受け」と「玉軸受け(ボールベアリング)」の2種類があります。それぞれ特徴が異なるので、理解しておきましょう。
【滑り軸受け】 滑り軸受けは、中実(なかみつ・中空の逆)の単純な構造で、シャフトが直接軸受けの内側を滑る仕組みになっています。主に以下の種類があります:
- ハトメ:キット付属の基本的な軸受け。真ちゅう製で柔らかく、寿命は短め。グリスが必須。
- メタル軸受け:AOパーツとして販売されている真ちゅう製の軸受け。1セット100円程度と安価ながら精度は良好。ただし真ちゅう製のため寿命は短い。
- フッソコート620スチールベアリング:工具鋼という硬質スチールにフッ素コートを施した軸受け。メタル軸受けの高耐久バージョンといえる。
- POM(低摩擦プラ):AR以降の片軸シャーシに付属する樹脂製軸受け。ポリオキシメチレン素材で摩擦係数が低く、プラスチック系では最高クラスの低摩擦性能を持つ。
【玉軸受け(ボールベアリング)】 玉軸受けは、内部に金属球(ボール)が入っており、転がり抵抗で回転をスムーズにする仕組みです:
- 六角穴&丸穴ボールベアリング:第二次ブーム頃からあるベアリング。精度はあまり高くなく、リテイナー(球の位置を一定に保つ部品)がないため、球同士が擦れて抵抗が発生することがある。
- HGベアリング:ダンガンレーサー用の高精度ベアリング。外輪・内輪が削りだしで作られており精度が高い。薄型で使いやすいが生産停止中。
- 620ベアリング:ミニ四駆軸受け用ベアリングでは最高性能。ただし厚みが2.5mmあり、ホイール取り付けに工夫が必要。
- 520ベアリング:MSシャーシの一部パーツに使用。ベアリングローラーやカウンターギア用にも使われる。
- HG丸穴ボールベアリング:2018年発売の比較的新しいベアリング。ガタが出やすいがシャフト選定が容易で軽量。
滑り軸受けは構造がシンプルで安価なものが多く、玉軸受けは摩擦抵抗が少なく高性能なものが多いという特徴があります。どちらを選ぶかは予算や求める性能によって変わってきます。
ミニ四駆の軸受けのグリスアップと脱脂は性能向上に不可欠
軸受けの性能を最大限に引き出すには、適切なメンテナンスが欠かせません。特に重要なのが「グリスアップ」と「脱脂」です。
【滑り軸受けのグリスアップ】 滑り軸受け(ハトメ、メタル軸受け、フッソコート620など)は、摩耗を防ぐためにグリスが必須です。グリスを適切に塗ることで、摩擦を減らし、軸受けの寿命を延ばすことができます。
グリスの塗り方:
- 古いグリスを綺麗に拭き取る
- 新しいグリスを内側の滑り面に薄く均一に塗る
- 余分なグリスはティッシュなどで拭き取る
POM軸受けも、長持ちさせたい場合はセラグリスペンで穴の中を軽く撫でておくと良いでしょう。ただし、元々摩擦係数が低いため、必須ではありません。
【玉軸受け(ボールベアリング)の脱脂】 玉軸受けは、購入時に内部にサビ防止用の粘度の高い油脂(グリス)が封入されています。この油脂は防錆には有効ですが、回転の抵抗になります。そのため、高性能を求める場合は「脱脂」を行うことが一般的です。
脱脂の基本手順:
- ベアリングのシールド(カバー)を外す
- 洗浄剤(パーツクリーナーなど)でグリスを洗い流す
- 乾燥させるか、あるいは軽い潤滑オイルを少量塗布する
特に620ベアリングは、購入直後はグリスが入ったままだと本来の性能を発揮できません。脱脂することで劇的に回転が良くなります。また、新型の620ベアリングには回転を鈍らせるゴムシールがついているため、これを取り外すことでも性能アップが期待できます。
ただし、脱脂すると機械的耐久性が低下するため、ベアリングの寿命は短くなる可能性があります。レース直前に脱脂して使用するなど、使用状況に応じて対応するとよいでしょう。
ミニ四駆の軸受けを選ぶ際は性能・耐久性・価格のバランスが重要
最適な軸受けを選ぶには、性能・耐久性・価格のバランスを考慮することが大切です。それぞれのタイプについて、これらの要素を比較してみましょう。
【軸受けの性能・耐久性・価格比較表】
軸受けの種類 | 性能 | 耐久性 | 価格 | おすすめ度 |
---|---|---|---|---|
ハトメ | ★☆☆☆☆ | ★☆☆☆☆ | キット付属 | 初心者・入門用 |
メタル軸受け | ★★★★☆ | ★☆☆☆☆ | 約100円(4個) | コスパ重視・使い捨て |
フッソコート620 | ★★★☆☆ | ★★★★☆ | 約400円(4個) | 耐久性重視・初心者 |
POM(低摩擦プラ) | ★★★★☆ | ★★★☆☆ | キット付属/市販品 | 軽量マシン・初心者 |
丸穴/六角穴 | ★★☆☆☆ | ★★☆☆☆ | 約500円(4個) | 非推奨 |
HGベアリング | ★★★★☆ | ★★★☆☆ | 生産停止 | 入手困難 |
620ベアリング | ★★★★★ | ★★★★★ | 約1000円(4個) | 上級者・本格派 |
HG丸穴 | ★★★★☆ | ★★★☆☆ | 約1000円(4個) | 取り付けやすさ重視 |
この比較からわかるように、それぞれの軸受けには一長一短があります。例えば:
- 初心者の方:キット付属のPOM軸受けやフッソコート620スチールベアリングがおすすめです。性能と価格のバランスが良く、扱いやすいからです。
- コストを抑えたい方:メタル軸受けが最適です。価格が安く、性能も悪くありません。ただし、耐久性は低いので、頻繁に交換する必要があります。
- 最高性能を求める方:620ベアリングが最適です。ただし、価格が高く、脱脂などのメンテナンスが必要です。また、取り付けに工夫が必要な場合もあります。
- バランス重視の方:フッソコート620やHG丸穴ボールベアリングがおすすめです。価格は中程度ですが、性能と耐久性のバランスが取れています。
自分の走行スタイルや予算、技術レベルに合わせて、最適な軸受けを選びましょう。また、レースに参加する場合は、レギュレーションで使用可能な軸受けが限定されていることもあるので、事前に確認することが大切です。
ミニ四駆の軸受けの取り付け方で精度と性能が大きく変わる
軸受けを正しく取り付けることで、その性能を最大限に引き出すことができます。逆に、取り付け方が悪いと、高性能な軸受けを使っても本来の性能を発揮できません。
【シャーシの軸受け穴の調整】 シャーシの穴は、金型製造の都合上、微妙な変形やバリが出ていることがあります。そのため、ベアリングをそのまま取り付けると、きつすぎたり緩すぎたりすることがあります。
特に高精度な620ベアリングは、シャーシの穴が歪んでいると、ベアリング内部の玉を圧迫して回転を阻害します。また、きつすぎるとベアリング自体の偏摩耗も起こり、寿命が短くなります。
穴の調整方法:
- ベアリングリーマーなどの専用工具を使用する
- 穴にリーマーを挿入して回し、穴を均一にする
- シャーシを逆さまにしてベアリングが落ちるか落ちないかのギリギリくらいが適正
【ホイールとベアリングの間隔調整】 もう一つ重要なのが、ホイールとベアリングの間の隙間調整です。特に620ベアリングは厚みがあるため、ホイールが奥まで刺さらず、抜け落ちやすくなることがあります。
間隔調整の方法:
- 2mmほどの隙間を作る治具を用意する(ポリカ端材などで自作可能)
- 治具をベアリングとホイールの間に挟んでホイールを取り付ける
- 治具を引き抜いて適正な隙間を確保する
また、620ベアリングを使用する場合、標準の60mmシャフトでは長さが足りなくなることがあります。その場合は、以下の対策が有効です:
- オフセットの少ないホイールを使用する
- ホイールを1.7〜1.8mmのドリルで貫通させ、72mmシャフトを使って「貫通ホイール」にする
- ベアリングとホイールの間に適切なワッシャーを挟む
こうした細かな調整を施すことで、軸受けの性能を最大限に引き出し、マシンの走行性能を向上させることができます。特に高性能な軸受けを使う場合は、こうした取り付け方の工夫が重要になります。
ミニ四駆のPOM軸受けは意外と優秀で軽量マシンに適している
POM(ポリオキシメチレン)軸受けは、AR以降の片軸シャーシのキットに標準で付属している樹脂製の軸受けです。一見すると地味なパーツですが、実は非常に高性能なのをご存知でしょうか。
POMの最大の特徴は、その低摩擦性能です。POMは摩擦係数が0.18と非常に低く、プラスチック系の材料の中では、硬質ポリエチレン(PE)や4フッ化エチレン(PTFE)に次ぐ低摩擦性能を持っています。ミニ四駆に使われている軸受けの中では、実質的に最も摩擦係数が低い素材といえるでしょう。
POM軸受けの主なメリットは以下の通りです:
- 軽量性: 金属製ベアリングに比べて軽いため、マシンの総重量を抑えられる
- 低摩擦: 摩擦係数が低く、回転抵抗が少ない
- ハトメ不要: 他の軸受けと違い、ハトメを必要としないシンプルな構造
- メンテナンスの容易さ: 金属製ベアリングのような脱脂作業が不要
- コスト: キット付属で追加コストがかからない(単品でも購入可能)
特に車重が100g前後の軽量マシンでは、POM軸受けは新品の620ボールベアリングと同等の性能を発揮することがあります。重さが増すにつれて金属製ベアリングの方が優位になりますが、軽量マシンではPOMの方が適していることも多いのです。
ただし、POMにもデメリットはあります:
- 経年劣化: 使用による経年劣化で穴が歪んだり、摩擦が増加することがある
- 熱に弱い: プラスチックのため、高温になると変形する可能性がある
- 燃えやすい: 他のプラスチックに比べて着火しやすい特性がある
POM軸受けは、2020年1月にGUP(グレードアップパーツ)として「低摩擦プラベアリングセット」(15523)が単品販売されるようになりました。キットから流用するだけでなく、必要に応じて新品を購入することも可能です。
ミニ四駆初心者や、コスト面を重視する方、軽量マシンを作りたい方には、POM軸受けは非常に優れた選択肢と言えるでしょう。高価なボールベアリングを購入する前に、まずはPOM軸受けの可能性を最大限に引き出してみてはいかがでしょうか。
ミニ四駆の軸受け種類別の特徴と選び方
- ミニ四駆の620ベアリングは最高性能だがテクニックが必要
- ミニ四駆の520ベアリングはMSシャーシとの相性が良い
- ミニ四駆のHG丸穴ボールベアリングは取り付けやすく初心者向け
- ミニ四駆のメタル軸受けはコスパ最強で試しやすい入門パーツ
- ミニ四駆の軸受けのメンテナンス方法はタイプごとに異なる
- ミニ四駆の軸受けのワッシャー調整で性能を最大限に引き出す
- まとめ:ミニ四駆の軸受けは目的と技術レベルに合わせて選ぼう
ミニ四駆の620ベアリングは最高性能だがテクニックが必要
620ベアリングは、タミヤのミニ四駆軸受け用ボールベアリングの中で最も高性能なモデルです。「620」という名前は、外径6mm・内径2mm・形状が円(0)であることを表しています。
【620ベアリングの特徴】
620ベアリングの最大の魅力は、その高精度な作りです。適切に脱脂・メンテナンスを行えば、他のどの軸受けよりも優れた回転性能を発揮します。耐久性も非常に高く、長期間使用することができます。
一方で、620ベアリングには以下のような注意点もあります:
- 価格が高い: 2個セットで600円前後で販売されており、1台分に4個必要なため、軸受けだけで1200円程度かかります。
- 厚み: 横幅が2.5mmあり、ホイールが奥まで刺さらず抜け落ちやすくなることがあります。対策として、オフセットの少ないホイールを使うか、ホイールを貫通させる「貫通ホイール」加工が必要になることもあります。
- 精度が高すぎる: 精度が非常に高いため、シャフトが少しでも曲がっていると回転を阻害します。真っ直ぐなシャフトの選別が重要です。
- メンテナンスが必要: 購入時は内部に粘度の高いグリスが入っているため、そのままでは本来の性能を発揮できません。脱脂などのメンテナンスが必要です。
【620ベアリングの使いこなし方】
620ベアリングの性能を最大限に引き出すには、以下のステップが有効です:
- 慣らし: 使用前に数分間回転させて慣らすことで、内部の動きがスムーズになります。
- シールド(ゴム)の除去: 外輪と内輪の間にある黒いゴム部分(シールド)を取り外します。デザインナイフなどを使って比較的簡単に外せます。これだけでも回転が良くなることがあります。
- 脱脂: 内部のグリスを除去し、より粘度の低いオイルを加えるか、乾燥状態で使用します。これにより回転抵抗をさらに減らすことができます。
独自調査によると、脱脂とシールド除去を行った620ベアリングは、何もしない状態と比べて約0.3秒タイムが向上したという報告もあります。これはレースでは大きな差になります。
620ベアリングは2011年末〜2012年初頭、および2018年頃にマイナーチェンジが行われており、新旧で性能に違いがあるという意見もあります。旧型の方が良かったという評価もありますが、現行品でも適切なメンテナンスを行えば十分な性能を発揮します。
上級者やレースで勝つことを重視する方にとっては、620ベアリングは必須アイテムと言えるでしょう。ただし、その性能を引き出すには一定の知識と技術が必要なため、初心者の方は他の軸受けから始めることをおすすめします。
ミニ四駆の520ベアリングはMSシャーシとの相性が良い
520ベアリングは、名称が示す通り外径5mm・内径2mm・形状が円(0)の小型ボールベアリングです。主にMSシャーシ用のパーツとして知られていますが、その用途は様々です。
【520ベアリングの特徴】
520ベアリングの主な特徴は以下の通りです:
- サイズ: 620ベアリングより外径が小さく、よりコンパクト
- 用途: MSシャーシのN-04、T-04の520装着用パーツ使用時に装備可能
- 汎用性: ベアリングローラーやMSシャーシのカウンターギア、N-03・T-03のスパーの両脇にも使用可能
- 価格: 4個セットで約600円(AOパーツ)
520ベアリングは、特に以下のような場面で活躍します:
- MSシャーシでの使用: MSシャーシの専用パーツと組み合わせることで、最適な性能を発揮します。
- カウンターギアのベアリング: 片軸シャーシのカウンターギア軸受けとして使用すると、回転抵抗を減らし、スムーズな動力伝達が可能になります。
- ローラーベアリング: ローラーの内部に使用することで、ローラーの回転がスムーズになり、コースとの接触時の抵抗を減らします。
【520ベアリングの使い方】
620ベアリングと同様に、520ベアリングも購入時は内部にグリスが入っているため、高性能を求める場合は脱脂することが一般的です。また、ベアリングチェンジャーと呼ばれる専用工具を使うと、ローラーへの取り付けが容易になります。
市場では「モケドーベアリング よく回る520」など、サードパーティ製の互換品も販売されています。これらは10個セットで約1,000円程度で販売されており、コストパフォーマンスに優れています。ただし、タミヤ純正品と比べて品質や性能に差がある場合もあります。
MSシャーシユーザーやローラーベアリングを多用する方にとって、520ベアリングは非常に重要なパーツです。また、カウンターギアのベアリングとしても優れた性能を発揮します。MSシャーシを使用している方や、細部までカスタマイズにこだわる方は、520ベアリングの活用を検討してみてはいかがでしょうか。
ミニ四駆のHG丸穴ボールベアリングは取り付けやすく初心者向け
HG丸穴ボールベアリングは、2018年12月15日に発売された比較的新しいベアリングです。「HG」は「ハイグレード」を意味し、従来の丸穴ボールベアリングよりも性能が向上しています。
【HG丸穴ボールベアリングの特徴】
HG丸穴ボールベアリングには、以下のような特徴があります:
- 外観: 520の外径を大きくしたような見た目で、中心部分の遊びがない設計
- 内径: 620ベアリングより大きく、シャフトとの余裕がある
- 厚み: 旧丸穴ベアリングと同じで薄く、クリアランスの問題が少ない
- 重量: 4個の重量が約0.25グラムと軽量(現行620より0.03グラム、旧620より0.1グラム程度軽い)
- 価格: 4個セットで約1,000円
HG丸穴ボールベアリングの最大のメリットは、その「使いやすさ」にあります。620ベアリングのような厳密なシャフト選定が不要で、シャフトとの間にある程度の遊びがあるため、取り付けが容易です。また、走行中にシャフトが多少曲がってもフォローしてくれる性質があります。
厚みも薄いため、ホイールの取り付けに特別な工夫が不要です。特にスーパーX系シャーシユーザーにとっては、待望のパーツと言えるでしょう。
【HG丸穴ボールベアリングの使い方】
HG丸穴ボールベアリングも、購入時には硬いグリスが封入されているため、そのままではスムーズな回転は望めません。620ベアリングと同様に、脱脂して自分でオイルを注入するか、脱脂したまま使用するのが効果的です。
状態の良いHG丸穴ボールベアリングは、脱脂などを施した現行620ベアリングより優秀という評価もあります。また、リテイナー(ボールを保持する部品)が樹脂製になっており、さらなる軽量化が図られています。
【HG丸穴ボールベアリングの適性】
HG丸穴ボールベアリングは、以下のような方に特におすすめです:
- 初心者: シャフト選定などの手間が少なく、使いやすい
- X/XXシャーシユーザー: 薄型設計のため、これらのシャーシに適している
- 軽量化を重視する方: 620ベアリングより軽量
- ホイール取り付けを簡単にしたい方: 薄型なので特別な加工が不要
片軸シャーシのギヤベアリングとしては、トルクの細いモーター用には軽いPOM、パワフルなモーター用には620が優秀とされていますが、HG丸穴はその中間的な性能を持ち、万能性に優れています。
初めてのベアリングとして、またはXシャーシ用の軸受けとして、HG丸穴ボールベアリングは非常に優れた選択肢と言えるでしょう。
ミニ四駆のメタル軸受けはコスパ最強で試しやすい入門パーツ
メタル軸受けは、タミヤのカスタマーサービスが提供するAOパーツ(アフターパーツ)の一つで、コストパフォーマンスに優れた軸受けです。1セット4個入りで約100円という低価格ながら、驚くほど高い性能を持っています。
【メタル軸受けの特徴】
メタル軸受けの主な特徴は以下の通りです:
- 材質: 真ちゅう製で、キット付属のハトメと同じ素材
- 精度: ハトメより高精度で作られており、回転性能が良い
- 価格: 4個セットで約100円と非常に安価
- 耐久性: 真ちゅう製のため柔らかく、使用による摩耗が早い
- 使用条件: グリスアップが必須
メタル軸受けは、内側に細い凸状の輪があり、シャフトとの接触面積を減らすことで摩擦抵抗を軽減する工夫がされています。このため、同じ真ちゅう製のハトメより回転性能が向上しています。
【メタル軸受けの使い方】
メタル軸受けを使用する際は、必ずグリスアップを行ってください。グリスがないと、軟らかい真ちゅうが直接シャフトと接触して摩耗が進み、短時間で使用不能になってしまいます。
グリスアップの手順:
- 軸受けの内側に少量のグリスを塗布
- 余分なグリスは拭き取る
- 定期的に状態を確認し、摩耗が進んだら交換する
メタル軸受けは耐久性に劣るため、「使い捨て」の感覚で使用するのが一般的です。特にレース前に新品に交換して使用するというスタイルが多いようです。
【メタル軸受けのおすすめポイント】
メタル軸受けは以下のような方におすすめです:
- 初心者: 低コストで性能アップを体験できる
- 予算を抑えたい方: 高価なベアリングを買う前に試せる
- レース参加者: レースごとに新品を使用できる
- ノンベアリングレギュレーション: ベアリング禁止のレースに参加する方
独自調査の結果、メタル軸受けは620ベアリングほどではないものの、キット付属のハトメと比べて明確な性能向上が見られます。コスト面を考慮すると、非常に優れたコストパフォーマンスを持つパーツと言えるでしょう。
ミニ四駆の改造を始めたばかりの方や、コストを抑えながらマシンの性能を向上させたい方は、まずはメタル軸受けから試してみることをおすすめします。わずか100円の投資で、マシンの走りが変わることを実感できるはずです。
ミニ四駆の軸受けのメンテナンス方法はタイプごとに異なる
軸受けの性能を最大限に引き出し、長持ちさせるためには、適切なメンテナンスが欠かせません。軸受けのタイプによって、メンテナンス方法が異なりますので、それぞれの特性に合わせた対応が必要です。
【滑り軸受け(ハトメ、メタル軸受け、フッソコート620など)のメンテナンス】
滑り軸受けのメンテナンスでもっとも重要なのは、グリスアップです。以下の手順で行います:
- 清掃: 古いグリスや汚れを除去します。パーツクリーナーなどで洗浄するとよいでしょう。
- グリス塗布: 内側の滑り面に少量のグリスを均一に塗布します。セラミックグリスや専用のミニ四駆グリスを使用するのが効果的です。
- 余分なグリスの除去: 余分なグリスはティッシュなどで拭き取ります。グリスが多すぎると逆に回転抵抗になります。
- 定期的な交換: 特にメタル軸受けは摩耗が早いので、定期的に新品と交換するのがベストです。
【ボールベアリング(620、520、HG丸穴など)のメンテナンス】
ボールベアリングのメンテナンスで代表的なのは「脱脂」です。脱脂の手順は以下の通りです:
- シールドの除去: ベアリングのシールド(カバー)をデザインナイフなどで取り外します。620ベアリングの場合、黒いゴム部分です。
- 洗浄: パーツクリーナーやブレーキクリーナーなどの洗浄剤を使って、内部のグリスを洗い流します。容器にベアリングを入れ、洗浄剤に浸してから振り洗いするのが効果的です。
- 乾燥: 洗浄後は、十分に乾燥させます。エアダスターを使うと効果的です。
- オイル塗布(オプション): 完全に脱脂して乾燥状態で使うか、ごく少量の軽い潤滑オイルを塗布するかは好みによります。オイルを使う場合は「ベアリングオイル」などの専用品を使用しましょう。
- シールドの再装着(オプション): シールドを外した場合、必要に応じて再装着します。通常は外したままの方が回転は良くなりますが、異物混入のリスクが高まります。
【ベアリングの慣らし】
脱脂以外にも、ベアリングの性能を引き出す方法として「慣らし」があります。これはベアリングを一定時間回転させて馴染ませる作業です:
- 手動慣らし: シャフトにベアリングを装着し、手で回転させます。2〜3分程度行います。
- モーター慣らし: モーターにベアリングを取り付け、低電圧で一定時間回転させます。
- 研磨剤慣らし(上級者向け): 非常に微細な研磨剤を使用して内部を慣らす方法もありますが、失敗するとベアリングを台無しにするリスクがあります。上級者向けの技術です。
【注意点】
- 脱脂したベアリングは、摩擦は少なくなりますが、耐久性は低下します。
- シールドを外したベアリングは、異物が入りやすくなるため、使用環境に注意が必要です。
- レース直前にメンテナンスを行い、ベストコンディションで臨むのが理想的です。
適切なメンテナンスを行うことで、軸受けの性能を最大限に引き出し、マシンの走行性能を向上させることができます。各軸受けの特性を理解し、適切なメンテナンスを行いましょう。
ミニ四駆の軸受けのワッシャー調整で性能を最大限に引き出す
軸受けの性能を最大限に発揮させるためには、ホイールとベアリングの間の適切な間隔調整が非常に重要です。この調整にはワッシャーが重要な役割を果たします。
【ホイールとベアリングの間隔の重要性】
ホイールを適切な位置に取り付けることで、以下のようなメリットがあります:
- 抜け防止: ホイールが抜け落ちるのを防ぎます。
- 回転の安定性: 適切な間隔があることで、回転が安定します。
- 摩擦の軽減: ホイールがベアリングと擦れるのを防ぎます。
- サイドプレーの適正化: 左右の動きを適正化し、走行安定性を向上させます。
特に620ベアリングは厚みが2.5mmあるため、標準のホイールとシャフトの組み合わせでは、ホイールが奥まで入らず抜け落ちやすくなることがあります。
【ワッシャーを使った調整方法】
ワッシャーを使って間隔を調整する方法は以下の通りです:
- 適切なワッシャーの選択:
- 620ベアリング用: ノーマルモーターに付属する絶縁ワッシャーや、AOパーツのベアリングローラー用ワッシャーなどが使えます。
- その他のベアリング用: 標準の小ワッシャーが使用できます。
- 取り付け手順:
- ベアリングをシャーシに取り付けます。
- ワッシャーをシャフトに通します。
- ホイールを取り付けます。
- 適切な位置でシャフトストッパーを取り付けます。
- 適切な間隔の確認方法:
- 目安として約2mmの隙間が適正とされています。
- ポリカ端材などで2mmの隙間用の治具を作り、これを挟んでホイールを取り付けた後に引き抜く方法も効果的です。
【620ベアリング使用時の特別な対応】
620ベアリングを使用する場合、その厚みから以下のような特別な対応が考えられます:
- オフセットの少ないホイール使用: 例えば、マックスブレイカーTRFタイプのようなオフセットの少ないホイールを使用すると、標準シャフトでも対応できることがあります。
- 貫通ホイール: ホイールの軸受け部分を1.7〜1.8mmのドリルで貫通させ、72mmシャフトを使ってホイールを貫通させる方法です。これにより、ホイールを十分に固定できます。
- 長いシャフト使用: 60mmではなく72mmの長いシャフトを使用することで、十分な取り付け長を確保する方法もあります。
【ワッシャー調整の注意点】
- ワッシャーの厚さが不適切だと、ホイールの回転が不安定になったり、抜け落ちたりする原因になります。
- ホイールが緩すぎると走行中に抜け落ちる危険があります。
- 逆にきつすぎると、回転抵抗が増加してしまいます。
- 左右のホイールで同じ調整を行うことが重要です。バランスが崩れると走行安定性が損なわれます。
適切なワッシャー調整を行うことで、軸受けの性能を最大限に引き出し、マシンの走行性能と安定性を高めることができます。細かい調整ですが、走行結果に大きな差をもたらすので、ぜひ試してみてください。
まとめ:ミニ四駆の軸受けは目的と技術レベルに合わせて選ぼう
最後に記事のポイントをまとめます。
- ミニ四駆の軸受けは走行性能に直結する重要パーツである
- 軸受けは大きく「滑り軸受け」と「玉軸受け(ボールベアリング)」の2種類に分けられる
- 滑り軸受けにはハトメ、メタル軸受け、フッソコート620、POMなどがある
- 玉軸受けには六角穴/丸穴、HG、620、520、HG丸穴などがある
- 620ベアリングは最高性能だが、価格が高く取り付けに工夫が必要
- POM軸受けは軽量マシンでは金属製ベアリングと同等の性能を発揮する
- メタル軸受けは低価格ながら高性能で、初心者におすすめ
- HG丸穴ボールベアリングは取り付けやすく、X系シャーシに適している
- 軸受けの性能を最大化するには脱脂やグリスアップなどのメンテナンスが重要
- シャーシの軸受け穴の調整と、ホイールとベアリングの間隔調整が重要
- 初心者にはPOM、メタル軸受け、フッソコート620がおすすめ
- 上級者には620ベアリングが性能面で最適だが、使いこなすにはテクニックが必要