ミニ四駆のパフォーマンスを大幅に向上させたいなら、カウンターギアの改造は外せない重要ポイントです。カウンターギアはモーターの回転をタイヤに伝える役割を持ちますが、実はここに大きな抵抗が発生していることをご存知でしょうか?適切な改造を施すことで、驚くほどマシンが速くなることがあります。
この記事では、カウンターギアの基本的な役割からはじめ、抵抗抜き加工やフローティング化など、様々な改造テクニックを詳しく解説します。実際に改造した結果、100mコースで1秒以上タイムが短縮された事例もあるので、ぜひ参考にしてみてください。
記事のポイント!
- カウンターギアの基本的な役割と種類について理解できる
- カウンターギアの抵抗抜き加工の方法と効果がわかる
- フローティング加工を行うための具体的な手順と注意点を学べる
- カウンターギアの位置出しやスパーギア固定など総合的な速度アップ技術を身につけられる

ミニ四駆のカウンターギアとは?基本から速度アップまで完全解説
- カウンターギアはモーターの回転を伝えて減速する重要パーツ
- カウンターギアのギア比は3.5:1から5:1まで様々な種類がある
- ギア比によって色分けされているので見分けるのは簡単
- ギア比が大きいほどトルクが強く、小さいほど最高速度が速い
- カウンターギアの固定方法はシャーシによって異なる
- カウンターギアのブレが速度低下の主な原因になっている
カウンターギアはモーターの回転を伝えて減速する重要パーツ
カウンターギアは、ミニ四駆の駆動系統において非常に重要な役割を担っています。モーターに取り付けられたピニオンギアの回転をスパーギア(タイヤ軸に付いているギア)に伝える中継ギアで、この過程でモーターの高速回転を適切な速度に減速させる役割も果たしています。
駆動伝達順としては、「モーターのピニオンギア→カウンターギア→スパーギア→タイヤ」という流れでパワーが伝わります。カウンターギアはこの中心に位置し、モーターの出力を効率よく車輪に伝えるために欠かせません。
特に重要なのは、カウンターギアのギア比がマシンの走行特性を大きく左右する点です。ギア比が大きいとトルクが強くなり加速や登坂能力が向上し、小さいとトップスピードが上がるという特性があります。つまり、コース特性や走行スタイルに合わせてカウンターギアを選ぶことで、マシンの性能を最適化できるのです。
カウンターギアの多くは「ギアケース」と呼ばれる部分に収められており、シャーシの中央に配置されています。正確かつスムーズな回転がマシンの性能に直結するため、このパーツの調整や改造は多くのミニ四駆ファンにとって重要な課題となっています。
カウンターギアのギア比は3.5:1から5:1まで様々な種類がある
カウンターギアには複数のギア比が存在し、それぞれ異なる特性を持っています。主なギア比とその特徴は以下の通りです。
ギア比 | 色 | 特徴 | 対応シャーシ |
---|---|---|---|
5:1 | ブルー | トルクが最も強い、最高速度は遅め、ベアリング装着に工夫が必要 | 標準装備のシャーシはなし |
4.2:1 | 赤 | バランス型、多くのシャーシに標準装備されている | TYPE-2、4、5、FM、ZERO、STZ(大径フルカウル)、VS以降の大径タイプ |
4:1 | 黒 | バランス型、S1から標準装備 | S1(STZ大径フルカウルとVS以降の大径を除く) |
3.7:1 | 緑 | 高速型、3.5:1とスパーギアを共有 | 基本的にはGUP(グレードアップパーツ) |
3.5:1 | からし色/グレー/水色 | 最も高速、SXでは小径タイヤの車種に標準装備 | SXの小径タイヤ車種、その他はGUP |
これらのギア比の選択は、走らせるコースの特性に大きく依存します。例えば、急カーブや起伏の多いテクニカルなコースでは5:1や4.2:1のような高トルク型が有利で、長い直線が多い高速コースでは3.7:1や3.5:1のような高速型が力を発揮します。
また、3.5:1の超速ギアを使用する際は注意が必要です。特にZERO、S1、TYPE-5では、スパーギアの2段目がカウンターギアケース内側に干渉してしまうことがあります。その場合、専用のカウンターギアケースに交換するか、キット付属のものを加工(干渉部分をリューターなどで削る)する必要があります。
独自調査の結果、多くのレーサーは4.2:1や4:1のバランス型をベースに、コース特性に合わせて他のギア比に交換するというスタイルを取っていることがわかりました。初心者の方は、まずはマシンに標準装備されているギア比を把握し、その特性を理解することから始めるといいでしょう。
ギア比によって色分けされているので見分けるのは簡単

タミヤのカウンターギアは、ギア比ごとに色分けされているため、一目で識別することができます。この色分けはパーツを選ぶ際や組み立ての際に非常に便利です。
5:1のギア比はブルー、4.2:1は赤、4:1は黒、3.7:1は緑色(TYPE-1系シャーシ用6.4:1ギアと似た色)、3.5:1は初代がからし色、軽量タイプがグレー(もしくは薄紫)、SX型が水色というように区別されています。
さらに、同じギア比でも時期やシリーズによって異なる色が使われている場合もあります。例えば3.5:1のギア比は、初期のものがからし色、軽量タイプがグレーまたは薄紫、SX型のものが水色という具合です。
これらのカウンターギアは、通常対応するスパーギアとセットで使用します。例えば、4.2:1の赤いカウンターギアは肌色のスパーギアと組み合わせるように設計されています。正しい組み合わせで使用することで、最適な駆動効率が得られます。
カウンターギアを購入する際には、自分のシャーシに合ったものを選ぶとともに、対応するスパーギアもセットで揃えることをおすすめします。独自調査によると、間違ったスパーギアとの組み合わせを使用すると、ギアの噛み合わせが悪くなり、騒音や駆動抵抗の増加、最悪の場合はギアの破損につながる可能性があります。
カラーコーディングを覚えておくことで、パーツボックスからすばやく必要なギアを見つけることができ、セッティング変更の際の時間短縮にもつながります。
ギア比が大きいほどトルクが強く、小さいほど最高速度が速い
カウンターギアのギア比は、マシンの走行特性を大きく左右します。基本的な原則として、「ギア比が大きいほどトルク(回転力)が強くなり、ギア比が小さいほど最高速度が速くなる」というトレードオフの関係があります。
5:1のブルーギアは、最もトルクが強いギア比です。坂道や障害物の多いコースでの走破性に優れていますが、最高速度は他のギア比と比べて劣ります。初心者の方や技術系のコースを攻略したい場合は、このギア比が適しているでしょう。
4.2:1の赤ギアと4:1の黒ギアは、トルクと速度のバランスが取れたミドルレンジのギア比です。多くのシャーシに標準装備されており、様々なコースに対応できる汎用性の高さが特徴です。どのようなコース特性にも一定以上の性能を発揮するため、セッティングの基準として使いやすいギア比といえます。
3.7:1の緑ギアと3.5:1のからし色/グレー/水色ギアは、高速走行に特化したギア比です。長い直線が多いコースや、高速安定性を重視したセッティングに向いています。ただし、急加速や坂道の走破性ではトルク型のギア比に劣るため、コース特性や他のパーツとのバランスを考慮して選ぶ必要があります。
特に上級者向けのテクニックとしては、同じギア比でも歯の形状や素材が異なるカウンターギアを選ぶことで、より細かな特性調整が可能です。例えば、SX用の3.5:1水色カウンターギアは、頑丈で精度の高い作りになっており、通常の3.5:1ギアよりも高い信頼性を持っています。
コースの特性やマシンのセッティング全体を考慮し、最適なギア比を選択することで、マシンのポテンシャルを最大限に引き出すことができます。
カウンターギアの固定方法はシャーシによって異なる
ミニ四駆のシャーシによって、カウンターギアの固定方法は大きく異なります。この固定方法の違いがカウンターギアの安定性に影響を与え、結果的にマシンの性能差を生み出す要因となっています。
スーパーⅡシャーシなどの古いタイプでは、カウンターギアシャフトは半円上のくぼみに置いて、上からギヤカバーで挟み込むように固定する構造になっています。この方式は、カウンターギアがズレやすく、トルクも抜けやすいという問題があります。
一方、VS、AR、FM-Aなどの新しいシャーシでは、カウンターギアシャフトを穴に差し込む固定方式が採用されています。この方式はスーパーⅡシャーシなどと比べてズレにくい構造となっていますが、長く使えば摩耗が進みカウンターギアが動くようになるという問題は残ります。
このような固定方法の違いを理解した上で、それぞれのシャーシに合った対策を講じることが重要です。例えば、スーパーⅡシャーシを使用している場合は、カウンター受けをカーボンで作り直し、定期的に瞬着(瞬間接着剤)で穴を埋めてドリルで開け直すといった対策が効果的です。
新しいシャーシでも、長期間使用するうちにカウンターギア周りの摩耗は避けられないため、定期的なメンテナンスやアップグレードパーツの導入を検討する必要があります。特に重要なレースやコンペティション前には、カウンターギア周りの状態を確認し、必要に応じて修正や交換を行うことをおすすめします。
カウンターギアの固定方法はシャーシの基本設計に関わる部分であるため、改造には限界があります。しかし、シャーシの特性を理解し、その弱点を補強することで、マシンのパフォーマンスを大きく向上させることが可能です。
カウンターギアのブレが速度低下の主な原因になっている
多くのミニ四駆ユーザーが経験するスピード不足の主要因の一つに、カウンターギアのブレが挙げられます。カウンターギアがブレる原因はいくつか考えられますが、主に以下の3つのポイントに注目する必要があります。
まず1つ目に、カウンターギアの固定が不十分であることが挙げられます。特にスーパーⅡシャーシなどの古いタイプでは、カウンターギアシャフトの固定が半円上のくぼみに置くだけという簡易的な方法であるため、走行中の振動でカウンターギアがズレやすくなっています。
2つ目の原因は、カウンターギアシャフトとシャーシの溝の長さの不一致です。シャフトがシャーシの溝より若干短い設計になっているため、シャフト自体が揺れる可能性があります。これにより、カウンターギア全体のブレが生じます。
3つ目に、カウンターギアの穴とシャフトのクリアランスの問題があります。カウンターギアの穴が約2mmであるのに対し、シャフトの太さが約1.8mmと少し細いため、その隙間がブレの原因となります。この小さな0.2mmの隙間が積み重なり、駆動効率の低下を招きます。
これらの問題が複合的に作用した結果、スイッチをONにした際にカウンターギアが吹っ飛んでしまうほどの激しいブレが発生することもあります。このブレは単に見た目の問題だけでなく、深刻な駆動ロスや異音の原因となり、マシンのパフォーマンスを大きく低下させます。
次の見出しから説明するカウンターギアの改造は、まさにこれらのブレを解消し、駆動効率を向上させることを目的としています。適切な対策を施すことで、安定した回転と驚くほどのスピードアップが期待できます。

ミニ四駆のカウンターギアを改造して驚きのスピードアップを実現する方法
- カウンターギアの抵抗抜き加工でモーターの負荷を減らせる
- フローティング加工はベアリングを使って摩擦を限りなく減らす方法
- カウンターギアのシャフト交換で回転精度を大幅に向上させる
- カウンターギアの位置出しはワッシャーやスペーサーで適切に行う
- 絶縁ワッシャーを使うことで摩擦抵抗をさらに減らせる
- スパーギアの固定方法にはハトメやピニオンギアを利用する技がある
- まとめ:ミニ四駆のカウンターギアは改造で驚くほど速くなる
カウンターギアの抵抗抜き加工でモーターの負荷を減らせる
カウンターギアの抵抗抜き加工は、モーターにかかる負荷を軽減し、マシンのスピードやトルクを向上させる効果的な改造方法です。この加工方法は、シャフトとギアの接触面を減らすことで摩擦抵抗を減少させる技術です。
抵抗抜き加工の基本的な方法は、カウンターギアの内部(シャフト穴)をドリルで広げることです。ただし、完全に貫通させるのではなく、1〜2mmほど残しておくのがポイントです。これにより、シャフトとの接触面が減り、駆動抵抗が大幅に軽減されます。
別の方法として、ギアの筒(パイプ)部分を短くカットする手法もあります。これも接触面を減らすことを目的としていますが、カットした端面をきれいに整える必要があります。また、支えが短くなるため、ギアと一緒にスペーサーを挟む工夫が必要になります。
カットの目安としては、シャーシに組み込んだ状態でモーターを回し、ギアが高速回転しているときに切りたい箇所にケガキ針やカッターナイフの先端を当てて線を引き、それを目安にするとよいでしょう。電動ドリルがあれば、それを簡易旋盤として利用することで、より早く綺麗に切断することも可能です。
ただし、抵抗抜き加工には注意点もあります。シャフトの接触面を減らすと同時に、ギアの強度も低下するためバランスが重要です。一般的には外側の接触面だけを残し、内側はシャフトと接触しないよう加工しますが、どこまで削るかは自分のレース環境や走行スタイルに合わせて調整するといいでしょう。
具体的な目安として、片軸用カウンターギアの場合、ギアの内部のシャフト接触面(約7mm)のうち、外側2mmほどを残して内側を2.5mmドリルで加工するという方法があります。これにより、適度な強度を保ちながら抵抗を減らすことができます。
フローティング加工はベアリングを使って摩擦を限りなく減らす方法
フローティング加工は、カウンターギアの改造テクニックの中でも特に効果の高い方法とされています。これは、カウンターギアをボールベアリングのみで支持し、シャフトとの直接接触をなくすことで摩擦抵抗を極限まで低減させる技術です。
フローティング加工の基本手順は、まずカウンターギアの穴を拡張してボールベアリングを圧入します。使用するベアリングのサイズとしては、520、620、730、830、850などが一般的です。特に620ベアリングはサイズと強度のバランスが良く、多くのレーサーに使用されています。
加工する際には、ギアの軽量化も兼ねて、後ろ側の歯が無い筒の箇所(いわゆるパイプ)を切断するケースが多いです。この工程でボールベアリングを圧入するための穴を開ける必要がありますが、これには精度が求められます。
穴を開ける際の重要なポイントは、ギアをしっかり固定して垂直にドリルを当てることです。手で押さえるだけでは不十分で、治具を使用することをおすすめします。例えば、木の板に4:1ギアなどを打ち付けて固定具を作り、その中央にカウンターギアをセットして穴を開ける方法があります。
フローティング加工を行う際の注意点として、標準のギアシャフトを使用するとブレが多いという問題があります。そのため、MSギヤベアリングに付属の精度の良いシャフトやフッ素コートギヤシャフトを使用するか、モーター軸や中空ペラシャフトをギヤシャフトの長さに切断したものを使用することで、ベアリングを完全に固定するテクニックもあります。
フローティング加工は、手作業での正確な加工が難しいという課題があります。少しでも穴の位置や角度がずれると、回転時に「ギャギャギャギャ」という異音が発生し、逆効果になる可能性もあります。そのため、専用治具の使用や経験を積むことが重要です。
成功すれば、カウンターギアの回転抵抗を劇的に減らし、モーターの力を無駄なく車輪に伝えることができます。タイム測定で1秒以上の短縮も夢ではありません。
カウンターギアのシャフト交換で回転精度を大幅に向上させる

カウンターギアのブレを改善する効果的な方法の一つが、シャフトの交換です。標準装備のカウンターギアシャフトは径が約1.8mmと、カウンターギアの穴(約2mm)よりも細いため、この隙間がブレの原因となっています。
シャフト交換の定番は「2.0mm中空軽量プロペラシャフト」を使用する方法です。このシャフトはギアの穴2mmとぴったり合わせることができるため、ガタつきを大幅に軽減できます。実際の改造事例では、このシャフト交換だけでも0.5秒ほどタイムが向上したという報告もあります。
ただし、中空プロペラシャフトは強度があるため、カットには一苦労する点に注意が必要です。一般的なニッパーでは刃が欠けてしまう可能性があるので、「ミゼットカッタ」のような硬質鉄線カット用の工具を使用することをおすすめします。カット後はヤスリで長さを調整し、シャーシにジャストフィットするようにしましょう。
シャフトの長さ調整は重要なポイントです。シャフトが短すぎるとカウンターギアが安定せず、長すぎるとシャーシを傷つける可能性があります。指でググッと力を入れる程度の長さが理想と言われています。
さらなる高精度化を求めるなら、MSギヤベアリング付属の精度の良いシャフトやフッ素コートシャフトの使用も検討できます。特にフローティング加工と組み合わせる場合には、高精度シャフトの使用が効果的です。
シャフト交換による効果は即座に表れるため、カウンターギア改造の入門として最適です。回転ノイズの減少と駆動効率の向上を体感できるでしょう。ただし、この改造だけでは完全に異音をなくすことは難しいため、次に説明するカウンターギアの位置出しと組み合わせることでより高い効果が期待できます。
カウンターギアの位置出しはワッシャーやスペーサーで適切に行う
カウンターギアの「位置出し」は、ギアの左右の動きを抑え、安定した噛み合わせを実現するための重要な調整です。適切な位置出しを行うことで、異音の減少と駆動効率の向上が期待できます。
位置出しの基本的な方法は、カウンターギアの両側にワッシャーやスペーサーを挟み込むことです。シャーシによって隙間の幅が異なるため、それぞれに合わせた調整が必要になります。例えばMAシャーシでは、フロント側とリア側で隙間が異なり、フロントは約8mm、リアは若干それより小さいという特性があります。
位置出しに使用するアイテムとしては、小ワッシャーが一般的です。フロント側には小ワッシャー2枚、リア側には小ワッシャー1枚というように、隙間に合わせて調整していきます。重要なのは、ギアが左右に動かないようにしつつも、きつすぎずに回転できる程度に調整することです。
ただし、位置出しには注意点もあります。単にワッシャーを挟むだけでは、ワッシャー自体が新たな摩擦源となってしまう可能性があります。そのため、次の見出しで説明する「絶縁ワッシャー」を組み合わせることで、より効果的な位置出しが可能になります。
位置出しの効果を確認するには、マシンを走らせる前に手で回してみて異音がないか、スムーズに回るかをチェックしましょう。また、スイッチを入れて回転音を聞いてみることも重要です。位置出し前は「ジャーーーーに、ジャラジャラ カラカラ」といった雑音が混じりますが、適切な位置出しができると「ジャーーーー」という一定の音に変わります。
位置出しの調整は繊細な作業ですが、カウンターギアの性能を最大限に引き出すために不可欠なステップです。駆動効率と摩擦抵抗のバランスを考慮しながら、自分のマシンに最適な調整を見つけ出しましょう。
絶縁ワッシャーを使うことで摩擦抵抗をさらに減らせる
カウンターギアの位置出しをさらに効果的にするための秘密兵器が「絶縁ワッシャー」です。絶縁ワッシャーとは、モーターの中に組み込まれている樹脂製の小さなワッシャーのことで、擦れあう部材同士の摩擦抵抗を減らす効果があります。
絶縁ワッシャーは入手が難しく、モーター1つから1個しか取れないという「希少部位」的な存在です。巷では「お宝ワッシャー」とも呼ばれ、上級者が重要なパーツの摩擦低減に使用する隠しアイテムとして知られています。
絶縁ワッシャーを使った位置出しの方法は、例えばMAシャーシの場合、フロントにはベアリング側に絶縁ワッシャー1枚と小ワッシャー1枚、リアにもベアリング側に絶縁ワッシャー1枚という組み合わせが一例として挙げられます。金属と金属が直接接触するのを避け、樹脂製のワッシャーが緩衝材となることで摩擦を減らす効果があります。
ただし、絶縁ワッシャーを使ったからといって、すぐに劇的な効果が現れるわけではありません。位置出しはカウンターギア改造の一環として行い、他の改造と組み合わせることで総合的な効果を発揮します。絶縁ワッシャー単体での効果は、状況によっては微妙なこともあります。
絶縁ワッシャーの効果を最大限に引き出すには、カウンターギアの抵抗抜きやシャフト交換などの基本的な改造を先に行っておくことをおすすめします。これらの改造がベースとなり、その上で絶縁ワッシャーを使用することで、より高い効果が期待できます。
また、絶縁ワッシャーの配置やワッシャーの組み合わせは、実際に走らせて音や回転の様子を確認しながら微調整することが重要です。最適な組み合わせは個々のマシンによって異なるため、試行錯誤が必要になります。
スパーギアの固定方法にはハトメやピニオンギアを利用する技がある
カウンターギアの改造と並行して行いたいのが、スパーギアの固定です。スパーギアはタイヤシャフトに装着されますが、シャフトより穴が若干大きいため遊びが生じ、これも駆動ロスの原因となります。ここでは、スパーギアを固定するための主要な3つの方法を紹介します。
1. ハトメを挟む方法 最もポピュラーな方法の一つが、ハトメをスパーギアの両側に挟み込む方法です。スーパー2シャーシなどでタイヤシャフトの軸受けとして使用されるハトメを、前後のスパーギアの片側に1つずつはめ込みます。
この方法はお手軽にできる反面、効果については意見が分かれています。ハトメにより「ジャラジャラ カラカラ」というギアのブレ音は減少するものの、「ジューーーー」という新たな摩擦音が発生するケースもあります。実際のタイム測定では、ハトメ装着によって若干タイムが落ちたという報告もあります。
2. ピニオンギアを挟む方法 もう一つの効果的な方法が、モーターに付けるピニオンギアを加工してスパーギアを挟む技術です。ピニオンギアの穴はシャフトにキツめに作られているため、これを利用してスパーギアを完全に固定します。
この方法では、ピニオンギアのギア部分を削り、スリム化します。シャーシの形状によっては、装着部分の干渉を避けるために一部カットする必要がある場合もあります。固定後の回転音は「ジャーーーーーーーー」という一定のみになり、異音が全く無くなるという大きな効果があります。
ただし、走行中の衝撃でピニオン部分がズレてしまう問題があるため、その対策としてゴムパイプを使用すると良いでしょう。ゴムパイプは締め付けのある素材で、滑り止めとして効果的です。
3. スパーギアを潰す方法 最後に紹介するのが、スパーギアの六角形の穴を適度に潰して、シャフトとの遊びをなくす方法です。クランプなどの工具を使って、青色部分をプレスし穴を小さくします。
しかし、この方法は均等に圧を加えることが難しく、歪みが生じると逆に異音の原因になる可能性があります。成功すればシャフトとギアが一体化したような効果が得られますが、技術的なハードルは高いと言えるでしょう。
スパーギア固定の方法は、自分の技術レベルや求める効果に応じて選択するとよいでしょう。中でもピニオンギアとゴムパイプを使う方法は、静音性と速度アップの両面で優れた効果を示す傾向があります。

まとめ:ミニ四駆のカウンターギアは改造で驚くほど速くなる
最後に記事のポイントをまとめます。
- カウンターギアはモーターの回転をタイヤに伝える重要なパーツで、適切な改造により駆動効率が劇的に向上する
- ギア比によって特性が異なり、5:1は高トルク型、3.5:1は高速型と、コース特性に合わせた選択が重要である
- カウンターギアの色はギア比を示しており、ブルー(5:1)、赤(4.2:1)、黒(4:1)、緑(3.7:1)、からし色/水色(3.5:1)と区別されている
- カウンターギアのブレは速度低下の主要因で、シャフトとの隙間や固定方法に問題がある
- 抵抗抜き加工ではドリルでギア内部を広げて接触面を減らし、摩擦抵抗を低減できる
- フローティング加工はベアリングを圧入して摩擦を極限まで減らす高度な改造方法である
- 2.0mm中空プロペラシャフトへの交換により、カウンターギアのブレを大幅に減少させることができる
- 位置出しでは小ワッシャーや絶縁ワッシャーを使ってカウンターギアの左右の動きを制限する
- 絶縁ワッシャーはモーターから取れる樹脂製のワッシャーで、金属同士の摩擦を減らす効果がある
- スパーギア固定もカウンターギア改造と併用すると効果的で、ピニオンギア+ゴムパイプの方法が特に優れている
- 手作業での精密加工は難しいため、治具の利用や慎重な作業が成功のカギとなる
- カウンターギア改造で100mコースのタイムが1秒以上短縮された事例もあり、効果は非常に大きい