ミニ四駆のレース世界で最も注目されている改造の一つがMSフレキです。単なる速さだけでなく「強さ」も兼ね備えた改造として人気を集めています。この記事では、MSフレキとは何か、その作り方、効果、そして実際のレース結果まで詳しく解説します。
独自調査の結果、MSフレキはジャンプ後の着地時にショックを吸収することでマシンの安定性を高める効果があることがわかりました。また、フレキの作り方には「軸残し」と「軸無し」の2種類があり、それぞれメリット・デメリットが存在します。さらに、より簡単に製作するための専用治具も市販されていることも判明しました。
記事のポイント!
- MSフレキとは何か、その仕組みと効果について理解できる
- 軸残し・軸無しの違いと、それぞれの作り方について学べる
- MSフレキ製作に必要な道具とパーツのリストが分かる
- 初心者でも5,000円程度の予算で作れるMSフレキの完全ガイドを知ることができる

ミニ四駆フレキとは何かを知ろう
- ミニ四駆フレキとはMSシャーシに柔軟性を持たせる改造のこと
- ミニ四駆フレキがなぜ注目されているのかは着地の安定性向上が理由
- ミニ四駆フレキとサスペンションの違いは車体全体vs車輪の違い
- ミニ四駆フレキの効果がわかるのは実際の走行テストで明らか
- ミニ四駆フレキの最大のメリットはコースアウトの減少と走行安定性
- ミニ四駆フレキのデメリットは重量増加とギア嵌合の不安定さ
ミニ四駆フレキとはMSシャーシに柔軟性を持たせる改造のこと
MSフレキとは、ミニ四駆のMSシャーシという特定のシャーシを改造して、柔軟性(フレキシビリティ)を持たせた改造マシンのことです。MSシャーシは3分割される構造を持っており、この特徴を活かしてバネを組み込むことで、シャーシ自体に柔軟性を持たせます。
フレキという名前は「フレキシブル(柔軟性がある)」の略で、直訳すると「柔軟性が加わるMSシャーシ」という意味になります。この改造により、通常のリジッド(硬い)なシャーシとは違い、ジャンプの着地時などに発生する衝撃を緩和する効果が期待できます。
MSシャーシは前部ユニット、センターユニット、後部ユニットの3つに分かれており、それぞれのユニットを接続する部分にバネを仕込むことで、上下の動きを可能にします。これによって、コース上のジャンプやバンクなどの障害を乗り越える際の安定性が向上します。
MSフレキはミニ四駆レース界隈で広く知られた改造方法で、上級者から初心者まで多くのレーサーが採用している人気の改造方法です。特に公式大会などでは上位入賞者のマシンの多くがMSフレキを採用していることが多いようです。
基本的なMSフレキの構造は、3分割されたシャーシの間にバネを入れ、それぞれのユニットが独立して動くようにすることで、路面からの衝撃を吸収するというシンプルな仕組みです。この単純ながらも効果的な改造が、多くのミニ四駆レーサーを魅了しています。
ミニ四駆フレキがなぜ注目されているのかは着地の安定性向上が理由
MSフレキが注目を集めている最大の理由は、ジャンプ後の着地時の安定性が格段に向上するからです。現代のミニ四駆のコースは立体的で複雑なものが多く、ジャンプやバンクなどの障害が配置されていることが一般的です。そのような環境下では、着地の際の安定性がレース結果を大きく左右します。
通常のミニ四駆は、ジャンプから着地する際に大きくバウンドしてしまい、コースアウトやスピンの原因となります。しかし、MSフレキはバネの力で衝撃を吸収し、マシンが大きく跳ね返るのを防ぎます。独自調査によると、同じ高さから落下させた場合、通常のMSシャーシが大きく跳ねるのに対し、MSフレキはほとんど跳ねずに着地することが確認されています。
また、MSフレキはただ着地時に安定するだけでなく、コース上の細かな凹凸にも対応することができます。マシンがコースに密着して走行できるため、グリップ力が向上し、コーナリング性能も向上するという利点があります。
現在のレースシーンを見ると、トップレーサーのほとんどがMSフレキを採用していると言われています。「強い」マシンを作るための必須の改造と言っても過言ではないでしょう。安全性の高さから、高性能なモーターや育成済みの電池などを安心して搭載できるのも大きな利点です。
なかには参加者全員がMSフレキを使用しているような大会もあるほど、MSフレキはミニ四駆レースにおいて標準的な改造方法となっています。その効果の高さと、比較的シンプルな構造から、初心者から上級者まで幅広いレーサーに支持されているのです。
ミニ四駆フレキとサスペンションの違いは車体全体vs車輪の違い

MSフレキとサスペンションは一見似ているようで、実は仕組みが異なります。理解を深めるために、まずサスペンションの基本概念について確認しましょう。
サスペンションとは、本来は車体と車輪を繋いで衝撃を緩和する装置のことを指します。実車では、左右のタイヤがそれぞれ独立して動く「独立懸架方式」と、車軸で繋がった「固定車軸方式(リジットアスクル式)」の2種類が主に存在します。一般的な乗用車は前者を採用し、オフロード車や電車などには後者が使われることがあります。
一方、MSフレキは車輪(タイヤ)と車体(シャーシ)を繋ぐものではなく、シャーシ自体が柔軟に動くシステムです。3分割されたシャーシがそれぞれ上下に動くことで衝撃を吸収します。厳密に言えば、これはサスペンションというよりも「フレキシブルシャーシ」と呼ぶべき構造です。
MSフレキは実車で言えば、固定車軸方式に近い構造を持っています。左右のタイヤが1本のシャフトで繋がっており、片方の車輪で受けた衝撃が他の車輪にも伝わる点が類似しています。しかし、MSフレキではシャーシ全体がバネによって柔軟に動くため、固定車軸方式よりも衝撃吸収性が高いという特徴があります。
なお、ミニ四駆においては他にも様々なサスペンション系の改造が存在します。例えば、マスダンパーというパーツを使用した改造や、個々のタイヤにサスペンション機構を持たせる改造などがありますが、MSフレキはシャーシ全体が動く点が大きな特徴です。
ミニ四駆フレキの効果がわかるのは実際の走行テストで明らか
MSフレキの効果を実感するには、実際の走行テストが最も分かりやすいでしょう。独自調査によると、同じMSシャーシの通常版とフレキ改造版を比較したテストでは、明らかな違いが観察されています。
例えば、マシンを一定の高さから落とす実験では、通常のMSシャーシが大きく跳ね返るのに対し、MSフレキはほとんど跳ねることなく着地します。さらに、複数回のテストでは通常シャーシがひっくり返ることもあったのに対し、MSフレキは安定した着地を見せました。
iPhone のスローモーション機能で撮影したテスト映像では、着地時の挙動の違いが一目瞭然です。通常シャーシがバウンドして不安定な動きをするのに対し、MSフレキはショックを吸収してスムーズに着地します。このテストだけでも、MSフレキの効果の高さが明らかでしょう。
実際のコース走行でも、その違いは顕著です。ジャンプセクションでの安定性はもちろん、コーナリング時の安定性も向上します。マシンがコースに密着して走行するため、スピンアウトやコースアウトのリスクが大幅に減少します。
また、MSフレキは複雑なコースレイアウトでも真価を発揮します。立体コースや凹凸の多いコースでは、リジッドなシャーシでは対応しきれない場面がありますが、MSフレキはそのような状況でも柔軟に対応し、安定した走行を維持できます。
ミニ四駆フレキの最大のメリットはコースアウトの減少と走行安定性
MSフレキの最大のメリットは、コースアウトの減少と走行の安定性向上にあります。これはレース結果に直結する重要な要素です。
まず、MSフレキはジャンプ後の着地時にショックを吸収するため、マシンが跳ね返ってコースアウトするリスクが大幅に減少します。高速で走行しても、コース上の障害物に対応しやすくなるため、完走率が向上します。
また、走行中の安定性も向上します。コースの凹凸に対応してシャーシが動くため、タイヤのグリップが維持されやすくなります。これにより、コーナリング性能も向上し、スピンアウトのリスクが減少します。
さらに、MSフレキの安定性の高さは、他の高性能パーツの使用を可能にします。例えば、高回転のモーターや育成済みの高出力電池などは、通常のシャーシでは安定して走行できないリスクがありますが、MSフレキならば安心して使用できます。
レース上位入賞者のマシンの多くがMSフレキを採用しているのは、このような総合的なメリットがあるからです。単純な速度だけでなく、「強さ」も兼ね備えたマシン作りが可能になります。
MSフレキは初心者にとっても大きなメリットがあります。技術や経験が不足していても、MSフレキの安定性によって完走率が上がり、レース経験を積むことができます。これが上達への近道となるでしょう。
ミニ四駆フレキのデメリットは重量増加とギア嵌合の不安定さ
MSフレキには多くのメリットがある一方で、いくつかのデメリットも存在します。これらを理解しておくことで、より効果的にMSフレキを活用することができるでしょう。
一つ目のデメリットは重量の増加です。MSフレキはバネやお辞儀防止プレートなどの追加パーツを使用するため、通常のMSシャーシより重くなります。独自調査によると、フレキ改造をしたシャーシは通常のシャーシと比べて約1g重くなるとのことです。この重量増加は、加速性能に若干の影響を与える可能性があります。
二つ目のデメリットは、ギアの嵌合(かんごう)が不安定になる可能性があることです。シャーシが柔軟に動くため、ギア同士の噛み合わせが完全ではなくなることがあります。これは「トルク抜け」と呼ばれ、パワーダウンの原因となります。この問題を解決するために、「お辞儀防止プレート」と呼ばれる補強パーツが必要となります。
三つ目は、フレキの可動部分が多いことによる効率の低下です。バンパーやローラーなどの力の変換機関が動く土台(シャーシ)上にあるため、固定されたシャーシに比べると効率が落ちる可能性があります。この対策として、多くのMSフレキマシンは通常より多くのローラーを搭載しています。
また、MSフレキは高性能なモーターや電池を使用する前提の改造であるため、これらの管理や育成にも手間とコストがかかります。さらに、専用の治具や高価なカーボンパーツなどを使用すると、総額が高くなる傾向があります。
これらのデメリットを考慮した上で、自分のレーススタイルや予算に合わせてMSフレキの導入を検討するとよいでしょう。

ミニ四駆フレキの作り方と必要なもの
- ミニ四駆フレキを作るために必要なパーツはMSシャーシとスプリングセットが基本
- ミニ四駆フレキを作るために必要な工具はニッパーやドリルなど身近なものでOK
- ミニ四駆フレキ作りで軸残しと軸無しの違いは安定性vs柔軟性のトレードオフ
- ミニ四駆フレキを作る際のスプリングの選び方はソフトタイプが推奨
- ミニ四駆フレキを5,000円以内で作るなら前後ATバンパーも作れる
- ミニ四駆フレキ治具を使うとより精密な加工が可能に
- まとめ:ミニ四駆フレキは初心者でも挑戦できる改造でレース力アップに効果的
ミニ四駆フレキを作るために必要なパーツはMSシャーシとスプリングセットが基本
MSフレキを作るためには、まず基本となるパーツを揃える必要があります。最低限必要なパーツは以下の通りです。
- MSシャーシのキット: MSフレキの土台となるMSシャーシを含むキットが必要です。例えば「フェスタジョーヌグリーンスペシャル」(定価:1,452円)や「アバンテMk.3 アズール クリヤースペシャル」などが使用できます。MSシャーシであれば何でも構いませんが、できれば中径ホイール、ハードタイヤ、超速ギアが入ったキットがおすすめです。
- スライドダンパースプリングセット: フレキの核となるバネです。通常、黒(ソフト)と銀(ハード)の2種類が入っていますが、MSフレキには主に黒のソフトタイプを使用します。価格は約180〜198円程度です。
- FRPプレート類: 「お辞儀防止プレート」を作るためのFRPパーツが必要です。一般的には以下のようなパーツを使用します。
- FRPフロントワイドステー(定価:約286円)
- FRPリヤブレーキセット(定価:約418円)
- FRPマルチワイドリヤステー(定価:約330円)
- FRPマルチ補強プレート(定価:約220円)
- ビス・ナット類: シャーシやプレートを固定するためのビスとナットが必要です。
- ステンレス皿ビスセット(10・12・20・25・30mm)(定価:約330円)
- ロックナット(定価:約330円)
- オプション(必要に応じて):
- グリス(HGスライドダンパーグリスなど)(定価:約400円)
- 減衰用Oリング(市販品を加工して使用することも可能)
これらのパーツの合計金額は約5,000円程度です。ただし、Amazon等で購入すれば4,000円程度に抑えることも可能でしょう。また、既にいくつかのパーツを持っている場合は、さらに費用を抑えることができます。
なお、これらは基本的なMSフレキを作るための最低限のパーツリストです。より高性能なMSフレキを目指す場合は、カーボン製のプレートや専用の治具なども必要になることがあります。
ミニ四駆フレキを作るために必要な工具はニッパーやドリルなど身近なものでOK
MSフレキを自作するには、いくつかの工具が必要になります。ただし、特殊な工具は少なく、比較的身近なものでも製作が可能です。以下に必要な工具をリストアップします。
【必須の工具】
- ドライバー・スパナ:ビスやナットの締め付けに使用します。タミヤのミニ四駆ドライバーセットがあると便利です(約1,000円)。
- ニッパー:プラスチックパーツのカットに使用します。100均のものでも代用可能ですが、タミヤの薄刃ニッパーなどの精密なものがあると作業が楽になります(約2,200円)。
- 瞬間接着剤(X3S等):FRPパーツの強化などに使用します。低粘度タイプが適しています。
- 棒やすり:パーツの微調整や仕上げに使用します。100均のものでも十分使えます。
- ドリル(2mm、4mm、5.5mm):穴開けや拡張に使用します。2mm、4mmは100均で入手可能ですが、5.5mmはホームセンターなどで購入する必要があります。
- 5mm程度の太さの円柱状のもの:スプリングを拡張するのに使用します。最近ではセリアのドライバーがこのサイズです。
- デザインナイフ:精密なカットやバリ取りに使用します。100均のものでも十分です。
- クラフトのこ:シャーシのカットに使用します。タミヤのカッターのこやクラフトのこがおすすめです(約600円)。
- ドリルの持ち手:手作業でドリルを使うための持ち手です。100均のビットと本体が分かれるタイプを購入して、持ち手部分だけ使うという方法もあります。
【あると便利な工具】
- ハサミ:テープ切りなど様々な用途に使えます。
- プラスチックブラシ:削りかすを落とすのに便利です。
- ピンセット:細かいパーツの作業に便利です。
- 油性ペン(マッキー):カットのマーキングなどに使用します。
- マスキングテープ:カットのマーキングや保護に使います。
- 紙やすり(150番、600番、1500番など):断面の仕上げやFRPの磨きに使用します。
これらの工具は全て揃えると費用がかさみますが、多くは100均で代用品を見つけることができます。また、ミニ四駆の改造全般に使える工具が多いので、一度揃えておけば長く使うことができるでしょう。リューターなどの電動工具があればさらに作業が楽になりますが、なくても十分にMSフレキを作ることは可能です。
ミニ四駆フレキ作りで軸残しと軸無しの違いは安定性vs柔軟性のトレードオフ

MSフレキを作る際に最初に直面する選択肢が「軸残し」か「軸無し」かの選択です。この二つのアプローチには明確な違いがあり、それぞれメリット・デメリットが存在します。
【軸残し方式】 軸残し方式では、ユニット同士をつなぐ「軸」と呼ばれる部分を残したまま加工します。この方式の主なメリットは次の通りです:
- バネの位置が安定する:軸にバネをはめ込むため、バネの位置がずれにくく、左右対称の動きが期待できます。
- 耐久性が高い:構造がシンプルで部品点数が少ないため、壊れにくいという特徴があります。
- 製作が比較的容易:特に「軸ちょっと残し」という手法を使えば、専用治具がなくても作りやすいです。
しかし、軸残し方式には次のような課題もあります:
- バネの装着が難しい:軸の太さがバネの内径より大きいため、バネを装着するのに工夫が必要です。
- 柔軟性がやや制限される:軸が残っているため、軸無しに比べると柔軟性がやや低くなる傾向があります。
【軸無し方式】 一方、軸無し方式では軸を完全に切り落として加工します。この方式の特徴は:
- より大きな柔軟性:軸による制限がないため、より柔軟に動くことができます。
- バネの装着が容易:軸がないため、バネの装着に特別な工夫が必要ありません。
しかし、次のようなデメリットも存在します:
- バネの位置が不安定になりやすい:バネを固定する仕組みがないため、走行中にバネの位置がずれる可能性があります。
- 左右のバネの動きが不均一になりやすい:バネの位置がずれると、左右で異なる動きをする可能性があり、着地時に問題が生じることがあります。
【どちらを選ぶべきか】 初心者には「軸残し」方式がおすすめです。特に「軸ちょっと残し」という手法は、アルミスペーサーなどを使って軸の高さを調整し、バネをしっかりと固定できる利点があります。より安定した走行が期待でき、製作も比較的容易です。
経験者や、より柔軟性を求める場合は「軸無し」方式も検討する価値があります。ただし、バネの固定方法など、独自の工夫が必要になるでしょう。
なお、どちらの方式でも「お辞儀防止プレート」は必須です。これがないと、シャーシが大きく曲がり、ギアの噛み合わせが悪くなってしまいます。
ミニ四駆フレキを作る際のスプリングの選び方はソフトタイプが推奨
MSフレキの性能を左右する重要な要素の一つがスプリング(バネ)の選択です。適切なスプリングを選ぶことで、よりスムーズな動きと効果的な衝撃吸収を実現できます。
【スプリングの種類】 タミヤの「スライドダンパースプリングセット」には、通常2種類のスプリングが含まれています:
- 黒色のスプリング(ソフトタイプ):柔らかく、弾力性が比較的低い
- 銀色のスプリング(ハードタイプ):固く、弾力性が高い
MSフレキに使用するのは主に黒色のソフトタイプです。これは、ソフトタイプの方が衝撃をよりスムーズに吸収し、マシンが跳ねにくくなるためです。銀色のハードタイプは弾力が強すぎるため、MSフレキには向いていないと言われています。
【スプリングの拡張】 軸残し方式でMSフレキを作る場合、スプリングの内径が軸の太さより小さいという問題があります。この解決策として、以下のような方法があります:
- ダンガンレーサー用の樽バネを使用する: 軸にスムーズに入るバネですが、流通量が少なく、入手が難しい場合があります。
- スプリングを拡張する: 約5mmの太さのドライバーなどにスプリングを押し込み、24時間ほど置くことで内径を広げる方法です。この方法は比較的簡単ですが、スプリングの弾性が均一でなくなる懸念があります。
- 軸を細く加工する: 専用の「シャフトスリマー」という治具を使用して軸を細くする方法です。均一な加工が可能ですが、治具を購入する必要があります。
【減衰ゴムの追加】 MSフレキの性能をさらに向上させるために、「減衰ゴム」を追加することができます。これは、スプリングの反発力を抑え、より滑らかな動きを実現するためのものです。
減衰ゴムには「Oリング」と呼ばれるゴム製のリングを使用します。これをスプリングの中に入れることで、スプリングが縮んだ後の反発を抑制する効果があります。Oリングは適切なサイズに加工する必要があり、直径6.6mmのものを約5.4mmに削るのが一般的です。
また、スプリングも長すぎると力が強くなりすぎるため、1周半ほど切り取ることで適切な強さに調整することが推奨されています。
最後に、組み立て時には「HGスライドダンパーグリス」などのグリスを塗布することで、よりスムーズな動きを実現することができます。これらの工夫により、MSフレキの性能を最大限に引き出すことができるでしょう。
ミニ四駆フレキを5,000円以内で作るなら前後ATバンパーも作れる
MSフレキを作る際、せっかくなら走行の安定性をさらに高めるための「ATバンパー」も一緒に製作してみませんか?約5,000円の予算内で、MSフレキと前後のATバンパー、さらには提灯連動システムまで作ることが可能です。
【必要なパーツと予算】 MSフレキと前後ATバンパーを製作するために必要なパーツは以下の通りです:
- MSシャーシキット(フェスタジョーヌグリーンスペシャル等):定価1,452円
- FRPフロントワイドステー:定価286円×2
- FRPリヤブレーキセット:定価418円×2
- FRPマルチワイドリヤステー:定価330円×2
- FRPマルチ補強プレート:定価220円×3
- スライドダンパースプリングセット:定価198円
- ステンレス皿ビスセット(10・12・20・25・30mm):定価330円
- ロックナット:定価330円
これらの合計は定価で5,038円です。Amazon等の割引価格で購入すれば、4,000円程度に抑えることも可能です。別途、お好みのローラーとフロント提灯用のマスダンパーも必要になります。
【ATバンパーの特徴と効果】 ATバンパー(アクティブトランスミッションバンパー)は、バンパーが動くことでコースとの衝突時のショックを吸収し、コース復帰率を高める効果があります。前後にATバンパーを装備することで、MSフレキの安定性をさらに向上させることができます。
リアバンパーには「アンカー」と呼ばれる別の方式もありますが、加工難易度やパーツ点数の観点から、前後ともATバンパーにするのが初心者には適しています。
【提灯連動システム】 さらに、フロントのATバンパーと連動する「提灯」も製作することができます。提灯とは、マシンの前部に設置する突起物で、コースから飛び出しそうになった際に引っかかりを作り、コース復帰を助ける役割があります。ATバンパーと連動させることで、より効果的にコース復帰をサポートします。
【製作の流れ】
- MSフレキの製作:シャーシを3分割し、バネを組み込む
- 前後のバンパーカット:シャーシに付いているバンパーを切り落とす
- リアATバンパーの製作:FRPパーツを加工してリア用ATバンパーを作る
- フロントATバンパーの製作:同様にフロント用も作る
- お辞儀防止プレートの製作:FRPマルチ補強プレートを加工して作る
- 提灯連動システムの製作:ATバンパーと連動する提灯を作る
- 全体の組み立てとグリスアップ:各パーツを組み合わせ、グリスを塗って完成
これらの工程を経て、MSフレキと前後ATバンパー、提灯連動システムを備えた高性能マシンが完成します。初心者にとっては少し手間はかかりますが、完成した際の達成感と走行性能の向上は間違いなく価値があるでしょう。
ミニ四駆フレキ治具を使うとより精密な加工が可能に
MSフレキを自作する際、より精密で再現性の高い加工を行いたい場合は、専用の「MSフレキ治具」の使用を検討する価値があります。これらの治具は手作業での加工の難しさを解消し、プロフェッショナルな仕上がりを実現します。
【主なMSフレキ治具の種類】
- シャフトスリマー(軸残し加工ツール): 軸を均一に削るための専用工具です。均一な太さに加工することで、バネを適切に装着できるようになります。アルミニウムやステンレス製で、カラーバリエーションも豊富です。Amazon等で1,800円〜2,500円程度で販売されています。
- MSフレキ加工治具: シャーシの加工を正確に行うための治具です。カットラインのガイドやドリル穴の位置決めなどに使用します。様々なメーカーから発売されており、価格帯も様々です。
- 皿ビス加工ビット: FRPプレートに皿ビス用の穴を加工するための専用ビットです。リューターと併用すると効果的ですが、手作業でも使用可能です。
【治具を使うメリット】
- 精密な加工が可能:手作業だけでは難しい精密な加工が可能になります。
- 再現性が高い:同じ条件で複数のマシンを製作する場合に便利です。
- 作業効率の向上:加工時間が短縮され、失敗のリスクも減少します。
- 仕上がりの美しさ:プロフェッショナルな仕上がりが期待できます。
【治具なしでもできる工夫】 専用治具がなくても、工夫次第でMSフレキは十分に製作可能です。例えば:
- 「軸ちょっと残し」方式:アルミスペーサーを目安にして軸の高さを調整する方法です。ニッパーだけで比較的簡単に行えます。
- マスキングテープのガイド:カットラインをマスキングテープでマーキングすることで、まっすぐ切る助けになります。
- ドリルの深さ調整:ドリルの刃先にマスキングテープを巻いて、掘り込む深さの目安にします。
【治具の選び方】 MSフレキ治具を購入する場合は、以下の点を考慮するとよいでしょう:
- 予算:治具は数千円から数万円まで幅広い価格帯があります。
- 使用頻度:頻繁にMSフレキを作る予定なら、良質な治具への投資は価値があります。
- 加工の難易度:特に難しい加工がある場合は、その部分に特化した治具を選びましょう。
- 評判:ユーザーレビューなどを参考に、信頼性の高い製品を選ぶことをおすすめします。
なお、Amazonや楽天市場などのオンラインショップでは、「CORONA」や「COLORBIRD」などのブランドから様々なMSフレキ治具が販売されています。また、サードパーティー製の治具も多く存在するので、予算と用途に合わせて選ぶとよいでしょう。
初心者の場合は、まずは基本的な工具だけでMSフレキを作ってみて、その後必要に応じて治具を導入するという段階的なアプローチもおすすめです。
まとめ:ミニ四駆フレキは初心者でも挑戦できる改造でレース力アップに効果的
最後に記事のポイントをまとめます。
- MSフレキとはMSシャーシを3分割する構造を活かし、バネを仕込むことで柔軟性を向上させる改造
- MSフレキの最大の特徴はジャンプ後の着地時の安定性が向上すること
- サスペンションとの違いは、車輪と車体を繋ぐのではなく、シャーシ自体が動く構造である点
- 実際のテストでは通常のシャーシと比べて明らかに跳ねにくく、着地が安定する
- メリットはコースアウトの減少と走行安定性の向上、高性能パーツの使用が可能になる点
- デメリットは重量増加やギア嵌合の不安定さ、効率低下の可能性がある点
- MSフレキ製作に必要な基本パーツはMSシャーシキットとスライドダンパースプリングセット
- 必要な工具はニッパー、ドライバー、ドリル、のこぎりなど比較的身近なもので対応可能
- 軸残し方式と軸無し方式があり、初心者には安定性の高い軸残し方式がおすすめ
- スプリングは黒色のソフトタイプを使用し、必要に応じて拡張や減衰ゴムの追加が効果的
- 約5,000円の予算でMSフレキに加えて前後ATバンパーや提灯連動システムも製作可能
- 専用治具を使用するとより精密な加工が可能だが、工夫次第で基本的な工具でも製作可能
- MSフレキはレース上位入賞者の多くが採用している効果的な改造方法
- 初心者からベテランまで幅広いレーサーに支持されている汎用性の高い改造
- 自作の達成感と走行性能の向上を両立できる魅力的な改造

