ミニ四駆のマスダンパーやローラーを固定する方法として、通常のビス留めに代わる「ピン打ち」という技術があります。特に2.0mm中空プロペラシャフトやモーターピンを使用したピン打ちは、軽量化と強度向上を同時に実現できる改造として、上級者の間で注目されています。
この記事では、ネット上に散らばるピン打ちに関する情報を収集し、その手順やメリット・デメリット、さらに抜けにくくするための工夫まで、わかりやすく解説していきます。従来のビス固定では得られなかったスムーズな稼働や、コースアウト時の耐久性など、ピン打ちならではの利点を理解することで、あなたのマシンセッティングの幅が大きく広がるでしょう。
| この記事のポイント |
|---|
| ✓ 中空シャフトによるピン打ちで最大1.8gの軽量化が可能 |
| ✓ ビスのネジ山による抵抗を排除しマスダンパーの動きがスムーズに |
| ✓ テーパー加工や接着剤の工夫で抜けにくい固定方法を実現 |
| ✓ モーターピンと中空シャフトの使い分けでシーンに応じた対応が可能 |
ミニ四駆における中空シャフトとピン打ちの基礎知識
- ピン打ちとは何か、なぜ中空シャフトが使われるのか
- 使用可能なピンの種類とそれぞれの特徴
- ピン打ちで得られる軽量化効果の実測データ
ピン打ちとは何か、なぜ中空シャフトが使われるのか
ピン打ちとは、通常のビスとナットによる固定方法に代わり、モーターピンや中空プロペラシャフトを軸として使用する固定技術です。
この手法の最大の特徴は、ビスのネジ山がないため、マスダンパーやローラーが稼働する際の抵抗が大幅に軽減される点にあります。
📌 ピン打ちの主なメリット
| メリット | 詳細 |
|---|---|
| 抵抗の軽減 | ネジ山がないため、マスダンパーの動きがスムーズになる |
| 軽量化 | ビスとナットの組み合わせより軽量なパーツ構成が可能 |
| 強度向上 | モーターピンや中空シャフトは手作業では加工できないほど丈夫 |
| 軸穴の摩耗防止 | ネジ山との摩擦がないため、マスダンパーの軸穴が削れにくい |
中空シャフト、特に2.0mm中空プロペラシャフトが使われる理由は、中が空洞になっているため軽量でありながら、高回転に耐える強度を持っているからです。本来はスーパーFMシャーシやタイプ5シャーシといった旧シャーシのドライブシャフトとして使用されるパーツですが、その特性がピン打ちに最適なのです。
2.0mm中空プロペラシャフトは、本来はスーパーFMシャーシやタイプ5シャーシのような旧シャーシに使われます。軽量化のため中は空洞で作られていますが、高回転に耐えるために強度はしっかりしています。
出典:ムーチョのミニ四駆ブログ
使用可能なピンの種類とそれぞれの特徴
ピン打ちに使用できるピンは主に2種類あり、それぞれに特徴があります。
🔧 ピン打ちに使える主要パーツの比較
| パーツ名 | 重量(片軸) | 入手方法 | 強度 | 適した使用シーン |
|---|---|---|---|---|
| モーターピン | 約0.9g | モーター分解 | 非常に高い | ショップレース・練習走行 |
| 2.0mm中空プロペラシャフト | 約0.4g | GUP購入 | 高い(曲がる可能性あり) | 公認競技会 |
モーターピンは、モーターの内部構造を支える部品で、高回転を支えているだけあって非常に高強度です。入手にはモーターの分解が必要ですが、激しいコースアウトにも耐えられる頑丈さが魅力といえます。
一方、2.0mm中空プロペラシャフトは、左右で約1.0gもの軽量化が可能です。ビスとの比較では左右で1.8gの差が生まれます。ただし、激しいコースアウトをすると曲がってしまう可能性があるため、使い分けが重要になってきます。
筆者は、コースアウトしてはならない公認競技会では中空ピン、テスト走行でバンバンコースアウトするショップ用はモーターピンと使い分ける考え方だ。
出典:tw-idea.net
ピン打ちで得られる軽量化効果の実測データ
実際の測定データから、ピン打ちによる軽量化効果を見ていきましょう。
⚖️ 通常のビス固定とピン打ちの重量比較
| 固定方法 | 構成パーツ | 重量 |
|---|---|---|
| ビス固定 | 40mmビス×1、19mmローラー×2、ナット×2、スペーサー類 | 3.2g |
| モーターピン | モーターピン×1、補強GFRP×1、19mmローラー×2 | 2.8g |
| 中空シャフト | 中空ピン×1、補強GFRP×1、19mmローラー×2 | 約2.2g(推定) |
この測定結果から、モーターピンによるピン打ちで左右合計0.8gの軽量化が可能であることがわかります。さらに中空シャフトを使用すれば、左右で約1.0gの軽量化が実現できる計算です。
単体のパーツ重量で見ると、片軸モーターピンが約0.9g、同程度の長さの中空ピンが約0.4gと、中空ピンは約半分の重量という驚異的な軽さを誇ります。
リヤローラー左右分での軽量化だけでなく、ビス固定と比較すると最大1.8gもの差が生まれるため、総重量の調整やバランス取りにおいて大きなアドバンテージとなるでしょう。ただし、レース会場でのスラスト変更の難しさや脱落リスクといったデメリットも考慮する必要があります。
中空シャフトを使ったミニ四駆のピン打ち実践テクニック
- 基本的なピン打ちの手順と必要な工具
- 抜けないピン打ちを実現するテーパー加工法
- 接着剤とFRPを活用した強固な固定方法
- まとめ:ミニ四駆の中空シャフトによるピン打ちで得られるメリット
基本的なピン打ちの手順と必要な工具
ピン打ちの基本的な作業手順を押さえておきましょう。
🛠️ ピン打ちに必要な主な工具・材料
- 1.9mmピンバイス(下穴加工用)
- 瞬間接着剤(高強度タイプ推奨)
- お宝ワッシャーまたは段付き真鍮(ピン受け用)
- GFRP/FRP/カーボンプレート(板厚補強用)
- ヤスリ(仕上げ用)
基本的なピン打ち手順は以下の通りです:
- プレートの板厚確保:1.5mmプレート単体では不十分なため、端材を接着して3mm程度の厚みを確保
- 下穴加工:ピン打ち予定の穴に瞬間接着剤をたらして固め、1.9mmピンバイスで下穴を開ける
- ピンの挿入:下穴に瞬間接着剤をたらし、1.5mmスペーサーなどで位置を調整しながらピンを打ち込む
- 固定:お宝ワッシャーなどを使用してピンを支え、瞬間接着剤でしっかり固定
この基本手順だけでも一応の固定は可能ですが、走行中の振動やコースアウトの衝撃で抜けてしまうリスクがあります。より確実な固定のためには、次に紹介する応用テクニックを組み合わせることをおすすめします。
抜けないピン打ちを実現するテーパー加工法
確実に抜けないピン打ちを実現する方法として、チャンピオンズのZizelさんが紹介しているテーパー加工法があります。
この手法の核心は、超硬チップ付きセンターポンチを使って中空ピンの端をテーパー状(円錐形)に加工し、それに対応する座グリ加工をプレートに施すことで、物理的に抜けにくくする仕組みです。
🎯 テーパー加工による固定の仕組み
| 工程 | 内容 | 効果 |
|---|---|---|
| センターポンチ加工 | 超硬チップ付きポンチで中空ピン端をテーパー状に | ピン先端が円錐形になる |
| 座グリ加工 | プレートにテーパーと同形状の穴を加工 | ピンとプレートが噛み合う |
| 圧入固定 | テーパー部分を座グリ穴に圧入 | 物理的に抜けにくい構造 |
この方法は、チャンピオンズでもあるZizelさんの動画で紹介していた方法になります。中空ピンをテーパー状にすることが大きな特徴で、超硬チップ付きのセンターポンチを使って座グリ加工したプレートに取り付けることで、抜けにくくすることができます。
出典:ムーチョのミニ四駆ブログ
この方法により、単純な接着剤固定よりも強度と安定性が大幅に向上します。テーパー形状により物理的な「引っかかり」が生まれるため、振動や衝撃に対する耐性が格段に高まるのです。
作業には専用工具(超硬チップ付きセンターポンチ)が必要になりますが、一度揃えてしまえば繰り返し使用できるため、本格的にピン打ちに取り組むなら投資する価値は十分にあるでしょう。
接着剤とFRPを活用した強固な固定方法
瞬間接着剤とFRPの削りカスを組み合わせた固定方法も、抜けにくいピン打ちの実現に効果的です。
💪 接着剤+FRP補強による固定手順
この方法は、ピンのカシメと化学的な固定を組み合わせた応用テクニックです:
- ピンの切り込み加工:ピン先端に十字または三股の切り込みを入れる
- カシメ加工:切り込み部分をペンチで開き、0.5mm深ザグリ内に収まるようカシメる
- 低粘度接着剤の流し込み:サラサラの瞬間接着剤をカシメ部分に流し込む
- FRP削りカスの添加:固まる前にFRPの削りカスを振りかける
- 高強度接着剤で仕上げ:さらに高強度の瞬間接着剤を塗布して完全硬化
- 面一仕上げ:ヤスリで削ってプレート面とツライチに
カシメた部分に粘度が低い(サラサラの)瞬間接着剤を流し込み固まったらもう一度粘度が低い瞬間接着剤を薄く塗布します。乾く前にFRPの削りカスを振りかけます。固まったら高強度の瞬間接着剤を塗布して固めます。
出典:まさPのミニ四駆日記
この方法の優れている点は、上方向への抜けはカシメによる物理的固定、下方向への抜けは接着剤とFRPによる化学的固定という、二重の防御機構を持っていることです。
🔬 使用する接着剤の選び方
| 接着剤タイプ | 用途 | 推奨製品例 |
|---|---|---|
| 低粘度(サラサラ) | カシメ部への浸透、FRP削りカスへの含浸 | 一般的な瞬間接着剤 |
| 高強度タイプ | 最終仕上げの固定 | タミヤ瞬間接着剤(高強度)、アロンアルファPRO用対衝撃 |
おそらく、一般的なWAVE 3S接着剤では強度が不足する場合があるため、最近では高強度タイプの瞬間接着剤が推奨されているようです。特にFMXのバンパー接着など、強い衝撃がかかる部分では高強度タイプが必須といえるでしょう。
まとめ:ミニ四駆の中空シャフトによるピン打ちで得られるメリット
最後に記事のポイントをまとめます。
- ピン打ちはビス固定に代わる固定方法で、モーターピンや2.0mm中空プロペラシャフトを使用する
- 中空シャフトによるピン打ちで左右合計約1.0g、ビスとの比較では最大1.8gの軽量化が可能
- ネジ山がないためマスダンパーの稼働時の抵抗が軽減され、軸穴の摩耗も防げる
- モーターピンは高強度でコースアウトに強く、中空シャフトは軽量だが曲がる可能性がある
- 基本的なピン打ちにはお宝ワッシャーと瞬間接着剤を使用する
- テーパー加工法では超硬チップ付きセンターポンチで中空ピンを円錐形に加工し座グリ穴に圧入する
- 接着剤+FRP補強法ではピンをカシメてFRP削りカスと接着剤で固める二重構造を作る
- 高強度タイプの瞬間接着剤を使用することで固定強度が向上する
- 公認競技会では中空ピン、練習走行ではモーターピンと使い分けるのが賢明
- レース会場でのスラスト変更が難しくなる点と脱落リスクがデメリットとして存在する
記事作成にあたり参考にさせて頂いたサイト
- 【ミニ四駆】絶対に外れない中空ピンの打ち方法教えます! – YouTube
- まさPのミニ四駆日記: 抜けにくい中空ピン打ちのやり方
- 【ミニ四駆】「かんたんピン打ち〜Vマシン作成〜」 – YouTube
- 【マスダンパーの取り付け方】おすすめは中空ピン打ち|動きの抵抗や強度面でメリット | ムーチョのミニ四駆ブログ
- ピン打ち?中空シャフト?キャップスクリュー? | もばらよん!~Mobile Rush MINI4WD!~
- concours d’Elegance/SEARCH TAG
- 【ミニ四駆】アンダーキャッチャー!⑤抜けない中空ピンの加工 : サブカル”ダディ”ガッテム日記
- ミニ四駆ピン打ちは軽くなるのか計測
- P!MODEL LABO取扱商品 – ミニ四駆|P lab co.ltd.,ウチダケイ/ポラ|note
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