ミニ四駆のバンパーレス化に挑戦したいけれど、スラストの付け方がわからずに困っていませんか?バンパーを切り落とすとシャーシ本来のスラスト角も失われるため、適切な対策をしないとコースアウトの原因になってしまいます。特にMAシャーシのように傾斜のあるシャーシでは、そのまま取り付けるとアッパースラストになってしまうという問題も。
この記事では、バンパーレス化したマシンに適切なスラスト角を確保する具体的な方法を、様々なアプローチとともに詳しく解説します。角度調整プレートの自作方法から、現場で簡単にできる調整テクニック、さらにはスラスト抜け対策まで、実践的な情報を網羅的にお届けします。
| この記事のポイント |
|---|
| ✓ バンパーレス化でスラスト角を付ける基本的な方法 |
| ✓ 角度調整プレートの自作テクニック |
| ✓ シャーシごとの加工ポイントと注意点 |
| ✓ スラスト抜けを防止する具体的な対策方法 |
ミニ四駆バンパーレス化でスラスト角を確保する基本テクニック
- バンパーレス化でスラストを付ける基本的な考え方
- 角度調整プレートを使った最も確実な方法
- 現場でできる簡単なスラスト調整法
バンパーレス化でスラストを付ける基本的な考え方
バンパーレス化を行う際の最大の課題がスラスト角の確保です。通常のバンパーには元々スラスト角が付いており、これがコーナリング時の安定性を支えています。しかし、バンパーを切り落とすとこの角度も失われてしまうため、新たにスラストを確保する必要があります。
📊 スラスト角確保の基本パターン
| 方法 | 難易度 | 耐久性 | コスト |
|---|---|---|---|
| 角度調整プレート使用 | 低 | 中 | 低 |
| FRP/カーボン自作 | 中 | 高 | 中 |
| シャーシ加工 | 高 | 高 | 低 |
| 現場調整(シール等) | 低 | 低 | 極低 |
スラスト角の基本的な考え方として、ローラーが下向き(ダウンスラスト)になるように角度を付けることが重要です。一般的には3°~5°程度のダウンスラストが標準的ですが、マシンの速度やコースレイアウトに応じて調整が必要になります。
シャーシとバンパーの間に1°~3°のプレートを挟むことで、バンパー自体に角度をつけることができます
出典: 印刷通販のプリントビズ ブログ
MAシャーシの注意点として、シャーシ裏面が先端に向かって上がる形状になっているため、そのままプレートを取り付けるとアッパースラストになってしまいます。このため、裏面を平面に加工するか、角度調整プレートで補正する必要があります。
角度調整プレートを使った最も確実な方法
市販のGUPを活用する方法が初心者には最も取り組みやすいでしょう。タミヤから発売されている「ローラー角度調整プレートセット」には1°、2°、3°の3種類のプレートが含まれており、シャーシとバンパーの間に挟むだけで簡単にスラスト角を調整できます。
🔧 市販角度調整プレートの特徴
| パーツ名 | 素材 | 角度 | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|---|
| ローラー角度調整プレートセット | プラスチック | 1°/2°/3° | 入手容易・安価 | 耐久性が低い |
| 角度調整チップセット(限定) | アルミ | 2°/3° | 高耐久 | 厚みがある・入手困難 |
プラスチック製のプレートは耐久性に課題があるため、レース中に潰れたり角度が変わったりする可能性があります。一方、アルミ製は耐久性に優れていますが、厚みがあるためバンパーの高さが上がってしまうという問題も。
ローラー角度調整プレートセットは1°〜3°でスラスト角の調整が可能。通常品のため入手しやすいが、プラ製のため耐久性がない
出典: ムーチョのミニ四駆ブログ
使用時のポイントとして、バンパーカットの際にプレートの穴位置と合わせて加工することが重要です。特にMAシャーシでは5穴を使ってプラスチックバンパーのスラスト角をそのまま活用するパターンと、リヤ穴でバンパーを装着しほぼフロントを切り落とすパターンがあり、それぞれに適した角度調整が必要になります。
現場でできる簡単なスラスト調整法
レース会場などの現場で手軽にスラスト調整したい場合、身近なパーツを挟むだけで対応できます。最も手軽な方法がホイルシールを使った調整で、1枚挟むごとに約1°の角度調整が可能です。
✅ 現場調整に使えるアイテム
- ✓ キット付属のホイルシール(金属製)
- ✓ マルチテープ
- ✓ ワッシャー
- ✓ 商品タグ
- ✓ ポリカボネートの端材
キットについてくるホイルシールの端を小さい短冊状に切り、プレートに貼ってスラストを調整します。1枚で1度の調整が可能
出典: まめ模型
📋 ホイルシールを使った調整方法
| 目的 | シール貼り付け位置(プレート上面) | シール貼り付け位置(プレート下面) | 効果 |
|---|---|---|---|
| ダウンスラストを強める | ローラー穴より後方 | ローラー穴より前方 | スラスト角増加 |
| ダウンスラストを弱める | ローラー穴より前方 | ローラー穴より後方 | スラスト角減少 |
注意点として、マルチテープはすぐに潰れてしまうため、ホイルシールの方が適度な硬さと耐久性があっておすすめです。ただし、これらの方法はあくまで現場での応急的な調整として使用し、恒久的なセッティングには向かないと考えた方が良いでしょう。耐久性は1大会程度が限界かもしれません。
ミニ四駆バンパーレスでスラスト抜けを防ぐ実践的な改造術
- FRP・カーボンを使った角度調整プレートの自作方法
- スラスト抜け対策に効果的なつっかえ棒の取り付け方
- シャーシごとの加工ポイントと注意事項
- まとめ:ミニ四駆バンパーレスでスラストを付ける方法
FRP・カーボンを使った角度調整プレートの自作方法
市販品の課題を解決する方法として、FRPやカーボンプレートを加工して自作する選択肢があります。この方法なら耐久性と厚みの問題を同時に解決でき、マシンに合わせた細かな角度調整も可能になります。
🛠️ 自作角度調整プレートの利点
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 角度の自由度 | 1°~3°の間の微妙な角度も調整可能 |
| 耐久性 | プラ製より高く、特にカーボンは最高 |
| 厚み | GUPより薄く加工でき、高さへの影響が少ない |
| コスト | 端材利用で低コスト化が可能 |
| カスタマイズ性 | シャーシの形状に合わせた加工が可能 |
製作手順は比較的シンプルです。FRPやカーボンの直プレートを用意し、板ヤスリの上で左右均等になるように削っていきます。重要なのは左右でムラが出ないよう均等に削ることで、左右で削り具合が違うとスラスト角も変わってしまいます。
FRPやカーボンを加工することで、プラ製の調整プレートより強度のあるプレートを作ることが可能。マシンに合わせた角度の調整もできる
出典: ムーチョのミニ四駆ブログ
ローラーごとに使う場合は、加工したプレートをビス穴1つを目安にカットして形を整えます。これにより左右のローラーごとに異なるスラスト角を設定することも可能になり、セッティングの幅が大きく広がります。
加工の難易度としては、FRPの方がカーボンより加工しやすいため、特別な理由がない限りFRPから始めることをおすすめします。
スラスト抜け対策に効果的なつっかえ棒の取り付け方
バンパーレス化やATバンパー使用時の大きな課題がスラスト抜けです。走行中の衝撃でローラーのスラスト角が変わり、アッパースラスト(ローラーが上向き)になってしまう現象で、コースアウトの原因となります。
📊 スラスト抜けの主な原因
| 原因 | 詳細 | 対策 |
|---|---|---|
| ATバンパー軸とローラーの位置関係 | ローラーが軸より前にあると衝撃が強くなる | 軸をローラーより前方に配置 |
| スプリング圧力の不均等 | スラスト角によりフロント側の圧力が弱くなる | スプリングの硬さ・幅を調整 |
| 可動部のガタ | バンパー可動時の遊びが大きい | 支えやつっかえ棒で固定 |
つっかえ棒方式は、今回紹介するスラスト抜け対策の中でも最も効果が大きい方法の一つです。マルチプレートにビスを取り付け、ブレーキステー側は貫通させるための穴を開けることで、このビスがつっかえ棒として機能します。
ブレーキステーのつっかえ棒を通しているスペースのフロント側をほぼ無くし、リヤ側を広めにすることでつっかえ棒の前後の動きを調整
出典: ミニヨンファン
🔧 つっかえ棒の設置ポイント
- ✓ マルチプレートに長めのビスと3mmスペーサーを使用
- ✓ ブレーキステーのビス穴をリューターで拡張
- ✓ 穴の上部(フロント側)は削りすぎないよう注意
- ✓ 穴の下部(リヤ側)は広めにして可動をスムーズに
- ✓ 穴の内側(中央側)は左右の傾きに対応できる空間を確保
注意点として、VZシャーシ用とMA・MSシャーシ用では穴の加工方法が若干異なります。MA・MSシャーシ用の方がATバンパーの支柱位置が前寄りなため、より前方に穴を拡張する必要があります。
この改造にはメンテナンス性向上の副次効果もあり、ATバンパーをブレーキステーに取り付けたままビスの締め具合を調整できるようになります。
シャーシごとの加工ポイントと注意事項
バンパーレス化の方法はシャーシの形状によって最適解が異なります。特にS2シャーシやMAシャーシでは独特の注意点があるため、シャーシごとの特性を理解することが重要です。
🎯 S2シャーシのバンパーレス加工パターン
| 加工方法 | 特徴 | 推奨度 | 備考 |
|---|---|---|---|
| ビス穴を残してサイド切断 | FRP取り付けが困難 | ★☆☆ | 凸凹処理が面倒 |
| 完全に削り取る | スラスト調整が難しい | ★★☆ | 運が良ければ成功 |
| バンパー全体を残す | 最も安定して製作可能 | ★★★ | 初心者におすすめ |
S2シャーシはバンパーに溝があり、溝の中にビスの穴がある。中途半端に両サイドを切ってしまうと、FRPなどが上手く付けられず大変面倒なことになる
出典: だーいのミニ四駆研究室!
S2シャーシの推奨加工法として、バンパー全体を残してシャーシの下から加工したFRPを2点止めする方法が最も失敗が少ないようです。スラストは土台にワッシャーやキャッチャーを挟んで確保できます。
📋 MAシャーシの裏面加工について
MAシャーシの場合、裏面が傾斜しているため、そのままではプレートを平行に取り付けられません。このため、両面ダイヤモンド砥石などを使ってバンパー取り付け部をまっすぐに仕上げる必要があります。
MAシャーシには傾斜がついているのでそのままバンパーを乗せるとスラストが逆にかかってしまうので、バンパー取り付け部をまっすぐに仕上げないとダメ
出典: サブカル”ダディ”ガッテム日記
ビス貫通加工のすすめとして、ネジ穴を拡張してビスを完全に貫通させる方法があります。これにより、ワッシャーがポロポロ落ちる問題が解消され、微調整も容易になります。馬鹿になったネジ穴の修復方法としても使えるため、初心者ほど覚えておくと便利でしょう。
まとめ:ミニ四駆バンパーレスでスラストを付ける方法
最後に記事のポイントをまとめます。
- バンパーレス化ではシャーシ本来のスラスト角が失われるため、角度調整プレートなどで新たに確保する必要がある
- 市販のローラー角度調整プレートセット(1°/2°/3°)が最も手軽だが、耐久性に課題がある
- FRPやカーボンを削って自作すれば、耐久性・厚み・角度の自由度すべてで優れたプレートが作れる
- 現場での応急調整にはホイルシールが有効で、1枚で約1°の角度調整が可能
- スラスト抜け対策として、つっかえ棒方式が最も効果的で、マルチプレートとブレーキステーを利用する
- MAシャーシは裏面が傾斜しているため、平面加工またはスラスト補正が必須
- S2シャーシはバンパー全体を残してFRPを下から取り付ける方法が最も安定する
- ATバンパー軸はフロントローラーより前方に配置することでスラスト抜けを軽減できる
- スプリングの硬さや幅を調整することでATバンパーの安定性を向上させられる
- ビス貫通加工を行うとワッシャー調整が容易になり、メンテナンス性も向上する
記事作成にあたり参考にさせて頂いたサイト
- サブカル”ダディ”ガッテム日記 – MAバンパーレス加工
- ミニヨンファン – スラスト抜け対策
- ムーチョのミニ四駆ブログ – スラスト調整方法
- 印刷通販のプリントビズ ブログ – スラスト角度の付け方
- コースありません。- MAシャーシバンパーレス化
- やき=う始めました – 初挑戦向けバンパーカット
- サバ缶のミニ四駆ブログ – スラスト抜け防止
- まめ模型 – 現場でスラストをつける方法
- だーいのミニ四駆研究室!- S2シャーシバンパーレス
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