ミニ四駆の速度を左右する重要なパーツの一つが「軸受け」です。タイヤシャフトを支える部分の性能が、モーターのパワーをどれだけ効率よくタイヤに伝えられるかを決定します。キット付属のハトメやPOM製軸受けから、高性能なボールベアリングまで、選択肢は多様です。
しかし「結局どれを選べばいいの?」と迷う方も多いのではないでしょうか。620ベアリング、HG丸穴ボールベアリング、六角穴、丸穴など種類が豊富で、それぞれに特徴があります。さらに価格帯も幅広く、初心者には判断が難しい部分です。この記事では、各軸受けの特性を比較しながら、用途や予算に応じた最適な選択肢を提案します。
| この記事のポイント |
|---|
| ✓ 軸受けの種類別の性能と価格の違いがわかる |
| ✓ 620ベアリングとHG丸穴の使い分けが理解できる |
| ✓ 脱脂やシールド外しなどメンテナンス方法を習得できる |
| ✓ 初心者から上級者まで予算に応じた選択ができる |
ミニ四駆の軸受けベアリングの基礎知識とおすすめの選び方
- 軸受けの種類は大きく分けて滑り軸受けと玉軸受けの2タイプ
- ボールベアリングの性能を引き出すには慣らしと脱脂が必要
- 初心者におすすめなのはコスパと精度のバランスが良いHG丸穴
- 上級者向けの620ベアリングは精度重視だがシャフト選別が必須
軸受けの種類は大きく分けて滑り軸受けと玉軸受けの2タイプ
ミニ四駆の軸受けは、構造によって滑り軸受けと**玉軸受け(ボールベアリング)**の2種類に大別されます。
📊 滑り軸受けと玉軸受けの比較
| 項目 | 滑り軸受け | 玉軸受け(ボールベアリング) |
|---|---|---|
| 構造 | シャフトが直接穴の中で回転 | 金属球を介して回転 |
| 摩擦係数 | 比較的高い | 低い |
| 耐久性 | 素材により大きく異なる | 一般的に高い |
| 価格 | 安価 | 高価 |
| メンテナンス | グリスアップが必要 | 脱脂・潤滑が効果的 |
✅ 滑り軸受けの種類
- ハトメ軸受け:真鍮製のハトメとプラリングの組み合わせ。古いキットに付属していたが、寿命が短い
- メタル軸受け:AOパーツで100円程度と安価だが、真鍮製のため消耗が早い
- フッソコート620スチールベアリング:硬質スチールにフッ素コーティング。メタル軸受けより耐久性が高い
- POM(低摩擦樹脂):現在のキットに標準装備。摩擦係数0.18と低く、適切なグリスアップで高性能
POMは材質的に摩擦係数が低く、耐摩耗性も優秀。軽くて滑りが良いのが、軸受けとしても使いやすくなっています。
出典:ムーチョのミニ四駆ブログ
✅ 玉軸受け(ボールベアリング)の種類
ボールベアリングは内部の金属球が転がることで摩擦抵抗を減らす仕組みです。
- 六角穴・丸穴ボールベアリング:第二次ブーム期からある定番品。精度は低めで現在はあまり推奨されない
- HG丸穴ボールベアリング:2018年発売の改良版。精度が向上し、1セット4個入りで使いやすい
- 620ベアリング:AOパーツ。外径6mm、内径2mmで、軸受け用として最高レベルの精度を誇る
- 520ベアリング:カウンターギヤやローラー用に使われることが多い
ボールベアリングの性能を引き出すには慣らしと脱脂が必要
ボールベアリングは購入直後の状態では本来の性能を発揮できません。内部に封入された防錆用のグリスが粘度が高く、回転を妨げているためです。
🔧 ベアリングのメンテナンス手順
| 工程 | 目的 | 方法 |
|---|---|---|
| ① 慣らし回転 | グリスを馴染ませる | 2~3分間モーターで空回し |
| ② シールド外し | ゴム製シールドの抵抗を除去 | デザインナイフで8個のシールドを取り外し |
| ③ 脱脂 | 防錆グリスを除去 | 溶剤に浸けて内部の油分を抜く |
| ④ 潤滑 | 適切なオイルを注入 | ベアリングオイルで性能維持 |
ある検証では、620ベアリングを開封直後に測定したところ23.25秒だったタイムが、慣らしとシールド外しを行った後には22.96秒まで短縮されました。約0.3秒のタイム向上は、ミニ四駆においては大きな差といえます。
実は620ベアリングは、慣らし回転をする、シールドのゴムを外す、この2つの作業を加えることで、大幅にアップするのだそうです。
⚠️ 脱脂時の注意点
- 脱脂すると防錆効果がなくなるため、こまめなメンテナンスが必要
- シールドを外すと異物が混入しやすくなる
- 適度なオイル管理をしないとベアリングの寿命が短くなる可能性も
初心者におすすめなのはコスパと精度のバランスが良いHG丸穴
初めてボールベアリングを導入するなら、HG丸穴ボールベアリングが最もバランスの取れた選択肢です。
💡 HG丸穴ボールベアリングの特徴
メリット
- ✅ 従来の丸穴より大幅に精度が向上
- ✅ 1セット4個入りでマシン1台分がそろう(約1,000円)
- ✅ 620ベアリングほど厚みがないため取り付けやすい
- ✅ 内径が620より大きく、シャフト選別の手間が少ない
デメリット
- ⚠️ 性能面では620ベアリングにやや劣る
- ⚠️ 開封直後は固めのグリスが入っており、脱脂推奨
2018年に新しく発売された、HG丸穴ボールベアリング。従来の丸穴ボールベアリングよりも精度が高く、軸受け用としても使いやすくなっています。
出典:ムーチョのミニ四駆ブログ
📈 価格と性能のバランス比較
| 軸受けタイプ | 価格(1台分) | 精度 | 扱いやすさ | 総合評価 |
|---|---|---|---|---|
| POM軸受け | 約500円 | ★★☆☆☆ | ★★★★★ | コスパ最強 |
| HG丸穴ベアリング | 約1,000円 | ★★★★☆ | ★★★★★ | 初心者推奨 |
| 620ベアリング | 約1,400円 | ★★★★★ | ★★★☆☆ | 上級者向け |
特に価格面でのメリットが大きく、620ベアリングは2セット購入が必要なのに対し、HG丸穴は1セットで完結します。「軸受け用GUPなのでシャーシに必要な4個セット」という点は、初心者にとって非常にありがたい配慮です。
上級者向けの620ベアリングは精度重視だがシャフト選別が必須
マシンの性能を極限まで追求するなら、620ベアリングが最適な選択です。ただし、その高精度ゆえに注意すべき点も多くあります。
⭐ 620ベアリングが選ばれる理由
精度の高さ
620ベアリングの最大の特徴は、外輪と内輪のガタつきがほとんどないことです。丸穴や六角穴ベアリングは内輪が動いてしまう構造ですが、620は削り出しで製造されているため、非常に高い精度を実現しています。
「丸穴」や「六角穴」と違い外輪と内輪のガタつきも少ないので、軸受け用ベアリングとしての精度も高いのが特徴。
出典:ムーチョのミニ四駆ブログ
⚠️ 620ベアリングの注意点
| 注意項目 | 内容 | 対策 |
|---|---|---|
| 厚みの問題 | 2.5mmと厚く、60mmシャフトでは長さ不足の可能性 | 72mmシャフトを使用し、ホイール貫通を検討 |
| シャフト選別 | 精度が高すぎて、わずかな歪みでも回転が悪化 | 真っ直ぐなシャフトを厳選する必要がある |
| 価格 | 1袋2個入りで、マシン1台に2セット必要 | コスト面では覚悟が必要 |
| 新旧の違い | マイナーチェンジで性能が変化している | 旧型の方が評価が高いが入手困難 |
🔍 新旧620ベアリングの違い
2011年末~2012年初頭にマイナーチェンジが実施され、外輪が薄くなりましたが、その代わりに性能が低下したとされています。新型はゴムシールが大型化し、回転を鈍らせる原因になっているようです。
ただし、2018年の値上げと同時に再度マイナーチェンジが行われ、リテイナーが樹脂製になったことで約0.1g軽量化されたとの報告もあります。
ミニ四駆軸受けベアリングの実践的な選び方とおすすめの使い分け
- 予算と目的で選ぶなら精度重視かコスパ重視かを明確に
- POM軸受けは意外と優秀で軽量マシンには最適な選択肢
- 六角穴と丸穴ベアリングの違いはシャフト形状への適合性
- まとめ:ミニ四駆の軸受けベアリング選びは用途次第でおすすめが変わる
予算と目的で選ぶなら精度重視かコスパ重視かを明確に
軸受け選びで最も重要なのは、自分のミニ四駆に求める性能と予算のバランスを見極めることです。
🎯 用途別おすすめ軸受けマトリクス
| 優先事項 | おすすめ軸受け | 価格目安 | 適したユーザー |
|---|---|---|---|
| コスパ最強 | POM軸受け | 約500円 | 初心者・練習用・GTアドバンス参戦者 |
| バランス重視 | HG丸穴ベアリング | 約1,000円 | 初心者~中級者・最初のベアリング導入 |
| 精度最優先 | 620ベアリング | 約1,400円 | 上級者・大会出場者・タイム追求者 |
| 低予算で性能向上 | フッソコート620 | 約400円 | 予算制限のあるレギュレーション |
💰 価格縛りレギュレーションでの戦略
ミニ四駆の大会には「〇〇円縛り」といった特別ルールが存在することがあります。そういった場合には、ボールベアリングではなくフッソコート620スチールベアリングが活躍します。
価格も安いので、”***円縛りレギュ”等の特別レギュレーションで活用することもできますね。
また、カウンターギヤに仕込む用途としてもフッソコート620は評価が高く、「カウンターギヤに内蔵するとよく廻る」との意見も見られます。
POM軸受けは意外と優秀で軽量マシンには最適な選択肢
「ベアリングに交換すれば速くなる」という常識がありますが、実はPOM軸受けの性能は侮れません。使い方次第では旧型のボールベアリングよりも優秀な結果を出すこともあります。
📊 POM軸受けの実力
摩擦係数の比較
| 素材 | 摩擦係数 | 備考 |
|---|---|---|
| POM(ポリオキシメチレン) | 0.18 | ミニ四駆で使われる素材中で最低レベル |
| 硬質ポリエチレン | 0.15~0.17 | POMに次ぐ低摩擦 |
| 乾燥状態のボールベアリング | 0.3~0.8 | 潤滑なしでは意外と高い |
| 油による境界潤滑のベアリング | 0.1~0.3 | 適切な潤滑で性能向上 |
POMは材質的に摩擦係数が低く、耐摩耗性も優秀。軽くて滑りが良いのが、軸受けとしても使いやすくなっています。
✅ POM軸受けが有利な条件
- 車重が100g前後の軽量マシン(重量級では金属ベアリングが有利)
- メンテナンスの手間を減らしたい場合
- GTアドバンスなどベアリング禁止のレギュレーション
- 予算を抑えたい初心者
2020年1月にAOパーツとして単品発売(GP.523 低摩擦プラベアリングセット)されたことで、交換用としての入手も容易になりました。
🛠️ POM軸受けを最大限活かす方法
POM軸受けの性能を引き出すには、適切なグリスアップが重要です。セラグリスなどの高性能グリスを薄く塗布することで、摩擦抵抗をさらに減らせます。
POMもそのままで低摩擦ですが、長持ちさせたいならセラグリスペンで穴の中を軽く撫でておいたりすると良い事もあります。
出典:紅蓮の太陽
六角穴と丸穴ベアリングの違いはシャフト形状への適合性
第二次ブーム世代には懐かしい六角穴ボールベアリングと丸穴ボールベアリング。両者は約25年前から販売されていますが、現在ではほとんど使用されていません。
⚠️ 旧型ベアリングが推奨されない理由
| 問題点 | 六角穴 | 丸穴 | 影響 |
|---|---|---|---|
| 製造精度 | 低い | 低い | 内輪・外輪のガタつきが大きい |
| リテイナー | なし | なし | 球同士が擦れて抵抗増加 |
| 球のかみ込み | 起きやすい | 起こりうる | 最悪の場合ロックする |
| シャフトへの影響 | 大きい | 小さい | 六角穴は駆動系全体に影響 |
球同士が擦れると、余計な抵抗が発生する上、最悪球同士がかみ込み、軸受け部分(内輪)がロックしてしまうという、転がり軸受けとしてはあってはならない事態に陥る危険性を秘めています。
🔍 六角穴の特殊なリスク
六角穴ボールベアリングは、シャフトが六角形状なので「吸い付くように回転する」という利点がありました。しかしこれが逆にデメリットとなり、タイヤの衝撃を直接受けやすく、故障が早いとの指摘もあります。
球同士のかみ込みが起きた場合、丸穴なら滑って回転が維持されることもありますが、六角穴は駆動系を完全にロックしてしまう可能性があります。
📉 実測データに見る性能差
ある実験では、MSシャーシ+ノーマルモーターで100m走行のタイムを計測した結果、以下のような結果が出ました。
| 軸受けタイプ | 100mタイム | 評価 |
|---|---|---|
| ハトメ軸受け | 15.34秒 | 標準 |
| 低摩擦樹脂(POM) | 15.24秒 | ハトメより0.1秒速い |
| 丸穴ボールベアリング | 14.92秒 | 明確に速い |
結果は順当に丸穴ボールベアリングが1位となりました。SiSO的には低摩擦軸受けがもうちょっといい結果がでることを期待していたのですが、ハトメよりはちょっといいかな、ぐらいでした。
出典:SiSO-LAB
ただしこの実験はスピードチェッカー上での計測であり、コーナーでの横Gがかかる実走行では、POM軸受けの形状的メリット(ホイールとの接触面積が小さい)がより発揮される可能性もあります。
まとめ:ミニ四駆の軸受けベアリング選びは用途次第でおすすめが変わる
最後に記事のポイントをまとめます。
- 軸受けは滑り軸受けと玉軸受けに大別され、それぞれ特性が異なる
- POM軸受けは摩擦係数0.18と低く、軽量マシンでは十分な性能を発揮する
- HG丸穴ボールベアリングは精度と価格のバランスが良く、初心者に最適
- 620ベアリングは最高精度だが、厚みやシャフト選別など運用に注意が必要
- ボールベアリングは慣らしとシールド外しで性能が大幅に向上する
- 脱脂作業により回転抵抗はさらに減少するが、メンテナンス頻度が増える
- 六角穴・丸穴の旧型ベアリングは精度が低く、現在は推奨されない
- フッソコート620は価格制限レギュレーションで活躍する選択肢
- 大会出場を目指すなら620ベアリング、練習ならPOMでも十分
- 最終的には自分のマシンで実測し、用途に応じた選択が重要
記事作成にあたり参考にさせて頂いたサイト
- 【おすすめの軸受け】ボールベアリングとPOM|種類も合わせて紹介 | ムーチョのミニ四駆ブログ
- ミニ四駆の軸受けベアリングのおはなし|KATSUちゃんねる ブログ
- 軸受け – ミニ四駆改造マニュアル@wiki – atwiki(アットウィキ)
- 軸受けって意外と大事|紅蓮の太陽
- ミニ四駆初心者が最初に買うべきパーツ① – 兄貴 is POWER
- 84 620ボールベアリングを試してみたよ – ミニ四駆、もう一度始めてみたよ
- ミニ四駆のベアリング(ホイールシャフトの軸受け)の性能比較をスピードチェッカーでしてみる実験。
- ベアリング (10個セット/ 620ベアリング ) ミニ四駆 パーツ – Amazon
- 11 対決に向けて① ボールベアリングは有効か – ミニ四駆、もう一度始めてみたよ
各サイト運営者様へ
有益な情報をご公開いただき、誠にありがとうございます。
感謝の意を込め、このリンクはSEO効果がある形で設置させていただいております。
※リンクには nofollow 属性を付与しておりませんので、一定のSEO効果が見込まれるなど、サイト運営者様にとってもメリットとなれば幸いです。
当サイトは、インターネット上に散在する有益な情報を収集し、要約・編集してわかりやすくお届けすることを目的としたメディアです。
私たちは、情報の収集や整理を通じて「情報をまとめてわかりやすく伝える」という形で新たな価値を提供できるのではないかと考え、運営しております。
なお、引用や参照の方法には不備、あるいはご不快に感じられる点がございましたら、迅速に対応いたしますので、お手数ですがお問い合わせフォームよりご連絡いただければ幸いです。
今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。
当ブログをご覧いただきありがとうございます。
このたび、当ブログの記事内容について無断転載とのご指摘を受けました。
事実確認が十分でない部分もありますが、著作権に関わるご迷惑をおかけする可能性を重く受け止め、記事をすべて非公開とし、今後の再確認を進めてまいります。
ご心配・ご不快の念をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます。
今後は再発防止に努め、安心してご覧いただけるブログ運営を行ってまいります。
