ミニ四駆のセッティングで現代の定番となっているのが「リヤアンカー」です。コースアウトを防ぎ、安定した走行を実現するこの機構は、一見複雑そうに見えますが、基本を押さえれば初心者でも十分に作成できます。本記事では、インターネット上の情報を収集・分析し、リヤアンカーの作り方から調整方法まで、独自の視点で詳しく解説していきます。
カット作業が不安な方には無切断タイプの作り方も紹介しますので、自分のレベルや目的に合った方法を選んでいただけます。アンカーの仕組みを理解し、実際に組み立てることで、マシンの性能は格段に向上するでしょう。
| この記事のポイント |
|---|
| ✓ リヤアンカーの基本構造と必要なパーツがわかる |
| ✓ 初心者向けの作り方から上級者向けのテクニックまで網羅 |
| ✓ 無切断タイプと通常タイプの両方の作成方法を紹介 |
| ✓ アンカーのメリット・デメリットと調整方法を解説 |
ミニ四駆リヤアンカーの作り方と基本構造
- リヤアンカーの基本原理は「いなし効果」による復帰性能の向上
- 1軸アンカーの必須パーツは5種類程度で入手しやすい
- キノコ（スタビヘッド）の加工精度が動きの良さを左右する
- 無切断タイプなら初心者でも30分程度で作成可能
- マスダンパープレートの穴拡張が最も重要な加工ポイント
- ブレーキステーを2枚使うことで安定性が増す
リヤアンカーの基本原理は「いなし効果」による復帰性能の向上
リヤアンカーは、バンパーが可動することで衝撃を「いなす」機構です。コースの壁に接触した際、固定式バンパーでは跳ね返されてコースアウトするリスクがありますが、アンカーは上方向や左右方向に逃げることで、マシンをスムーズにコース内に復帰させます。
一般的には1軸アンカーが主流で、バンパーがスタビヘッド（通称：キノコ）を軸として可動します。この構造により、ジャンプ後の着地やレーンチェンジでの壁接触時に、マシンが弾かれにくくなるのです。
📊 アンカーの種類と特徴比較
| 種類 | 軸の数 | 難易度 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 1軸アンカー | 1本 | ★★☆☆☆ | 最も一般的、作りやすい |
| 2軸アンカー | 2本 | ★★★☆☆ | より安定、調整幅が広い |
| 0軸アンカー | なし | ★★★★☆ | ゴムリングで接続、新しいタイプ |
1軸アンカーの必須パーツは5種類程度で入手しやすい
基本的な1軸リヤアンカーを作るために必要なパーツは、おそらく多くのミニ四駆ユーザーが持っているか、容易に入手できるものばかりです。
🔧 必要なパーツリスト
- ボールリンクマスダンパー：FRPプレート（通称：パンツプレート）を使用
- FRPリヤブレーキステー：2枚（土台とブレーキ用）
- スタビキャップ（きのこ）：可動の中心となる重要パーツ
- フロントワイドステー（フルカウル）：バンパー部分として使用
- 2段アルミローラー用5mmパイプ：スムーズな可動のために必要
- Oリング、バネ、各種ビス・ナット類
無切断1軸アンカーであれば、カット作業が最小限で済み、初心者でも手軽に作成できます。
キノコ（スタビヘッド）の加工精度が動きの良さを左右する
スタビヘッドの加工は、アンカーの性能を決定づける最も重要な工程です。主な加工内容は以下の3つになります。
① ヘッド部分のカット
マスダンパープレートからはみ出さないよう、ヘッド部分を削ります。削りすぎると円筒部分に達して破損するため、慎重な作業が求められます。
② 穴の拡張・貫通
2.1mm～2.5mmのドリル刃で穴を拡張します。2.1mmに近いと安定性が増し、2.5mmに近いと可動がスムーズになります。個人的には、一般的に2.5mmが推奨されることが多いようです。
③ 円筒部分のカット
可動域を広げるため、円筒部分を1～2mmほど残してカットします。
📋 スタビヘッド加工の推奨手順
| 工程 | 使用工具 | ポイント |
|---|---|---|
| ヘッドカット | ニッパー、ヤスリ | マスダンパープレートに合わせて調整 |
| 穴拡張 | 2.1～2.5mmドリル | 2.5mmが可動性重視でおすすめ |
| 円筒カット | ニッパー、FRPステー | 1.5mm程度残すのが目安 |
無切断タイプなら初心者でも30分程度で作成可能
カット作業に不安がある初心者には、無切断タイプのリヤアンカーがおすすめです。シャーシのバンパーカットやスタビの穴あけ、弓ステーの外側を軽くヤスリで削る程度の加工で済むため、大がかりなカット作業は必要ありません。
無切断タイプのメリットは、作業時間が短く失敗のリスクが低いことです。もちろん、レースでの上位入賞を目指すなら精密な加工が必要になるかもしれませんが、ジャパンカップの1次予選程度なら通過できる可能性は十分あります。
ただし、B-MAXでは使用できない点には注意が必要です。レギュレーションを確認してから作成を始めましょう。
マスダンパープレートの穴拡張が最も重要な加工ポイント
ボールリンクマスダンパーに付属するFRPプレート（通称：マスダンパープレート）の中央穴をすり鉢状に拡張する作業は、アンカー全体の性能を決める最重要工程です。
🎯 推奨される加工方法2パターン
方法①：直径8mm球型リュータービットを使用
スタビヘッドの直径も8mm程度なので、この工具を使えば最も理想的な形状の穴を作れます。マスダンパープレートの中央穴に垂直に当てて削るだけで、誰でも簡単に最適な拡張が可能です。
方法②：砲弾形リュータービットを使用
100円ショップでも購入できる砲弾形ビットでも加工できます。多少手間はかかりますが、工具費を抑えられるのがメリットです。垂直に当てた後、少しだけ傾けた状態で穴の周りを回していきます。
⚠️ 削りすぎに注意
穴を深く削りすぎると、後のスタビヘッド加工でヘッド部分を削りすぎることになり、スタビヘッドが破損してしまいます。提供された情報によれば、拡張後の画像を参考に、適切な深さに留めることが重要です。
ブレーキステーを2枚使うことで安定性が増す
リヤブレーキステーは基本的に2枚用意します。1枚目はシャーシへの固定、支柱設置、可動制御用支柱（ストッパー）設置を担い、2枚目はブレーキスポンジやマスダンパーを設置するために使用します。
1枚目の加工パターン
- 加工パターン1：どのシャーシにも対応するオーソドックスな形
- 加工パターン2：MSシャーシ向け、よりシャーシに接近した形状
1枚目のブレーキステーでは、シャーシ結合用、支柱設置用、可動制御用支柱設置用のビス穴を残し、不要な部分をカットします。マスダンパープレートの左右最長部分の下には必ずブレーキステーが来るよう設計することで、安定性が確保されます。
2枚目の加工
2枚目は1枚目と結合させるためのビス穴が必要です。使用するビス穴の位置によってマシン全長が変わるため、公認競技会規則の165mm制限を超えないよう注意が必要です。
ポチップ
ミニ四駆リヤアンカーの調整テクニックと実践ポイント
- アンカーのガタつき対策は3つの方法で解決できる
- 可動制御用支柱（ストッパー）の設置で後方への動きを制限
- バネの種類と締め具合で可動の硬さを調整可能
- カーボンプレート使用で軽量化と強度向上を両立
- VZシャーシやARシャーシにも応用できる汎用性
- セイchan式アンカーは19mmローラーを後方に伸ばす工夫がある
- まとめ：ミニ四駆リヤアンカーの作り方は目的に応じて選択すべき
アンカーのガタつき対策は3つの方法で解決できる
リヤアンカーを作成すると、バンパー部分のガタつきが気になることがあります。これはマスダンパープレートとスタビヘッドの接触面積や摩擦抵抗力に起因するもので、適切な対策を施すことで改善できます。
📌 ガタつきを抑える3つの方法
| 方法 | 内容 | 効果 |
|---|---|---|
| スプリングの圧力を強化 | より硬いバネに交換 | 安定性向上、可動性やや低下 |
| 支柱の固定 | ロックナットの締め具合を調整 | ガタつき減少、調整が重要 |
| 大ワッシャーの設置 | スタビヘッドとプレートの間に配置 | 接触面積増加、摩擦力向上 |
スプリングの圧力を強くするのが最も手軽な方法です。銀バネから黒バネに変更したり、複数のバネを重ねることで圧力を調整できます。ただし、圧力を強くしすぎると「いなし効果」が弱まる可能性があるため、バランスが大切です。
可動制御用支柱（ストッパー）の設置で後方への動きを制限
1軸アンカーは上下の動きには優れていますが、そのままでは後方にも動いてしまい、ローラー接触時にバンパーごと後ろに弾かれる可能性があります。これを防ぐために、可動制御用支柱（ストッパー）の設置が必須です。
ストッパーの役割
ストッパーは、バンパーの後方への可動を制限し、前方および上方向への動きは許容する働きをします。これにより、コーナーでの引っかかりを防ぎつつ、ジャンプ時の「いなし」機能は維持できます。
一般的な設置方法としては、リヤブレーキステーの特定のビス穴に長めのビスを通し、マルチブレーキセットやスキッドローラーセットのパーツを組み合わせて取り付けます。向きを調整してロックナットで固定すれば完成です。
フロント側に近いビス穴を使用するとローラーベースが長くなり、リヤ側に近いと短くなります。マシン全長165mm制限も考慮してビス穴を選択しましょう。
バネの種類と締め具合で可動の硬さを調整可能
アンカーの可動性は、使用するバネの種類とロックナットの締め具合によって細かく調整できます。これがアンカーの奥深さであり、セッティングの楽しさでもあります。
🔧 バネによる調整の考え方
- 銀バネ（柔らかめ）：可動性重視、いなし効果大、ガタつきやすい
- 黒バネ（硬め）：安定性重視、ガタつき少、いなし効果やや低下
- 樽バネ：中間的な特性、バランス型
さらに、ロックナットの締め込み具合でもバネの圧力を調整できます。緩めれば可動しやすく、締めれば安定性が増します。走行テストを繰り返しながら、コースレイアウトやマシンの特性に合わせた最適なセッティングを見つけることが重要です。
グリスの活用
Oリング部分にグリスを塗布することで、可動をよりスムーズにできます。摩擦を減らし、アンカーの反応速度を向上させる効果が期待できます。
カーボンプレート使用で軽量化と強度向上を両立
FRPプレートの代わりにカーボンプレートを使用すると、軽量化と強度向上を同時に実現できます。特に負荷がかかるバンパー部分では、カーボンの採用がおすすめです。
カーボン化のメリット
- 重量が軽くなり、マシン全体のバランスが向上
- 強度が高く、耐久性に優れる
- 見た目がカッコいい（これも重要！）
ボールリンクマスダンパーには、カーボンプレート版も販売されています。フロントワイドステーもカーボン版があり、これらを組み合わせることで、より高性能なアンカーを作成できるでしょう。
ただし、カーボンプレートは価格がFRPより高めです。予算や目的に応じて選択してください。初めて作る場合は、まずFRPで練習してから、カーボン版にステップアップするのも良いかもしれません。
VZシャーシやARシャーシにも応用できる汎用性
リヤアンカーは、MSシャーシだけでなく、VZシャーシやARシャーシなど、様々なシャーシタイプに応用できます。基本構造は同じですが、シャーシの形状に合わせて取り付け方を調整する必要があります。
各シャーシでの注意点
- MSシャーシ：最も一般的、情報も豊富
- VZシャーシ：リヤ周りのスペースを確認、専用の加工が必要な場合も
- ARシャーシ：B-MAX対応を考慮した設計が可能
VZシャーシでもリヤアンカーは効果的に機能します。シャーシの特性を理解した上で、適切な調整を施しましょう。
セイchan式アンカーは19mmローラーを後方に伸ばす工夫がある
セイchan式アンカーは、19mmローラーを後方に伸ばして取り付ける独自の設計が特徴です。作り方も公開されており、必要なカーボンも手に入りやすいため、加工が苦手な人でも挑戦しやすいでしょう。
専用の治具も発売されているため、精度の高いアンカーを作りやすくなっています。通常のアンカーとは異なるアプローチで、ローラーベースの調整やコーナリング性能の向上を狙った設計といえます。
セイchan式の特徴
- 19mmローラーの配置が独特
- 専用治具で作りやすい
- コーナーのキレが向上する可能性
一方で、2軸アンカーや0軸アンカー（ゼロ・アンカー）といった発展型も存在します。0軸アンカーはゴムリング1つで接続する新しいタイプで、構造が単純化され、耐久性が向上するメリットがあります。
📊 アンカータイプ別の特性比較
| タイプ | 構造 | 難易度 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 通常1軸 | キノコ+バネ | ★★☆☆☆ | 最も一般的、情報豊富 |
| セイchan式 | 19mmローラー後方配置 | ★★★☆☆ | 治具あり、コーナー特化 |
| 2軸 | 2本の軸で支持 | ★★★☆☆ | 安定性高、調整幅広い |
| 0軸 | ゴムリング接続 | ★★★★☆ | 耐久性高、新しいタイプ |
まとめ：ミニ四駆リヤアンカーの作り方は目的に応じて選択すべき
最後に記事のポイントをまとめます。
- リヤアンカーは「いなし効果」でコースアウトを防ぐ現代ミニ四駆の定番機構である
- 1軸アンカーが最も一般的で、必要パーツは5種類程度と入手しやすい
- スタビヘッド（キノコ）の加工精度がアンカー性能を大きく左右する
- マスダンパープレートの穴拡張には8mm球型ビットか砲弾形ビットを使用する
- 無切断タイプなら初心者でも30分程度で作成でき、1次予選通過レベルの性能が得られる
- ブレーキステー2枚構成で安定性が増し、マシン全長165mm制限に注意が必要
- ガタつき対策はバネ強化、支柱固定、大ワッシャー設置の3つの方法がある
- 可動制御用支柱（ストッパー）の設置で後方への不要な動きを制限できる
- カーボンプレート採用で軽量化と強度向上を両立でき、上級者向けの選択肢となる
- セッティングの奥深さがアンカーの魅力で、バネ・グリス・締め具合で細かく調整可能である
ポチップ
記事作成にあたり参考にさせて頂いたサイト
- 1軸 リヤアンカー 作り方・作成方法 -作成編- 【ミニ四駆 改造】 | ミニ四ファン
- shige式リアアンカー解説、作り方、こだわりポイントセットアップ方法など｜shigeのmini4wd放浪記
- 【手順を解説】リヤアンカーの作り方｜定番改造を加工も少なくシンプルに | ムーチョのミニ四駆ブログ
- ミニ四駆作ってみた〜その486「アンカーを作ってみよう」 – ミニ四駆作ってみた
- ミニ四駆初心者でも手軽に作れる無切断1軸リヤアンカーの改造動画ついて｜つっつんチャンネル
- リヤアンカーシステム作り方ミヤジメモ その２ | ミニ四駆バーDRIBAR 池袋
- 1軸アンカーを久し振りに作る | 車輪と戯れる
- ゼロ・アンカー（リア版）の作り方 – おじゃぷろの”とりま”
- （キノコを使わない）リヤアンカーの作り方 | サバ缶のミニ四駆ブログ
- 【ミニ四駆/MSフレキ】超簡単！リア1軸アンカーの作り方（初心者/ライト層向け改造） – YouTube
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