ミニ四駆の改造を進めていくと、必ずと言っていいほど手に取るのが「両ネジシャフト」です。普通のビスよりも硬く、スペーサーなしでも使える強度があり、初心者からベテランまで幅広く活用されているパーツですが、その特徴を正しく理解して使いこなせている人は意外と少ないかもしれません。リヤローラーの取り付けには最適と言われる一方で、マシンによっては使いづらさを感じることもあるこのパーツ。実は両端と中央でネジの切り方が異なる独特の構造が、様々な応用を可能にしているのです。
この記事では、両ネジシャフトの基本的な特徴から、ATバンパーやマスダンパーへの応用テクニック、さらには加工方法まで、実際のユーザーの声を交えながら徹底的に解説していきます。単なるビスの代替品ではない、両ネジシャフトの真価を知れば、あなたのマシンセッティングの幅が大きく広がるはずです。
| この記事のポイント |
|---|
| ✓ 両ネジシャフトの構造と強度の秘密 |
| ✓ リヤローラー取り付けでパーツ点数削減 |
| ✓ 提灯・ATバンパーへの摩耗防止活用法 |
| ✓ マスダンパー軸として加工する具体的手順 |
ミニ四駆における両ネジシャフトの基本知識と特性
- 両ネジシャフトは中央部がネジ切りされていない独特の構造
- 通常のビスより1.5倍以上の強度を持つコスパ優秀パーツ
- リヤローラー取り付けでスペーサー不要の軽量化が可能
両ネジシャフトは中央部がネジ切りされていない独特の構造
両ネジシャフトの最大の特徴は、その名の通り両端にネジが切られており、中央部分はネジ切りされていない平滑な構造になっていることです。
📊 両ネジシャフトの構造詳細
| 部位 | 特徴 | 長さ(2×38mm版) |
|---|---|---|
| 両端部 | M2ネジ切り加工 | 各端約8mm程度 |
| 中央部 | 平滑な円柱形状 | 約22mm |
| 全長 | – | 38mm |
| 材質 | ステンレス系 | – |
この独特な構造により、通常のビスとは異なる使い方が可能になります。中央の平滑部分は他のパーツと接触しても摩耗が起こりにくいという大きなメリットがあります。
ムーチョのミニ四駆ブログでは以下のように説明されています:
両ネジシャフトの使いやすい部分は、真ん中部分がネジ切りされていないこと。このネジ切りされていない部分を使うことで、他のパーツの摩耗を防ぐことができます。
一般的には、この構造を活かしてローラーの取り付けや可動部の軸として使用されることが多いでしょう。
通常のビスより1.5倍以上の強度を持つコスパ優秀パーツ
両ネジシャフトは硬度の高い素材で作られており、通常のステンレスビスと比較して格段に強度が高いのが特徴です。
💪 ミニ四駆ビスパーツの強度比較
| パーツ名 | 相対強度 | 価格帯 | コストパフォーマンス |
|---|---|---|---|
| 通常ビス | 1.0倍 | 最安値 | ⭐⭐ |
| 両ネジシャフト | 約1.3倍 | 中程度 | ⭐⭐⭐⭐⭐ |
| キャップスクリュー | 1.5倍 | 高価 | ⭐⭐⭐ |
キャップスクリューには強度で劣るものの、価格を考慮するとコストパフォーマンスは抜群と言えます。通常のビスであれば曲がってしまうような衝撃でも、両ネジシャフトなら多少は耐えられる可能性が高いでしょう。
ただし、おそらく「絶対に曲がらない」というわけではありません。あるユーザーの報告によると:
個人ブログでの体験談では、
今まで2段ローラーに使っていた長ネジは曲がりやすいことが分かったので(指でググッと力入れるとすぐに変形してしまうことが分かりました)、長ネジより強度の高そうな両ネジシャフトを導入します。
と、通常ビスからの乗り換え理由が語られています。
強度とコストのバランスを考えると、初心者から中級者にとって最も使いやすいパーツと言えるかもしれません。
リヤローラー取り付けでスペーサー不要の軽量化が可能
両ネジシャフトの最も一般的な使用方法は、リヤローラーの取り付けです。通常のビスと比較して以下のような利点があります。
✅ リヤローラー取り付けのメリット
- ✔ スペーサーなしでも十分な強度を確保
- ✔ パーツ点数の削減による軽量化
- ✔ 上下のローラーを高低差をつけて配置可能
- ✔ たからばこセッティングに適した配置が実現
📐 たからばこセッティングとの相性
| セッティング要素 | 両ネジシャフトの効果 |
|---|---|
| フロント2個 | 通常ビスで対応 |
| リヤ上段 | 両ネジシャフトで高い位置に配置 |
| リヤ下段 | 両ネジシャフトで低い位置に配置 |
| 全体バランス | 二等辺三角形の理想形に近づく |
一般的には、マシンを横から見た時に二等辺三角形になるようなローラー配置が「たからばこセッティング」と呼ばれ、安定性の高い走行を実現すると言われています。
両ネジシャフトの長さは30mmあり、これはミニ四駆のビスの中でも長い部類に入ります。この長さを活かして、リヤの上下ローラーを効果的に配置できるのが大きな魅力でしょう。
ミニ四駆の両ネジシャフトを活用した実践的改造テクニック
- 提灯やATバンパーの可動軸として摩耗を防ぐ応用法
- マスダンパー取り付け軸として加工すればガタつき解消
- 電工ペンチを使った長さ調整と切断面の仕上げ方法
- まとめ:ミニ四駆における両ネジシャフトの真価
提灯やATバンパーの可動軸として摩耗を防ぐ応用法
両ネジシャフトの中央部のネジ切りされていない平滑な部分を活用することで、可動部の軸として優れた性能を発揮します。
🔧 可動部への応用パターン
| 用途 | 従来の問題点 | 両ネジシャフトでの解決 |
|---|---|---|
| ATバンパー稼働軸 | 皿ビスによるFRP摩耗 | 平滑部が摩耗を防止 |
| 提灯の軸 | ビスのネジ山で穴が広がる | 平滑部で穴の拡張を抑制 |
| その他可動ギミック | ガタつきの発生 | 安定した動作を実現 |
通常、ATバンパーなどの稼働部分には皿ビスを通したり、穴を拡張して真鍮パイプや2段アルミ用パイプを取り付けることが一般的です。しかし、両ネジシャフトを使用すればビスによる摩耗を防ぎ、穴の拡張加工も不要になります。
risumemoでは、提灯のマスダンパー軸についてこう語られています:
提灯のマスダンパーの軸で悩んだことないですか?ビスがすぐ曲がるとか,マスダンがガバ穴になるとか.
まさにこのような悩みを、両ネジシャフトは解決してくれる可能性があります。
⚠️ 注意点
- マシンに合わせた長さ調整が必要になるケースが多い
- ロックナットでの固定が必須(ダブルナット推奨)
- シリンダーやボウルの座繰り穴にナットがはまらないよう注意
マスダンパー取り付け軸として加工すればガタつき解消
両ネジシャフトはマスダンパーの取り付け軸としても非常に優秀な性能を発揮します。通常のビスと比較して以下のような違いがあるでしょう。
📊 マスダンパー軸としての各パーツ比較
| パーツ | 強度 | 摩耗 | コスト | 加工難度 | 総合評価 |
|---|---|---|---|---|---|
| 皿ビス | ⭐⭐ | 穴が広がりやすい | ⭐⭐⭐⭐⭐ | 易 | ⭐⭐ |
| 中空シャフト | ⭐⭐⭐ | 少ない | ⭐⭐⭐ | 難(フレア加工必要) | ⭐⭐⭐ |
| キャップスクリュー | ⭐⭐⭐⭐⭐ | 非常に少ない | ⭐⭐ | 易 | ⭐⭐⭐⭐ |
| 両ネジシャフト | ⭐⭐⭐⭐ | 少ない | ⭐⭐⭐⭐ | 中(切断加工必要) | ⭐⭐⭐⭐⭐ |
両ネジシャフトをマスダンパー軸として使用する最大のメリットは、中央部の平滑な部分がマスダンパーの穴を削らないことです。これにより長期間使用してもガタつきが出にくくなります。
💡 マスダンパー軸としての活用ポイント
- ✔ ネジ切りされていない部分がマスダンパーと接触
- ✔ ビスのようにマスダンパーの穴を広げない
- ✔ ロックナットで確実に固定可能
- ✔ キャップスクリューの廉価版として機能
一般的には、マスダンパーの取り付け位置や高さに合わせて、両ネジシャフトの長さを調整する必要があるでしょう。そのため、次の項目で説明する切断・加工技術が重要になってきます。
電工ペンチを使った長さ調整と切断面の仕上げ方法
両ネジシャフトを様々な用途に活用するためには、適切な長さに切断する技術が必要不可欠です。
🛠️ 推奨される加工ツールと手順
| 工程 | 使用ツール | 目的 | ポイント |
|---|---|---|---|
| 1. 切断 | 電工ペンチ / ケーブルカッター | 必要な長さにカット | ダイソー製で十分 |
| 2. 粗仕上げ | 鉄工ヤスリ | 断面を平らに整える | バリを取る |
| 3. 中仕上げ | #400サンドペーパー | 表面を滑らかに | 均一に削る |
| 4. 仕上げ | #800サンドペーパー | 鏡面に近づける | より滑らかに |
| 5. ネジ切り(必要時) | M2ダイス + 切削油 | ネジ部を延長 | 机上で回転させる |
⚠️ 重要な注意事項
普段使っているニッパーで切断すると、刃こぼれや切れ味低下の原因になります。硬度の高い両ネジシャフトを切断する際は、専用のツールを使用することが推奨されます。
ミニ四駆改造ブログでは、以下のように語られています:
こんな加工してると高い刃物でもすぐにだめになるので,自分はダイソーのケーブルカッターを使ってます.最初からだめになったら捨てればいいと割り切れるのがいいです.
おそらく、消耗を前提とした安価なツールを使用するのが賢明な判断と言えるでしょう。
🔩 ネジ切り延長の具体的手順
- ダイスを机上に平置き
- 両ネジシャフトをダイスに垂直に差し込む
- ボックスレンチで締める要領で回転
- 切削油を塗布しながら作業
- 止まるところまで回して、少し戻す
- これを繰り返して徐々に延長
スペーサーを目標の長さまで取り付けておくと、長さの管理が容易になるでしょう。
まとめ:ミニ四駆における両ネジシャフトの真価
最後に記事のポイントをまとめます。
- 両ネジシャフトは中央部が平滑で両端にネジが切られた独特の構造を持つパーツである
- 通常のビスより約1.3倍の強度があり、キャップスクリューより安価でコスパに優れる
- リヤローラーの取り付けではスペーサー不要で軽量化とパーツ点数削減が可能
- たからばこセッティングに適した上下ローラーの配置が実現できる
- 中央部の平滑な部分を活かしてATバンパーや提灯の可動軸として摩耗を防止できる
- マスダンパーの取り付け軸として使用すれば穴の拡張を防ぎガタつきを抑制する
- 電工ペンチやケーブルカッターでの切断が推奨され、ニッパーは刃を痛める
- 切断面は鉄工ヤスリと#400→#800のペーパーで段階的に仕上げる
- ネジ部の延長にはM2ダイスと切削油を使用し、机上で回転させる方法が効果的
- 用途に応じた長さ調整と加工技術の習得が活用の鍵となる
記事作成にあたり参考にさせて頂いたサイト
- 【両ネジシャフトの使い方】余りがちなパーツを活用|ねじ切りされていない部分で摩耗を防ぐ
- 42 是清の真価 – ミニ四駆、もう一度始めてみたよ
- ミニ四駆 両ネジシャフトに乗り換えた!
- ヨドバシ.com – AO-1024 2×38ミリ 両ネジシャフト(4本)
- 【ミニ四駆】両ネジシャフトから作るマスダン軸【加工ネタ】
- AO-1024 2×38mm両ネジシャフト(4本) – タミヤ公式
- Amazon – 2×38mm両ネジシャフト(4本)
- ミニ四駆用AOパーツ – タミヤショップオンライン
- Amazon – TAMIYA 両ネジシャフト 3袋セット
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