ミニ四駆のポリカボディ塗装に挑戦したいけど、なんだか難しそうで躊躇している方も多いのではないでしょうか?実は適切な手順と道具さえ揃えれば、初心者でも驚くほど美しい仕上がりが実現できるんです。ポリカボディは軽量で丈夫な素材であり、多くのレーサーに愛用されています。
本記事では、ポリカボディの特性を理解することから始め、塗装に必要な道具の選び方、マスキングのコツ、塗料の正しい選択方法、そして裏打ち塗装やグラデーション塗装などの応用テクニックまで、ステップバイステップで解説します。これからポリカボディ塗装にチャレンジする方も、すでに経験があるけどもっと上達したい方も必見の内容となっています。
記事のポイント!
- ポリカボディ塗装には通常のプラスチック用とは異なる専用塗料が必要
- 裏側から塗装する独特の方法でプロ級の仕上がりを実現できる
- マスキングや裏打ち塗装などの基本テクニックで失敗を防げる
- グラデーションやメッキ風など応用テクニックでオリジナリティを出せる
ミニ四駆のポリカボディ塗装に必要な準備と基本知識
- ポリカボディ塗装には特殊な塗料が必須である
- 塗装前の下準備はボディ洗浄と丁寧なカットが重要
- マスキングテープの使い方でデザイン性が格段にアップする
- ポリカ専用塗料はPS印が目印で間違えると割れの原因になる
- 塗装環境は換気と湿度管理が成功の鍵となる
- 初心者が揃えるべき必須道具は5つあれば十分
ポリカボディ塗装には特殊な塗料が必須である
ミニ四駆のポリカボディ塗装で最も重要なポイントは、適切な塗料の選択です。通常のプラスチックボディと異なり、ポリカーボネート素材には専用の塗料を使用する必要があります。
ポリカ専用塗料は一般的に「PS」という印が付いており、これはポリカーボネート(Polycarbonate)用の塗料であることを示しています。独自調査の結果、この専用塗料を使わずに通常のプラスチック用塗料でポリカボディを塗装すると、クラッシュなどの衝撃でカンタンに塗膜が剥がれてしまうことがわかっています。
これはポリカーボネート素材が持つ柔軟性と関係しています。ポリカボディは衝撃に強く変形しても元に戻る特性がありますが、通常のプラスチック用塗料はこの柔軟性に対応できず、ボディが曲がったときに塗膜にクラックが入ってしまうのです。
タミヤをはじめとするメーカーからは、様々な色のポリカ専用塗料が販売されています。メタリックカラーやパール、クリアーカラーなど豊富なラインナップがあるので、自分の好みのカラーリングを実現することができます。
もし手持ちのポリカ専用塗料の色が限られている場合でも、後ほど説明する裏打ち塗装やグラデーション技法を使えば、より多彩な表現が可能になります。特殊な塗料選びはポリカボディ塗装の第一歩であり、成功への重要な鍵となるのです。
塗装前の下準備はボディ洗浄と丁寧なカットが重要
ポリカボディの塗装に取りかかる前に、適切な下準備を行うことでより美しい仕上がりが期待できます。まず最初に行うべきは、ボディの洗浄とカット作業です。
ポリカボディは購入時、余分な部分が付いたシート状になっています。まずはこの余分な部分を丁寧にカットする必要があります。カット作業には小型の曲線ハサミやデザインナイフが適しています。ポリカボディのサイズは小さいため、通常のハサミでは扱いづらいことがあります。眉毛用の小型ハサミなどが100円均一店で入手可能で、これを使うと細かな部分もきれいにカットできます。
カット作業を行う際は、組み立て説明書を参考にし、どの部分をカットするべきか事前に把握しておくことが重要です。大まかにザックリとカットした後、細部を丁寧に仕上げていく方法が効率的です。ただし、ボディをカットしすぎたり、指を切ったりしないよう十分注意しましょう。
カット作業の次は、ボディの洗浄です。ボディには成型時の油分が付着していることがあり、これを除去しないと塗料の密着が悪くなります。中性洗剤(キッチン用洗剤)を使って丁寧に洗いましょう。小さめのスポンジや柔らかい歯ブラシを使うと、入り組んだ部分もきれいに洗うことができます。ただし、傷付けないよう優しく洗うことがコツです。
十分に洗浄したら、水道水でよくすすぎ、完全に乾燥させてから次の塗装作業に移ります。この下準備をしっかり行うことで、塗装の密着性が向上し、美しい仕上がりにつながるのです。
マスキングテープの使い方でデザイン性が格段にアップする
ポリカボディ塗装の醍醐味のひとつが、マスキングによる色の塗り分けです。マスキングテープを上手に活用することで、ボディに個性を出し、デザイン性を格段にアップさせることができます。
マスキングとは、塗料を付けたくない部分を保護するテクニックです。ポリカボディでは主に窓部分や特定のパネルラインなどをマスキングして、透明部分や別の色との境界線を作ります。適切なマスキングは、プロ級の仕上がりに直結する重要な工程です。
マスキングに必要な道具としては、幅の異なるマスキングテープ、ピンセット、デザインナイフ、マスキングゾルなどがあります。特にカーブの多いミニ四駆のボディでは、細いマスキングテープを使うと細かい曲線も美しく表現できます。
マスキングのコツとして、付属のステッカーを型紙として利用する方法があります。ステッカーを透明なプラスチック板(ブリスターパックを切り出したものなど)に載せ、その上にマスキングテープを貼り、ステッカーの形に沿ってカットすれば、複雑な形状のマスキングも正確に行えます。
窓部分などの大きな面積は、シート状のマスキングテープやビニール袋を活用すると効率的です。また、マスキングテープでは難しい複雑な形状や、テープの継ぎ目部分には、マスキングゾル(液体マスキング剤)を使うと塗料の侵入を防ぐことができます。
マスキング作業は根気のいる作業ですが、丁寧に行うほど仕上がりの差が出ます。立体的な形状のポリカボディでは、マスキングテープがしっかりと密着しているか確認し、隙間から塗料が入り込まないようにすることが重要です。上手にマスキングを施すことで、市販キットの単調なデザインから一歩進んだ、オリジナリティあふれるボディを作り出すことができるのです。
ポリカ専用塗料はPS印が目印で間違えると割れの原因になる
ポリカボディを塗装する際に最も注意すべき点は、適切な塗料の選択です。ポリカーボネート専用の塗料は、缶のラベルに「PS」という印が目印となっています。この「PS」はPolystyrene(ポリスチレン)ではなく、Polycarbonate Spray(ポリカーボネートスプレー)の略です。
通常のプラスチック用塗料をポリカボディに使用すると、重大な問題が生じます。ポリカボディは柔軟性があり、レース中の衝撃で変形することがありますが、通常のプラスチック用塗料はこの変形に追従できず、ひび割れてしまいます。一方、PS印のポリカ専用塗料はボディの柔軟性に合わせて変形できるよう設計されています。
ポリカボディに使用できる塗料の一例として、タミヤのPS(ポリカーボネート用)塗料シリーズがあります。メタリックブルー(PS-16)やガンメタル(PS-23)などが人気色です。ただし、欲しい色が無い場合の対処法もあります。
例えば、通常のプラスチック用塗料(TS印など)をポリカボディに使用したい場合、以下のような方法があります:
- まずポリカ専用塗料のクリアー(PS-55など)を下地として塗装
- その上に通常の塗料を塗装
- 更にその上からポリカ専用塗料を重ねる
この「サンドイッチ」手法によって、通常の塗料でもある程度ポリカボディに使用することが可能になります。ただし、柔軟性の面で完全には改善されないため、強い衝撃や大きな変形があると細かいクラックが入る可能性はあります。
塗料を塗る際は、一度に厚塗りするのではなく、1〜3回に分けて薄く塗り重ねるのがコツです。1回目の塗装では「フワッと」塗料が乗るイメージで吹きつけ、十分な乾燥時間(1時間程度)を置いてから次の塗装を行います。このように段階的に塗装することで、ムラのない美しい仕上がりになります。
塗装環境は換気と湿度管理が成功の鍵となる
ポリカボディの塗装作業を成功させるためには、適切な作業環境の確保が非常に重要です。特に注意すべきは「換気」と「湿度管理」の2点です。
まず換気についてですが、塗装に使用するスプレー缶には揮発性の高い溶剤が含まれています。これらの成分は吸い込むと健康に悪影響を及ぼす可能性があるため、必ず十分な換気ができる環境で作業しましょう。室内で作業する場合は窓を開けたり換気扇を回したりして、常に新鮮な空気が入れ替わるようにすることが大切です。
また、スプレー塗料の多くは引火性が高いという特性を持っています。そのため、火気の近くでの作業は絶対に避けてください。タバコの火やストーブ、ガスコンロなど、あらゆる火気から離れた場所で塗装作業を行うようにしましょう。
次に重要なのが湿度管理です。塗装作業に最適な環境は、湿度の低い晴れた日です。湿度が高い雨の日などに塗装すると、塗装面が白くなる「カブリ」と呼ばれる現象が発生することがあります。特にトップコートのようなクリヤー塗装は湿度の影響を受けやすいため注意が必要です。
湿度以外にも、塗装時の温度も考慮すべき点です。寒すぎる環境ではスプレー缶の内圧が下がり、塗料が均一に噴出しにくくなります。冬場や寒い日に塗装する場合は、スプレー缶をぬるま湯で温めて内圧を上げてから使用するとよいでしょう。ただし、熱湯や直火で温めるのは非常に危険なので絶対に避けてください。
これらの環境管理を適切に行うことで、塗装の失敗を減らし、美しい仕上がりを実現できます。特に初心者の方は、これらの基本的な注意点を守ることで、プロ顔負けの塗装結果を得ることができるでしょう。
初心者が揃えるべき必須道具は5つあれば十分
ポリカボディの塗装に挑戦する初心者の方にとって、必要な道具を揃えることは最初の関門です。しかし、あれもこれもと道具を揃えすぎると費用がかさみます。実は、基本的な塗装なら5つの必須アイテムだけで十分に始められます。
【ポリカボディ塗装に必要な5つの必須道具】
- ポリカ専用の塗料(PS印のスプレー)
- 小型の曲線ハサミ(細かい部分のカット用)
- デザインナイフ(精密なカットや細部の調整用)
- ボディを洗浄するスポンジと中性洗剤
- マスキングテープ(様々な幅のものがあると便利)
ポリカ専用塗料は必須アイテムの筆頭です。前述の通り「PS」印がついたものを選びましょう。初めは基本色であるブラックやホワイト、そして自分の好きな1色を揃えるのがおすすめです。特にメタリックカラーは光の当たり方で表情が変わり、初心者でも見栄えのする仕上がりになりやすいです。
小型の曲線ハサミは、ポリカボディのカット作業に欠かせません。通常のハサミより小型で先端が曲がっているものが使いやすく、眉毛用のハサミが100円ショップで手に入ります。デザインナイフは、ハサミでは切りづらい細かい部分や直線のカットに使用します。
ボディの洗浄用に、柔らかいスポンジと中性洗剤を用意しましょう。洗浄はポリカボディへの塗料の密着性を高める重要な工程です。ボディを傷つけないよう、柔らかいスポンジか古い歯ブラシを使うのがおすすめです。
マスキングテープは塗り分けや窓部分の保護に使います。幅の異なるものを何種類か揃えておくと、様々なデザインに対応できます。100円ショップでも購入可能なので、初心者でも手軽に始められます。
余裕があれば、ピンセット(細かいマスキングの貼り付け用)、マスキングゾル(テープでは難しい形状のマスキング用)、透明な定規(マスキングの位置決め用)なども役立ちます。しかし、まずは上記5つの必須アイテムを揃えて、基本的な塗装テクニックをマスターしてから徐々に道具を増やしていくのが良いでしょう。
ミニ四駆のポリカボディ塗装のステップバイステップ手順と応用テクニック
- 裏から塗装するテクニックがポリカボディの特徴である
- 裏打ち塗装で色の透けを防ぎメタリック感を出せる
- グラデーション塗装は空きティッシュ箱を使うと簡単にできる
- プラパーツとポリカボディの塗り分けは塗料選びが重要である
- ステッカー貼りのコツは裏台紙を2/3ほど残して貼ることである
- ドレスアップテクニックはメッキテープで高級感を演出できる
- まとめ:ミニ四駆のポリカボディ塗装は正しい手順と専用塗料で成功する
裏から塗装するテクニックがポリカボディの特徴である
ポリカボディ塗装の最大の特徴は、通常のプラスチックボディとは異なり「裏側から塗装する」という点です。この裏側からの塗装手法がポリカボディならではのテクニックであり、美しい光沢と深みのある仕上がりを実現する秘訣となっています。
なぜ裏から塗装するのかというと、ポリカボディは表面に保護フィルムが貼られていることが多く、この表面が外側になる仕組みだからです。裏側から塗装することで、外側から見たときに塗膜が保護され、クラッシュなどの衝撃にも強くなります。また、表面の光沢がそのまま活かされるため、特にメタリックカラーなどは格段に美しく仕上がります。
裏側からの塗装は、次のような手順で行います。まず、ボディの表面を保護しているフィルムはそのままにしておき、裏側のマスキング作業を行います。窓部分や透明にしたい部分をマスキングテープで覆います。最近のポリカボディには保護フィルムが付いているものが多いですが、古いタイプのボディで保護フィルムがない場合は、表面全体をマスキングして保護する必要があります。
マスキングが完了したら、ポリカ専用塗料(PS印)を裏側から吹き付けます。一度に塗りすぎず、薄く何度か重ねていくのがコツです。表面から見たときに均一な色になるよう、ムラなく塗装していきます。
塗装が乾いてからマスキングを剥がすと、マスキングしていた部分は透明なまま、塗装した部分は色がついた状態になります。この透明部分と塗装部分のコントラストが、ポリカボディ特有の美しさを生み出します。
裏側から塗装することのもう一つのメリットは、塗装面が内側になるため擦れにくく、長期間色あせしにくいという点です。レースで使用する場合も、ボディが他のマシンと接触しても塗装面が直接擦れることが少ないため、見た目を長く保つことができます。
この裏側からの塗装テクニックは、一見難しそうに思えるかもしれませんが、慣れれば通常のプラスチックボディよりも美しい仕上がりを簡単に実現できる方法なのです。
裏打ち塗装で色の透けを防ぎメタリック感を出せる
ポリカボディの塗装において、裏打ち塗装は非常に重要なテクニックです。裏打ち塗装とは、ベースとなる色を塗った後に、その上から別の色(多くの場合は白や黒、シルバーなど)を重ねて塗ることで、色の透けを防いだり、特殊な効果を出したりする方法です。
特にメタリックカラーやパールカラーなどの半透明の塗料を使う場合、裏打ち塗装をしないと色が薄く見えたり、ボディの内部構造が透けて見えたりすることがあります。裏打ち塗装を施すことで、色の深みや濃さを増し、プロのような仕上がりを実現できます。
裏打ち塗装の基本的な手順は以下の通りです:
- まずベースとなる色(例:メタリックブルー)をポリカボディの裏側から塗装する
- 塗料が完全に乾くまで待つ(最低1時間、できれば半日程度)
- 乾燥後、ベースカラーの上から裏打ち用の色を塗装する
裏打ちに使う色は、ベースカラーによって選び方が変わります。一般的には以下のような組み合わせがおすすめです:
- メタリックカラー(シルバー、ゴールドなど)→ブラックで裏打ち
- 明るい色(イエロー、ライトブルーなど)→ホワイトで裏打ち
- 暗い色(ダークブルー、パープルなど)→シルバーや白で裏打ち
例えば、シルバーやガンメタなどのメタリックカラーにブラックを裏打ちすると、金属感が強調され、重厚感のある仕上がりになります。一方、明るい色にホワイトを裏打ちすると、色の鮮やかさが増します。
裏打ち塗装の際は、ベースカラーが完全に乾いていることを確認してから行いましょう。乾燥が不十分だと、色が混ざってしまうことがあります。また、裏打ち塗装もベースカラー同様、一度に厚塗りせず、薄く2〜3回に分けて塗るのがコツです。
最後に、裏打ち塗装が完了したら、十分な乾燥時間(できれば1日以上)を取ってからボディの保護フィルムを剥がしましょう。焦って早く剥がすと、塗装面を傷つける原因になります。
裏打ち塗装は少し手間がかかりますが、その分だけ仕上がりの質が格段に向上します。初心者の方も是非挑戦してみてください。
グラデーション塗装は空きティッシュ箱を使うと簡単にできる
グラデーション塗装は、ポリカボディに奥行きや躍動感を与える高度なテクニックに思えるかもしれませんが、実は身近な道具を使って簡単に実現できます。その秘密の道具が「空きティッシュ箱」なのです。
グラデーション塗装とは、一つの色から別の色へ、または同じ色の濃淡をなだらかに変化させる塗装技法です。例えば、ボディのフロント部分を濃い青にし、リア部分へいくほど徐々に薄い青や水色へと変化させるような表現が可能になります。
空きティッシュ箱を使ったグラデーション塗装の手順は以下の通りです:
- 空きティッシュ箱を用意し、底の部分を切り取って筒状にする
- ポリカボディをその筒の中に入れるか、近づけて固定する
- スプレーを筒の片側から吹きかける
- ボディと筒の位置関係を少しずつ変えながら塗装する
この方法のポイントは、スプレーの噴射口と筒の距離です。筒を通すことで、スプレーの霧が拡散し、ボディに当たる塗料の量がグラデーション状に変化します。筒の中でボディの位置を調整することで、濃淡の変化をコントロールできるのです。
実際の事例として、あるミニ四駆愛好家は、ハリケーンソニックというボディに対してこの手法を試みました。まず比較的温かい日にスプレー缶を温めて内圧を上げ、空きティッシュ箱を使ってフロントからリアへと濃淡のグラデーションを付けようと試みました。しかし、結果として単色に見えてしまったという失敗例も報告されています。
このような失敗を避けるためのコツとしては:
- スプレーの吹き付け角度を一定に保つ
- ボディを少しずつ動かしながら塗装する
- 塗料が乾く前に次の色を重ねて境目をぼかす
- 最初は控えめな色の差から始め、徐々に強調していく
また、グラデーション塗装に挑戦する場合は、マスキングも重要です。グラデーションにしたい部分以外をしっかりとマスキングし、意図しない部分に塗料が付かないようにしましょう。
この空きティッシュ箱を使ったグラデーション塗装は、特別な道具を必要とせず、初心者でも気軽に試せるテクニックです。失敗しても何度でもチャレンジできるので、ぜひ自分だけのオリジナルグラデーションボディを作ってみてください。
プラパーツとポリカボディの塗り分けは塗料選びが重要である
ミニ四駆のマシンをより魅力的に仕上げるためには、ポリカボディだけでなく、フロントカウルやリアウイングなどのプラスチックパーツも一緒に塗装することが多いです。しかし、素材の異なるパーツには適切な塗料を使い分ける必要があります。
プラスチックパーツとポリカボディの塗り分けにおいて最も重要なポイントは、それぞれに適した塗料を使用することです。間違えると塗膜の割れや密着不良など、様々な問題が発生します。
【使い分けのルール】
- ポリカボディには→ポリカ専用塗料(PS印)を使用
- プラスチックパーツには→プラスチック用塗料(TS印)を使用
特に注意すべきなのは、プラスチック用スプレーをポリカボディに使用すると「パキパキに割れる」という現象が起こることです。これは、プラスチック用塗料がポリカーボネートの柔軟性に対応できず、ボディが変形したときに塗膜が割れるためです。
一方で、ポリカ用スプレーをプラスチックパーツに使用する場合は、完全にNGというわけではありません。ただし、艶消しになるという特性があります。これを活かして、あえて部分的にマット仕上げにするというテクニックも可能です。
具体的な塗り分け作業の流れとしては:
- ポリカボディとプラスチックパーツを分けて洗浄する
- それぞれ適切なマスキングを施す
- ポリカボディにはPS印の塗料を裏側から塗装
- プラスチックパーツにはTS印の塗料を表側から塗装
- 両方が乾燥したら組み合わせる
塗料の色を統一したい場合、例えばメタリックブルーでカラーリングしたい場合は、ポリカ用のPS-16とプラスチック用のTS-19など、同系色を選ぶと違和感なく仕上がります。ただし、メーカーや製品によって同じ色名でも微妙に色味が異なることがあるので、事前に確認することをおすすめします。
また、複雑なカラーリングを施す場合は、全体の作業手順をしっかりと計画しておくことが大切です。先に塗装すべき部分、後で塗装すべき部分を明確にし、乾燥時間も考慮して効率的に作業を進めましょう。
異なる素材に適した塗料を使い分けることで、ポリカボディとプラパーツが調和した美しいマシンに仕上げることができます。
ステッカー貼りのコツは裏台紙を2/3ほど残して貼ることである
ポリカボディの塗装が完了したら、次は仕上げとなるステッカー貼りです。ここでの失敗が全体の印象を大きく左右するため、慎重に作業する必要があります。特にポリカボディに付属するステッカーは粘着力が強く、一度貼ると剥がしにくいため、最初から正確に貼ることが重要です。
ステッカー貼りの最大のコツは、裏台紙を完全に剥がさず、2/3ほど残した状態で貼り始めることです。これにより、位置決めがしやすくなり、シワや気泡の発生を防ぐことができます。
具体的な手順は以下の通りです:
- ステッカーをロゴより一回り大きめに裏台紙ごと切り取る
- 裏台紙の1/3ほどをめくる(裏台紙が2/3残った状態)
- 位置を確認しながら軽く貼り付ける
- 気泡が入らないよう中央から外側に向かって少しずつ押さえながら貼っていく
- 残りの裏台紙も少しずつめくりながら同様に貼っていく
この方法の利点は、裏台紙が残っている状態では粘着面に触れてしまうミスを防げることと、位置がずれた場合に調整が効くことです。全ての裏台紙を一度に剥がしてしまうと、粘着面同士がくっついたり、意図しない場所に貼り付いてしまったりするリスクが高まります。
小さめのステッカーを貼る場合は、ピンセットを使用するのもおすすめです。指で持つよりも精密に位置決めができます。ただし、ステッカー表面を傷つけないよう、先端の尖ったピンセットは避け、先端が平らなタイプを使用するとよいでしょう。
また、ステッカーを貼る際に便利なのが綿棒です。ステッカー表面を直接指で押さえると指紋が付いたり傷がついたりする恐れがありますが、綿棒なら優しく押さえながら気泡を外に押し出すことができます。
ポリカボディの場合、塗装前にボディの裏からデカールのりを使ってデカールを貼り、その後塗装するという方法もあります。これにより、デカールが剥がれにくくなり、より一体感のある仕上がりになるというメリットがあります。ただし、この方法は経験が必要なので、まずは通常の方法でマスターしてから挑戦するとよいでしょう。
ステッカー貼りは地道な作業ですが、丁寧に行うことで市販キットとは一線を画す、プロ級の仕上がりを実現できます。
ドレスアップテクニックはメッキテープで高級感を演出できる
ポリカボディの魅力をさらに引き出すための応用テクニックとして、メッキテープを使ったドレスアップ方法があります。この手法は、特に透明部分を活かした一風変わった装飾効果を生み出すことができ、市販キットにはない独自性を演出できます。
メッキテープを使ったドレスアップの基本的な手順は以下の通りです:
- 金色や銀色などのメッキテープを用意する
- ボディに貼りたいステッカー(例:窓用ステッカーなど)をメッキテープの上に貼る
- ステッカーの形に合わせてメッキテープを切り出す
- 切り出したメッキテープをマスキングテープの粘着面に貼る
- マスキングテープを一回り大きく切り出す
- これをボディの裏側から貼り付ける
この方法の大きな特徴は、ボディの裏側から装飾を施すため、表面が平滑で美しく仕上がることです。また、ボディの付け外し時やクラッシュ時の摩擦でステッカーが傷むこともありません。マスキングテープを使っているので、気分によって色を変えるなど貼り替えも容易です。
具体的な応用例としては:
- ヘッドライト部分に金色のメッキテープを使用し、リアルな輝きを表現
- キャノピー(コックピット部分)に赤色のメッキテープやホイル折り紙を使い、アニメ風の演出
- サイドウインドウに青色のメッキ素材を貼り、ガラスの質感を表現
- サイドのラインやエンブレム部分に各種カラーのメッキテープを使ってアクセントを付ける
特に飛行機のコックピットの計器盤によく使われる手法に近いこの方法は、表側からステッカーを貼るのとは一味違った高級感のある仕上がりになります。ボディが透明であることを活かした、ポリカボディならではの装飾テクニックと言えるでしょう。
また、メッキテープ以外にも、ホログラムシートやカラーフィルムなど様々な素材を試してみることで、独自のドレスアップスタイルを生み出すことができます。これらの素材は100円ショップやクラフト店で入手可能なものも多く、コストをかけずに高級感のある仕上がりを実現できるのが魅力です。
このドレスアップテクニックは、レース用というよりはディスプレイ用やコレクション用のマシンを作る際に特に効果的です。自分だけのオリジナリティあふれるミニ四駆を作りたい方は、ぜひ挑戦してみてください。
まとめ:ミニ四駆のポリカボディ塗装は正しい手順と専用塗料で成功する
最後に記事のポイントをまとめます。
- ポリカボディ塗装には必ずPS印のポリカーボネート専用塗料を使用する
- 塗装前の下準備として丁寧なカットと洗浄が仕上がりの質を左右する
- マスキングは窓部分や塗り分けたい箇所を保護し、デザイン性を高める重要な工程
- 通常のプラスチック用塗料をポリカボディに使用するとひび割れの原因になる
- 塗装作業は換気の良い環境で行い、湿度が高い日は避けるべき
- 小型の曲線ハサミやデザインナイフなど、初心者でも5つの基本道具で十分に塗装可能
- ポリカボディは裏側から塗装するのが基本で、これにより光沢のある美しい仕上がりになる
- 裏打ち塗装はベースカラーの上に白や黒などを重ね、色の深みやメタリック感を増す技法
- グラデーション塗装は空きティッシュ箱を使って簡単に実現できる応用テクニック
- ポリカボディとプラパーツは適切な塗料を使い分けることで調和のとれたマシンになる
- ステッカー貼りは裏台紙を2/3残した状態で行うと位置決めが容易で失敗が少ない
- メッキテープを使ったドレスアップはボディの裏から施すことで高級感のある仕上がりを実現できる
- 塗装作業は一度に厚塗りせず、薄く何度か重ねることでムラのない美しい仕上がりになる
- 十分な乾燥時間を取ることが塗装の成功に不可欠