ミニ四駆のパフォーマンスを極限まで高めたいなら、ウルトラダッシュモーターを検討してみる価値があります。この高性能モーターは、その名の通り「ウルトラ」級の加速力と最高速度を実現し、ミニ四駆の走行性能を劇的に向上させるグレードアップパーツです。
しかし、その高すぎる性能ゆえに公式大会では使用禁止となっており、正しい知識と適切なセッティングがなければ本来の性能を発揮できません。この記事では、ウルトラダッシュモーターの基本スペックから使いこなすコツ、他モーターとの比較まで徹底解説します。
記事のポイント!
- ウルトラダッシュモーターの基本性能と特徴について
- 公式大会で使用禁止となっている理由と代替となるモーター
- ウルトラダッシュモーターを最大限に活かすためのセッティング方法
- 他の高性能モーターとの比較とそれぞれの特徴
ミニ四駆のウルトラダッシュモーターとは
- ウルトラダッシュモーターの基本スペックは高回転・高トルクが特徴
- ウルトラダッシュモーターが公式大会で使用禁止な理由は性能が高すぎるから
- ウルトラダッシュモーターの価格と入手方法は通販が便利
- ウルトラダッシュモーターの見分け方はエンドベルの色と刻印がポイント
- ウルトラダッシュモーターとジェットダッシュモーターの違いは回転数とトルクのバランス
- ウルトラダッシュモーターの適切な慣らし方はコツコツと電流を流すこと
ウルトラダッシュモーターの基本スペックは高回転・高トルクが特徴
ウルトラダッシュモーターは、タミヤから発売されているミニ四駆グレードアップパーツシリーズ No.307(ITEM.15307)です。外観の特徴としては黒色のエンドベル(モーターの端にある部品)と、メッキ仕様の本体カップを持っています。
性能面での最大の特徴は、その圧倒的な高回転・高トルク性能です。具体的なスペックとしては、消費電流が4.0~5.0A、回転数が推奨負荷時で24,000~27,500rpm、推奨負荷トルクが1.4~1.9mN・mとなっています。適正電圧は2.4~3.0Vで、重量は約17.5gです。
このモーターの優れた点として、カーボンブラシを採用していることが挙げられます。カーボンブラシの採用により、耐久性が向上し、ロットによる個体差も少なくなっています。また、抜群のトップスピードの伸びに加えて、連続するコーナーや急な登り坂でも鋭いダッシュ力を発揮できる点も魅力です。
ノーマルモーターと比較すると、その差は歴然です。ノーマルモーターの回転数はおよそ8,580rpm程度なのに対し、ウルトラダッシュモーターは約3倍の回転数を誇ります。この圧倒的な性能差が、ミニ四駆のスピードと加速力を大幅に向上させる理由です。
ただし、高性能であるがゆえの注意点もあります。消費電流が大きいため電池の消耗が早く、アルカリ電池では本来の性能を発揮できない場合があります。また、発熱も大きくなりやすいため、モーターケースなどの冷却対策も検討すると良いでしょう。
ウルトラダッシュモーターが公式大会で使用禁止な理由は性能が高すぎるから
ウルトラダッシュモーターが公式大会で使用禁止とされている最大の理由は、その性能が他のモーターと比較して著しく高いためです。タミヤが主催する公式大会では、参加者間の公平性を保つために使用できるモーターに制限が設けられています。
タミヤ公認のレース大会では、基本的に「公認モーター」のみが使用可能です。現在公認されているモーターには、FA-130タイプノーマルモーター、パワーダッシュモーター、スプリントダッシュモーター、ライトダッシュモーター、ハイパーダッシュ3モーター、トルクチューン2モーター、レブチューン2モーター、アトミックチューン2モーターなどがあります。
これに対してウルトラダッシュモーターは、回転数が公認モーターの中で最高クラスのスプリントダッシュモーター(20,700~27,200rpm)と同等以上であり、さらにトルクも高いという特徴があります。このアンバランスに高すぎる性能が、公平なレース環境を損なう可能性があるため使用が禁止されているのです。
ただし、すべてのレースで禁止されているわけではありません。タミヤの公認レース以外の「街角レース」など、レギュレーションが緩いレースでは使用可能な場合もあります。レースに参加する際は、事前にそのレースのレギュレーションを確認することが重要です。
なお、ウルトラダッシュモーターと同様に高性能なプラズマダッシュモーターやジェットダッシュモーターなども公認レースでは使用禁止となっています。ただし、プラズマダッシュモーターは現在絶版となり、ウルトラダッシュモーターが公式禁止スペックのGUP(グレードアップパーツ)として唯一残っている状況です。
ウルトラダッシュモーターの価格と入手方法は通販が便利
ウルトラダッシュモーターの定価は、メーカー希望小売価格で748円(税込)となっています。しかし、実際の販売価格は店舗やオンラインショップによって異なり、530円前後で購入できる場合が多いようです。これは定価から約30%の値引きに相当します。
入手方法としては、主に以下の方法があります:
- タミヤの直営店舗(タミヤプラモデルファクトリーなど)
- 模型店やホビーショップの実店舗
- Amazonや楽天市場などのオンラインショップ
- タミヤの公式オンラインストア(TAMIYA SHOP ONLINE)
特に通販は品揃えが豊富で価格比較もしやすいため、便利な入手方法と言えます。Amazonや楽天市場では定価よりも安く購入できることが多く、送料無料サービスを利用すればさらにお得に入手できる場合もあります。
タミヤの公式オンラインストア(TAMIYA SHOP ONLINE)でも購入可能で、こちらでは確実に正規品を入手できるというメリットがあります。価格は748円(税込)となっており、ポイントが37ポイント獲得できます。
なお、一部のオンラインショップでは在庫切れになっている場合もあるため、複数のショップを確認してみると良いでしょう。また、実店舗での購入を検討する場合は、事前に電話などで在庫状況を確認しておくことをお勧めします。
ウルトラダッシュモーターの見分け方はエンドベルの色と刻印がポイント
ウルトラダッシュモーターを他のモーターと見分けるには、いくつかの特徴的なポイントがあります。まず最も分かりやすい特徴は、エンドベル(モーターの端にある部品)の色が黒であることです。
しかし、黒いエンドベルを持つモーターは他にもあります。特に紛らわしいのがジェットダッシュモーターで、これもエンドベルが黒く、本体カップもウルトラダッシュと同じくメッキ仕様です。両者を見分けるには以下のポイントが役立ちます:
- エンドベルの刻印:ウルトラダッシュモーターには「MABUCHI MOTOR」の刻印があります
- 製造メーカー:ウルトラダッシュはマブチ製、ジェットダッシュはJOHNSON製
- エンドベル側の軸受け:JOHNSON製のジェットダッシュはエンドベル側のメタル軸受けが丸見えになっています
また、同じく黒いエンドベルを持つモーターとしてアトミックチューン2モーターがありますが、こちらは本体カップがメッキではなく、通常の銀色(メッキなし)であることで区別できます。
さらに、ラベルも重要な識別ポイントです。ウルトラダッシュモーターのラベルには「ULTRA DASH MOTER」と記載されています。ただし、ラベルが剥がれている場合もあるため、上記の物理的特徴で確認することも大切です。
なお、中古品を購入する際には、これらの特徴をしっかりと確認し、偽物や異なるモーターが混入していないかを注意深くチェックすることをお勧めします。
ウルトラダッシュモーターとジェットダッシュモーターの違いは回転数とトルクのバランス
ウルトラダッシュモーターとジェットダッシュモーターは、どちらもタミヤ発のFA-130型モーターの中で最高スペックを持つ「3大モーター」(ウルトラダッシュ、ジェットダッシュ、プラズマダッシュ)に数えられます。両者の主な違いは、回転数とトルクのバランスにあります。
ウルトラダッシュモーターは回転数重視の高回転モーターで、推奨負荷時の回転数が24,000~27,500rpmです。一方、ジェットダッシュモーターはトルク重視の高トルクモーターで、回転数は23,000rpm(推奨負荷時)ながら、最大トルクが22g-cmと非常に高いのが特徴です。
両モーターの違いを表にまとめると以下のようになります:
特性 | ウルトラダッシュモーター | ジェットダッシュモーター |
---|---|---|
回転数(推奨負荷時) | 24,000~27,500rpm | 23,000rpm |
最大トルク | 1.4~1.9mN・m(約14~19g-cm) | 22g-cm |
消費電流 | 4.0~5.0A | 4.0A |
製造メーカー | マブチ | JOHNSON |
現在の状況 | 販売中 | 絶版(ただし、電動ハンディドリル等に同等品あり) |
一般的に、直線の多いコースではウルトラダッシュモーターの高回転が有利に働き、アップダウンや急カーブの多いテクニカルなコースではジェットダッシュモーターの高トルクが効果を発揮します。
また、どちらもカーボンブラシを採用していますが、製造メーカーが異なるため、モーターの内部構造や耐久性にも微妙な違いがあります。ジェットダッシュモーターは現在絶版となっていますが、タミヤの電動ハンディドリルや電動ハンディリューターに同等品が付属しているため、そこから流用することも理論上は可能です。
どちらを選ぶかは、コースレイアウトやマシンのセッティング、さらには個人の好みによって異なりますが、バランスの取れた高性能さを求めるならウルトラダッシュ、絶対的なトルクを重視するならジェットダッシュが適しているでしょう。
ウルトラダッシュモーターの適切な慣らし方はコツコツと電流を流すこと
ウルトラダッシュモーターを最大限に活用するためには、適切な「慣らし」が重要です。慣らしとは、新品のモーターをすぐに最大負荷で使用するのではなく、徐々に性能を引き出していくプロセスを指します。
ウルトラダッシュモーターはカーボンブラシを採用しています。カーボンブラシは金属ブラシに比べて耐久性が高いのが特徴ですが、その分「慣らし」の方法が異なります。金属ブラシのモーターでは「高電圧ブレークイン」という方法が有効ですが、カーボンブラシのウルトラダッシュモーターでは逆効果になる可能性があります。
カーボンブラシモーターの適切な慣らし方は、「コツコツと電流を流す」ことです。具体的には以下のステップが推奨されます:
- まずは短時間(数分程度)の軽負荷での運転を行う
- 徐々に運転時間を延ばしていく(10分→15分→20分)
- 少しずつ負荷を上げていく(タイヤの径を大きくするなど)
- この過程を数日かけて繰り返す
高電圧ブレークイン(通常より高い電圧をかけて一気に慣らす方法)をカーボンブラシに施すと、ブラシが削れないまま高熱で磁石が弱まり、かえって性能が落ちてしまう恐れがあります。これはいわゆる「温度減磁」と呼ばれる現象で、磁石の性能が高温によって弱まってしまうものです。
また、慣らし中はモーターの温度に注意し、熱くなりすぎたら冷ましてから再開することも重要です。適切に慣らしを行うことで、モーターの寿命が延び、最終的には最大のパフォーマンスを引き出すことができます。
慣らしには時間と手間がかかりますが、この過程を省略すると本来の性能を発揮できない可能性が高くなるため、根気よく取り組むことをお勧めします。
ミニ四駆ウルトラダッシュモーターの活用法と比較
- ミニ四駆のモーター速い順ランキングではウルトラダッシュはトップクラス
- ウルトラダッシュモーターに最適なギア比は軽量ボディと組み合わせて
- ウルトラダッシュモーターに合う電池はニカド電池がベスト
- ウルトラダッシュモーターが遅いと感じる原因は電池切れかセッティングミス
- プラズマダッシュモーターとの比較では構造の違いが大きい
- まとめ:ミニ四駆ウルトラダッシュモーターは禁断の高性能モーターながら使いこなせれば無双
ミニ四駆のモーター速い順ランキングではウルトラダッシュはトップクラス
ミニ四駆用モーターを速さ(回転数)で比較すると、ウルトラダッシュモーターは非常に高い位置に位置づけられます。現在入手可能なタミヤ製モーターの中では、絶版となったプラズマダッシュモーターに次ぐ高回転を誇っています。
以下に、主要なミニ四駆用モーターを回転数(推奨負荷時)の順にランキングしてみました:
- プラズマダッシュモーター:25,000~28,000rpm(絶版)
- ウルトラダッシュモーター:24,000~27,500rpm
- ジェットダッシュモーター:23,000rpm(絶版)
- スプリントダッシュモーター:20,700~27,200rpm
- マッハダッシュモーター:20,800rpm(絶版)
- パワーダッシュモーター:19,900~23,600rpm
- ハイパーダッシュ3モーター:17,200~21,200rpm
- レブチューン2モーター:13,400~15,200rpm
- アトミックチューン2モーター:12,700~14,900rpm
- トルクチューン2モーター:12,300~14,700rpm
- ノーマルモーター:9,900~13,800rpm
このランキングからも分かるように、ウルトラダッシュモーターは現行モーターの中では最高クラスの回転数を持っています。特に注目すべきは、公式レースで使用可能なスプリントダッシュモーターと比較しても、安定して高回転を維持できる点です。
ただし、速さは回転数だけで決まるわけではなく、トルク(回転力)も重要な要素です。ウルトラダッシュモーターは回転数だけでなくトルクも高いため、総合的な「速さ」という点では非常に優れていると言えます。
また、モーターの性能は電池の状態や、シャーシの軽さ、ギア比、タイヤの径など様々な要因によって左右されるため、単純なスペック比較だけでは実際の走行性能を完全に予測することはできません。最適なセッティングを見つけることが、モーターの性能を最大限に引き出すためには欠かせません。
ウルトラダッシュモーターに最適なギア比は軽量ボディと組み合わせて
ウルトラダッシュモーターの高い回転数を効果的に活用するためには、適切なギア比の選択が重要です。ギア比とは、モーターの回転をタイヤに伝えるときの変速比を指し、この数値によって最高速度と加速性能のバランスが決まります。
一般的に、高回転型モーターであるウルトラダッシュモーターには、やや高めのギア比(数値としては小さい値)が適しています。具体的には3.5:1から4.2:1程度のギア比が、ウルトラダッシュモーターの性能を引き出すのに効果的と言われています。
ただし、最適なギア比は以下の要素によって変わってきます:
- マシンの総重量:軽量マシンほど低いギア比(数値が大きい)でも加速できる
- コースレイアウト:直線の多いコースではより高いギア比が有利
- タイヤの直径:大径タイヤでは相対的にギア比が下がるため調整が必要
- バッテリーの状態:新品や充電状態の良いバッテリーほど高いギア比に対応できる
特に重要なのは、ウルトラダッシュモーターの高回転・高トルク性能を活かすために、マシン全体を軽量化することです。軽量なボディと組み合わせることで、加速性能を損なうことなく高いトップスピードを実現できます。
また、ウルトラダッシュモーターの公式情報によると、「パワーを確実に伝えるために、真ちゅうピニオンをお使い下さい」と推奨されています。これは高性能モーターのパワーをロスなく伝えるためであり、プラスチック製のピニオンギアだと割れてしまう可能性もあるためです。
最終的には、マシンのセッティング全体のバランスを考えながら、テスト走行を繰り返して自分のマシンに最適なギア比を見つけることが重要です。ただし、あまりにも高すぎるギア比を設定すると、電池の消耗が早くなったり、モーターに過度の負担がかかったりする点に注意が必要です。
ウルトラダッシュモーターに合う電池はニカド電池がベスト
ウルトラダッシュモーターのような高性能モーターは、電池の選択も非常に重要です。公式情報によると「ニカド電池を使うと、より良く性能を引き出せます」と明記されています。
ニカド(ニッケルカドミウム)電池は、一般的なアルカリ電池に比べて放電特性に優れており、大きな電流を安定して供給できるという特徴があります。ウルトラダッシュモーターは消費電流が4.0~5.0Aと大きいため、この特性が有効に働きます。
現在では環境への配慮からニカド電池は減少し、代わりにニッケル水素電池やリチウムイオン電池が主流となっています。各電池タイプの特徴を比較すると:
電池タイプ | メリット | デメリット | ウルトラダッシュとの相性 |
---|---|---|---|
アルカリ電池 | 手に入りやすい、初期電圧が高い | 大電流に弱い、すぐに消耗する | △(緊急時のみ) |
ニカド電池 | 大電流放電に強い、寿命が長い | 入手困難、メモリー効果がある | ◎(最適) |
ニッケル水素電池 | 容量が大きい、繰り返し使える | ニカドより放電特性がやや劣る | ○(代替として良好) |
リチウムイオン電池 | 非常に高容量、軽量 | 過放電に弱い、電圧が3.7Vと高い | △(電圧調整が必要) |
ニカド電池の入手が難しい現在では、ニッケル水素電池を代替として使用するのが現実的な選択肢です。ただし、ニッケル水素電池はニカド電池に比べて内部抵抗がやや高いため、ウルトラダッシュモーターの瞬発力を最大限に引き出すには、低内部抵抗・高出力タイプのものを選ぶと良いでしょう。
また、電池は「育成」と呼ばれるプロセスを経ることで性能が向上すると言われています。これは数回の充放電サイクルを経ることで電池の内部状態が安定し、より効率的に電力を供給できるようになる現象です。特に新品の充電池は、数回使用して「育成」することで、ウルトラダッシュモーターとの相性が向上する可能性があります。
いずれにせよ、高性能モーターの性能を最大限に引き出すためには、良質な電池の使用が不可欠です。コスト面では充電池が経済的ですが、大会直前などの重要な場面では新品または状態の良い電池を使用することをお勧めします。
ウルトラダッシュモーターが遅いと感じる原因は電池切れかセッティングミス
ウルトラダッシュモーターを搭載したのに思ったほど速くないと感じる場合、いくつかの原因が考えられます。高性能なモーターを活かしきれていない可能性が高いため、以下の点をチェックしてみましょう。
まず最も多い原因は、電池の問題です。ウルトラダッシュモーターは消費電流が4.0~5.0Aと大きいため、一般的なアルカリ電池ではすぐに電圧が低下してしまいます。また、充電池でも残量が少なくなると十分な電流を供給できず、モーターの性能が発揮されません。電池が原因かどうかは、新しい電池に交換してテストすることで確認できます。
次に考えられるのは、慣らしが不十分な可能性です。先述したようにカーボンブラシを採用したウルトラダッシュモーターは、適切な慣らしを行うことで徐々に本来の性能を発揮するようになります。新品の状態ではまだ最高性能には達していないため、コツコツと時間をかけて慣らしを続けることが重要です。
セッティングの問題も大きな要因です。特に以下の点を確認してみましょう:
- ギア比が不適切:高すぎるギア比(数値が小さい)を設定すると、モーターに過度の負担がかかり速度が出ない
- マシンが重すぎる:重量が大きいとウルトラダッシュの高回転特性を活かしきれない
- タイヤの摩擦が大きい:過度に摩擦の大きいタイヤはモーターに負担をかける
- 機械的な抵抗:シャフトの曲がりやベアリングの不具合など、機械的な抵抗があると速度が落ちる
また、コース形状との相性も重要です。ウルトラダッシュモーターは高回転型であるため、直線の多いコースでその真価を発揮します。急カーブやアップダウンの多いテクニカルなコースでは、高トルク型のモーターのほうが有利な場合もあります。
最後に、モーター自体の不良の可能性も考慮すべきでしょう。製造上のばらつきや、流通過程での損傷などによって、期待通りの性能が出ない個体もごくまれにあり得ます。他の原因を排除した上で、モーター自体を交換してみるのも一つの方法です。
プラズマダッシュモーターとの比較では構造の違いが大きい
プラズマダッシュモーターとウルトラダッシュモーターは、どちらもタミヤの高性能モーターとして知られていますが、構造や特性には大きな違いがあります。プラズマダッシュモーターは2020年頃まで販売されていましたが、現在は絶版となっています。
最も目立つ違いは外観です。ウルトラダッシュモーターがFA-130型の標準的な形状をしているのに対し、プラズマダッシュモーターはエンドベルと本体カップの両方にスリットが設けられた特殊な形状をしています。これは放熱のための工夫で、高性能モーターの課題である発熱問題に対処するための設計です。
性能面では、以下のような違いがあります:
特性 | ウルトラダッシュモーター | プラズマダッシュモーター |
---|---|---|
消費電流 | 4.0~5.0A | 4.1~5.2A |
回転数 | 24,000~27,500rpm | 25,000~28,000rpm |
推奨負荷トルク | 1.4~1.9mN・m | 1.4~1.9mN・m |
重量 | 17.5g | 18.0g |
定価 | 680円 | 880円 |
特徴 | 標準的な構造、カーボンブラシ採用 | 特殊な冷却構造、ブラシ交換可能 |
プラズマダッシュモーターの特筆すべき特徴は、ブラシが取り外し可能で交換できる点です。これにより、コミュテーター周りのメンテナンス(汚れた接点グリスのふき取り、再塗布など)が可能になり、ブラシの摩耗による性能低下を防ぐことができます。初期投資は高くなりますが、長期的には経済的だったと言えるでしょう。
一方で、プラズマダッシュモーターのデメリットとして、放熱用のスリットからゴミや埃が進入しやすい点が挙げられます。そのため、使用環境によっては保守管理が難しい場合もありました。
また、プラズマダッシュモーターは構造が特殊なため、その真のスペックを引き出すにはセッティングの調整が必要でした。そのため「ウルトラダッシュの方が速い」と感じるユーザーもいたようです。
現在はプラズマダッシュモーターが絶版となったため、ウルトラダッシュモーターがタミヤの公式禁止スペックのGUP(グレードアップパーツ)として唯一残っている状況です。コレクターズアイテムとしての価値も高まっているプラズマダッシュモーターですが、実用面ではウルトラダッシュモーターが現実的な選択肢となっています。
まとめ:ミニ四駆ウルトラダッシュモーターは禁断の高性能モーターながら使いこなせれば無双
最後に記事のポイントをまとめます。
- ウルトラダッシュモーターは回転数24,000~27,500rpmという高回転と高トルクを両立したハイスペックモーター
- 黒いエンドベルとメッキカップが特徴で、「MABUCHI MOTOR」の刻印で見分けられる
- タミヤ公認レースでは性能が高すぎるために使用禁止だが、街角レースなどでは使用可能な場合もある
- 価格は定価748円だが、530円前後で購入できることが多い
- カーボンブラシを採用しており、高電圧ブレークインではなくコツコツと慣らすことが重要
- 消費電流が大きいため、アルカリ電池よりもニカド電池やニッケル水素電池との相性が良い
- 真ちゅうピニオンを使用することでパワーを確実に伝達できる
- 軽量化したシャーシと適切なギア比を組み合わせることで最大限の性能を引き出せる
- ウルトラダッシュモーターが思ったほど速くない場合は、電池の問題やセッティングを確認する必要がある
- かつてはプラズマダッシュモーターというさらに高性能なモーターも存在したが、現在は絶版
- プラズマダッシュモーターは特殊な冷却構造とブラシ交換機能を持っていたが、現在は入手困難
- ウルトラダッシュモーターはプラズマダッシュ絶版後、唯一残っている公式禁止スペックのGUP
- ノーマルモーターと比べると約3倍の回転数を持ち、驚異的な速度向上が期待できる
- 公認モーターで最高クラスのスプリントダッシュモーターと比較しても優位性がある