ミニ四駆のセッティングで重要な役割を果たす「提灯」。その中でも上級者向けとされる組み継ぎ提灯は、特にFM-Aシャーシなどフロントモーター車において、その真価を発揮する改造技術です。通常のビス留め提灯では実現困難だったナロートレッドでの提灯設置が可能になるなど、多くのメリットがある一方で、加工の難易度や強度面での不安から敬遠されることも少なくありません。
本記事では、組み継ぎ提灯の基本構造から具体的な制作手順、さらには制振性の向上やゼロスラ機能の追加まで、ネット上に散らばる情報を集約し、独自の視点で解説していきます。初めて組み継ぎ提灯に挑戦する方にも分かりやすく、実践的な情報をお届けします。
| この記事のポイント |
|---|
| ✓ 組み継ぎ提灯とヒクオの構造的な違いと使い分け |
| ✓ FM-Aシャーシに最適な組み継ぎ提灯の制作手順 |
| ✓ カーボンプレートを使った強度確保のテクニック |
| ✓ 制振性を高めるマスダンパーの配置とゼロスラ機能の実装方法 |
ミニ四駆における組み継ぎ提灯の基礎知識と制作準備
- 組み継ぎ提灯とは何か？通常の提灯との構造的な違い
- FM-Aシャーシで組み継ぎ提灯が推奨される理由
- 必要な材料と工具の選定ポイント
組み継ぎ提灯とは何か？通常の提灯との構造的な違い
組み継ぎ提灯とは、カーボンプレートなどに切れ込みを入れてパーツ同士をはめ込み、接着剤で固定する提灯のことを指します。建築用語の「組み継ぎ」と同様の技法で、ビスを使わずにプレート同士を接合する点が最大の特徴です。
📊 組み継ぎ提灯と通常提灯の比較
| 項目 | 組み継ぎ提灯 | 通常のビス留め提灯 |
|---|---|---|
| 固定方法 | 切れ込みはめ込み+接着剤 | ビスとナットで固定 |
| アーム幅 | 細く作成可能 | ビス穴分の幅が必要 |
| 重量 | やや軽量化可能 | 標準 |
| 制作難易度 | 高い（精密加工必要） | 比較的容易 |
| 強度 | 接着次第（適切な施工で十分） | 安定 |
| FM-A適性 | 高い（ナロー対応） | 低い（モーター干渉） |
通常の提灯では、ビス穴を確保するために一定の幅が必要となりますが、組み継ぎ提灯ではこの制約がなくなります。その結果、アーム部分を細く設計できるため、特にフロントモーター車での使い勝手が格段に向上します。
FM-Aシャーシで組み継ぎ提灯が推奨される理由
FM-Aシャーシやフロントモーター化したVZシャーシでは、モーターがフロント部分に配置されるため、通常の提灯アームではホイールとモーターの間のスペースが非常に狭く、干渉が発生してしまいます。
FM-Aシャーシの場合、モーター部分が干渉してしまい取り付けができません。トレッド幅の広いホイールを使うことで取り付けは可能ですが、それもそれでデメリット。
出典：ムーチョのミニ四駆ブログ
この問題を解決する方法として、以下の選択肢が考えられます。
🔧 FM-Aシャーシでフロント提灯を使う方法
- ✅ ワイドトレッドホイールを使用してタイヤを外側に出す
- ✅ 組み継ぎ提灯でアームを細く作成する
- ✅ 特殊形状のカーボンプレート（バットマンカーボンなど）を使用する
ワイドトレッド化はコーナリング特性に影響を与えるため、多くのレーサーが組み継ぎ提灯による細身化を選択しています。これにより、ナロートレッドのままフロント提灯を装着できるという大きなアドバンテージが得られます。
必要な材料と工具の選定ポイント
組み継ぎ提灯の制作には、適切な材料選びが成功の鍵を握ります。特に重要なのがプレート素材の選択です。
📦 基本材料リスト
| 材料名 | 推奨品 | 使用目的 |
|---|---|---|
| カーボンプレート | HG カーボンマルチ補強プレート1.5mm | 提灯本体・アーム |
| リヤマルチステー | カーボンマルチワイドリヤステー | ベース部分 |
| 接着剤（仮止め用） | 3G瞬間接着剤 | 仮固定 |
| 接着剤（本固定用） | 黒い瞬間接着剤（高粘度） | 最終固定 |
| モーターピン | 廃モーターから取得 | マスダンパー取付軸 |
| ハトメ | 提灯可動部用 | 摩耗防止 |
カーボンプレートが推奨される理由は、FRPと比較して強度が高く、組み継ぎ部分を細く加工しても折れにくいためです。一般的には1.5mmまたは2.0mm厚のカーボンが使用されます。
端材はなんでもOKです、リヤマルチのカットしたサイドをそのまま使いました。
出典：サバ缶のミニ四駆ブログ
予算を抑えたい場合は、他の改造で余った端材を活用することも可能です。ただし、初めて制作する場合は専用パーツを使用する方が失敗のリスクを減らせるでしょう。
ポチップ
組み継ぎ提灯の実践的な制作手順とテクニック
- カーボンプレートのカットと組み継ぎ部分の精密加工
- 仮組みと微調整で歪みを防ぐ重要ポイント
- 接着剤の選び方と強度を最大化する固定方法
- まとめ：ミニ四駆の組み継ぎ提灯制作で押さえるべきポイント
カーボンプレートのカットと組み継ぎ部分の精密加工
組み継ぎ提灯制作で最も難易度が高く、かつ重要なのが組み継ぎ部分の切れ込み加工です。この精度が提灯全体の強度と仕上がりを左右します。
🛠️ 加工手順の基本ステップ
- マシンに合わせた設計図作成
- シャーシに実際に当てながら提灯の位置を決定
- ホイールやモーターとの干渉箇所を確認
- プレートのカット
- 直カーボンまたはフロントカーボンを使用
- 2枚重ねでカットすると左右対称に仕上がる
- 100均の「毛糸用とじ針」でズレ防止が可能
- 組み継ぎ用の切れ込み加工
- プレート厚(1.5mmまたは2.0mm)に合わせた幅で切り込み
- リューターの小径ダイヤモンドカッターを使用
- 少しずつ削り、何度も仮合わせを繰り返す
組み継ぎ部分を削りすぎてガバガバにならないように注意してください。
出典：サバ缶のミニ四駆ブログ
**加工のコツは「削りすぎないこと」**です。少しキツいかな、と感じる程度でも、接着剤を流し込む際に多少の隙間は埋まります。逆に緩すぎると強度が大幅に低下してしまいます。
📐 特殊形状カーボンの活用例
通称「バットマンカーボン」と呼ばれるフルカウルカーボンを使用すると、既存の穴を避けながら独自の形状を作り出せます。
直カーボンだと穴が空いている場所は最初から穴が空いていないのでホイールを内側にセットする事ができます。
このテクニックを使えば、直カーボンでは避けられないビス穴部分の強度不足を解消できます。
仮組みと微調整で歪みを防ぐ重要ポイント
組み継ぎ提灯の成否を分けるのが仮組み段階での丁寧な調整です。いきなり本固定してしまうと、歪みや傾きを修正できなくなってしまいます。
✨ 仮組みチェックリスト
- ✔️ 各パーツが設計通りにはめ込めているか
- ✔️ プレート同士の接合面に隙間がないか
- ✔️ シャーシに載せた状態で提灯が水平か
- ✔️ ベアリングやシャフトとの干渉がないか
- ✔️ 可動部分がスムーズに動くか
仮固定の段階では、ほんの少量の瞬間接着剤（3G推奨）を使用します。この時点ではまだ動かせる程度の固定にとどめておきましょう。
まずはそれぞれのカーボンプレートを、加工した切れ込みに合わせてはめ込んでいきます。ここで仮固定のために使う瞬間接着剤は、まだほんの少しだけ。
出典：ムーチョのミニ四駆ブログ
仮組みした提灯を実際のシャーシに取り付け、多角的にチェックします。この段階で問題を発見できれば、大きな失敗を防げます。
接着剤の選び方と強度を最大化する固定方法
組み継ぎ提灯の強度は、接着剤の選択と施工方法に大きく依存します。ビス留めがない分、接着の質が直接的に耐久性に影響するのです。
🧪 接着剤の使い分け戦略
| 工程 | 使用接着剤 | 特徴 | 目的 |
|---|---|---|---|
| 仮固定 | 3G瞬間接着剤（サラサラ） | 速乾性、流し込みやすい | 位置決め |
| 本固定 | 黒い瞬間接着剤（高粘度） | パテ状、隙間埋め効果 | 最終強化 |
| 追加補強 | メタルロック | カーボン接着最強クラス | さらなる強度向上 |
施工手順の詳細は以下の通りです。
- 下地処理
- プレート表面をヤスリがけ（接着面積を増やす）
- 脱脂処理で油分を除去
- 仮固定
- マシン本体に載せた状態で3Gを点付け
- ズレがないことを確認
- 本固定
- マシンから外して黒い瞬着をたっぷり流し込む
- 組み継ぎ部分の隙間にもしっかり浸透させる
- 白化を気にせず十分な量を使用
- 補強
- 乾燥後にメタルロックで追加接着
- 端材部分も同時に固定
メタルロックは自分が知っている中でカーボンの接着は最強です！マジでめちゃくちゃ強いのでオススメです！
出典：サバ缶のミニ四駆ブログ
黒い瞬間接着剤を使用すると、仕上がりがカーボンの色に近くなり、見た目も美しく仕上がります。固定の強度を最優先するなら、瞬間接着剤が完全に乾燥するまで（一晩程度）は触らないことが重要です。
⚠️ よくある失敗例と対策
- 失敗例: サラサラ系接着剤だけで本固定→衝撃で破損
- 対策: 粘度の高い接着剤で最終固定する
- 失敗例: 接着剤の量が少なすぎて剥がれる
- 対策: 見た目より強度優先でたっぷり使用
- 失敗例: 乾燥前に触って位置がズレる
- 対策: 最低でも数時間は放置する
まとめ：ミニ四駆の組み継ぎ提灯制作で押さえるべきポイント
最後に記事のポイントをまとめます。
- 組み継ぎ提灯は切れ込みはめ込み+接着剤で固定する、ビス不要の提灯制作技術である
- FM-Aシャーシではモーター干渉を避けるため、アームを細くできる組み継ぎ提灯が有効である
- 材料はカーボンプレート1.5mm推奨、強度と加工性のバランスが良い
- 組み継ぎ部分の切れ込み加工は少しずつ削り、何度も仮合わせすることが成功の鍵である
- 2枚重ねカットや毛糸用とじ針の活用で、左右対称の精密加工が可能になる
- 仮組み段階で水平チェックや干渉確認を徹底し、本固定前に問題を解決する
- 接着は3G瞬着で仮固定、黒い瞬着で本固定、メタルロックで補強という3段階が理想的である
- プレート表面のヤスリがけと脱脂処理が、接着強度を大幅に向上させる
- ハトメを可動部に使用すれば、カーボンの摩耗を防ぎメンテナンス性も向上する
- 完成後は最低地上高1mm以上を確保し、レギュレーション違反に注意する
ポチップ
記事作成にあたり参考にさせて頂いたサイト
- （FMーA）組み継ぎのヒクオを作る。 | サバ缶のミニ四駆ブログ
- 【組み継ぎ提灯の作り方】FM-Aシャーシにおすすめ｜細かな加工と微調整が重要 | ムーチョのミニ四駆ブログ
- ヒクオ、提灯アームの作り方｜rock0204n
- 【ミニ四駆】FM-Aシャーシのフロント提灯アーム | こいのぼりブログ
- 【ミニ四駆】FM-A専用提灯を作る②本接着 : サブカル”ダディ”ガッテム日記
- 【ミニ四駆】FMVZのフルカーボン化！ゼロスラ機能 : サブカル”ダディ”ガッテム日記
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